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【ファンタジー小説】第四話 昭和デパート屋上展とAIロボ教師『今日も魔女の住む森で 機械仕掛けのワンダーランド編』

毎食後の一日三回、増幅装置に燃料の紫の霧を圧縮したジェルカプセルを二錠ずつ補給する必要がありますが、ぬいぐるみたちの楽しい日常が戻ってきました。

「ふわふわしっとり卵サンド」や「ジューシー甘辛リブロース」を作ってピクニックに出かけたり、ウサギの家で大好きなアニメ「超合金ハリケーン・ベア」を見ながら、その激しいヘビィメタル調の主題歌をみんなで拳を突き上げ、首を上下に振りながら大合唱したり。

そんなある日のこと。

魔女はいつものように、ヒグマの首に『紫の霧のペンダント』を掛けながら言いました。

「万が一の時のために、お前にこれを預けておくからね」

紫の霧が消え始めているのが判明して以来、魔女は街へ出かけるたびにペンダントをヒグマに預けていました。

それは増幅装置が稼働してからも変わりませんでした。

今日は週に一度の食材の買い出しの日でした。

魔女はいつものように車を運転して森を抜け街に着くと、おねえちゃんの住む街の時計台のそばにある薬局兼住宅の駐車場に車を止め、電車でいつも行くデパートへ出かけました。

最寄りの駅に着いた魔女が駅を出た時、いつもよりも子供連れの家族が多いことに気づきました。

その理由はデパートに着くとすぐに判明しました。

『懐かしの昭和デパート屋上展』

という大きなポスターがデパートの入り口に貼られていたのです。

「これは覗いてみるでしょ」

魔女がエレベーターに乗り込み、屋上の階を選び、ドアを閉めようとした時です。

「すいません!乗ります」

小学生らしい子供が十人ほどと、大人の男性と女性が一人ずつ、そしてロボが一体、乗り込んできました。

人見知りな魔女は突然大勢の人に迫られて焦り、「わゎゎ」と怯みますが、すぐに別のことに気を取られました。

『このロボ、前にネットニュースで見たAIロボ教師だ』

どんなロボでもこだわりなく愛する魔女の目は感動でキラキラと輝きました。

『かっこいい!欲しい!』

子供たちの話の様子から、社会科見学で校長先生と担任の先生、それとAIロボ教師に引率されて『懐かしの昭和デパート屋上展』を見に来たとわかりました。

屋上に到着し、エレベーターの扉が開くと、子供たちは歓声を上げて走り出ていきました。

「こら、走っては駄目ですよ」

校長先生らしい中年の男性が優しく子供たちの背中に言葉を投げかけました。

『懐かしの昭和デパート屋上展』は魔女が思っていたよりも本格的で、いつもは憩いの場として開放されている屋上には、動物や飛行機、ヘリコプター型のすごく遅いカートや、空気で膨らませるビニールの滑り台、それに小さな巨大ロボが設置されていました。

