闘病記4:ワクチン初接種の列と巨大ファン—安堵と油断のあいだの待機
強くてニューゲーム(ハードモード)Quest.4
「難病発覚に至るまで──落ち着いた今、気づいたこと」
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不安と安心が入り混じるワクチン初接種
2021年9月。肺炎がようやく落ち着いた頃、世間の空気はもう「ワクチンを打つのが当然」というものになっていた。
僕もその流れに押されるように、かかりつけの先生に相談した。先生は少し眉をひそめて「やってみないとわからない。ただ、これまでのアレルギーとは関係ないから大丈夫ではないか」と言った。
明確な答えではなく、どこか曖昧で、けれど背中を押すには十分だった。決断は自分に委ねられた。
インターネットで市民体育館での接種を予約し、当日は自転車で向かった。数日前から何度もLINEに通知が来た。きっちりしているなとは思いつつ、少々煩わしかった。
およそ2キロの道のり。体調も悪くなく、少し早めに到着した。入口にはすでに人の列が伸びていた。その中に陽性者が混じっているのではという不安が胸をかすめたが、巨大なファンが回る会場は換気が徹底され、どこか映画のセットのように非現実的な光景だった。
見慣れない物々しさと妙な安心感が同居していた。
手際のよさに感心
流れは驚くほど滑らかだった。長い列も速やかに進み、気づけば体育館の中に案内されていた。グループごとに分けられ、椅子に腰を下ろす。
待ち時間を持て余すかと思い、Kindleを持参した。読みかけていた『ゴールデンカムイ』を開いた。ヒグマとの格闘シーンが館内の妙な緊張感と重なった。体感時間は早く過ぎていったように思う。
やがて診察担当の先生との面談となった。
「先日、肺炎になりました」と告げ、アレルギーの心配も話した。
先生は短くうなずき「大丈夫でしょう」と言った。その言葉に小さなためらいは残ったが、僕は「お願いします」と答えた。
接種担当はまた別の先生で、少し待たされてから注射を受けた。流れ作業のようだったが、非常にスムーズであっさり終わったことに少しほっとした。
また待つ30分…その夜に
接種のあと、待機スペースに通された。直後に症状が出る方もいるようで、そのための時間だと聞いた。
緊急連絡先やタクシー会社の番号がホワイトボードに書かれていて、僕はそれをスマホに収めた。椅子に腰を下ろし、再びKindleを開いた。
時間は30分。周りで待機している人にも異変がないか気になっていたからか、時間は短く感じられた。大きな異変もなく、その時点では心配は杞憂だったように思えた。
会場を出たのは15時頃だったか。胸の奥にかすかな不安は残っていたものの、体はまだ軽く、帰宅した。夕方に少し離れた弁当屋に中華弁当を買いに出る気力もあるくらい元気だった。
そして、その夜から高熱との長い時間が始まる。
(つづく)
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