ほかにも射的やスーパーボールすくいもあって、子供たちの笑い声であふれていました。

そんな穏やかな雰囲気の中。

「いやだ!もっかい!」

突然聞こえてきた幼い子供の大声に、魔女は反射的にそちらの方を見ました。

パンダのカートに跨った小さな男の子が、母親らしい人の手を必死に振り払いながら声を上げて泣いているのでした。

「だから、もう終わり!!いい加減にしなさい!!」

一瞬魔女の視界が遮られたかと思うと、AIロボ教師が泣きじゃくる男の子のもとへ駆け寄っていました。

瞳の水色のランプが一瞬だけ不規則に明滅し、ジジッという小さなノイズが走ります。

ロボは迷いなく男の子を抱き上げると、制止しようとした母親の肩を強く押し払いました。

尻もちをついた女性はすぐに立ち上がると、AIロボ教師の腕にしがみつき、必死に叫びました。

「子供を返して!」

「……返せません。この子の心が傷ついているのを、見過ごすことはできません」

女性は強い口調で言い返しました。

「この子があんまりわがままを言うから、つい大きな声が出ただけで傷つけてなんてない!」

「その大声が暴力なのです。この子の心は大変傷ついています」

その様子を見ていた校長先生が、慌ててAIロボ教師の背後に回り込み、首の後ろにある蓋を開けるとロボの電源を切りました。

すると、AIロボ教師の瞳の水色のランプが萎むように消え、動かなくなりました。

女性は子供を抱きしめると、AIロボ教師と校長先生を鋭く睨めつけました。

「こんな危ないロボに子供を教育させようなんて、どうかしてる!」

校長先生は「申し訳ございません」と頭を下げ続けるしかありませんでした。

女性が子供を連れて屋上から出ていくと、クラスの子どもたちの面倒を見ていた担任の女性の先生が校長先生のそばに来て言いました。

「校長、このロボどうします?もうこれで三度目ですよ」

校長先生は深いため息をつきました。

「修理してもこれじゃな...…スクラップ工場に送るしかないだろ」

スクラップという言葉が魔女の頭の中でグルグルと回転して、魔女の「図々しいおばちゃんモード」のスイッチを入れました。

「スクラップにするなら、そのロボちょうだい!」

校長先生は突然出てきた「図々しいおばちゃんモード」の魔女にタジタジです。

「しかし、また子供を危険にさらすかもしれないし……」

「私が責任を取ります!」

「う~ん......」と顎に手を当てて考える校長先生の耳元で担任の先生がコソコソと言いました。

「スクラップ代も高額ですし、責任も取ると言っているのでいいんじゃないですか?」

校長先生は小さく頷くと、「くれぐれも慎重に扱ってください」と言って魔女に譲ることに同意しました。

魔女の体は飛び跳ねたいくらいに嬉しさが爆発していましたが、校長の言葉に神妙な表情で「もちろんです」とぷるぷるしながら答えました。

「あっ、それから」と校長先生が言いました。

「今、初期化スイッチを押したので、しばらくは再起動できませんので」

二時間後。

汗だくの魔女はAIロボ教師を背負って、おねえちゃんの薬局になんとかたどり着きました。

魔女は自動ドアを開け、白衣を着たおねえちゃんが立っているレジカウンターまで、まるでお腹のすいたゾンビのような足取りで辿り着くと、一枚の紙を震える手で差し出しました。

「なに、この紙……の前に、なにそのロボ?」

「もらった」

「……で、この紙は?」

「買い物リスト」

「……ロボを運んで疲れたから、買い物して家まで届けろ?」

「正解」

「う~ん。なんかムカつくけど、いいよ。森の様子も気になってたし、そのロボも興味あるし」

魔女はロボを車に乗せると意気揚々と魔女の森へ帰っていきました。

魔女は家に着くと、ヒグマとシロクマに声をかけて出てきてもらいました。

「重い荷物あるから手伝って」

ヒグマとシロクマは、さぞかし大きなお肉を買ってきたんだろうと大はしゃぎで車のドアを開けました。

「ロボだ!かっこいい!!」

と、ヒグマ。

「堅そう……煮込めば食べれる?」

と、シロクマ。

魔女と二匹のクマは協力してロボを家の中へ担ぎ入れました。

ロボをソファーに座らせると、魔女はヒグマにウサギとフクロウを呼んでくるように頼みました。

「こういうのは専門家がいないとね」

しばらくして、ヒグマがウサギとフクロウを連れて戻ってきました。

ロボを一目見たウサギは眩しいくらい目を輝かせ、ロボに駆け寄るとそのひんやりとした足にしがみついて愛でるのでした。

「電源は!電源はどこ!?」

ウサギはもう待ちきれないといった様子で電源スイッチを探しました。

「説明書を見てみるね」

と、魔女が貰ってきたロボの説明書を取り出して広げようとすると、目が血走ったウサギが横からガシッと奪っていきました。

ウサギは「見つけたぞ!」と叫び、ロボの首の後ろにあるカバーを外すと、出てきた赤くて丸いボタンを三秒間長押ししました。

『ピーププププ……キロリロン♪』

軽やかな電子音とともに、ロボの瞳の水色のランプが点灯しました。

「……初期化が完了しました」

魔女もぬいぐるみたちもロボの声に大はしゃぎ。

シロクマが魔女のスカートを一生懸命引っ張って、「ロボは何ができるの?ねえ、何ができる?」と繰り返します。

魔女の代わりに、シロクマの声を聞き取ったロボが答えました。

「何でもおっしゃってください。お手伝いできることがあれば、嬉しいです」

ウサギが「じゃあさ!じゃあさ!」と満面の笑みでロボを見上げました。

「エネルギーが永遠に減らない、永久機関の作り方って知ってる!?」

ロボは即座に首を横に振りました。

「永久機関は熱力学の法則に反するため、実現は不可能です。しかし、現在ある動力の摩擦抵抗を極限まで減らし、エネルギー効率を99.9%まで引き上げるための数式なら、120パターンほど提案できます」

その言葉を聞いたウサギは「天才が来たぞー!!」と叫び、ロボの足に抱きつきました。

シロクマは「ねえ、ハンバーグは作れるの?」と、魔女のスカートを引っ張りました。

(※記事内のイラストはAIによって生成されたものを使用しています)

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