惚れたは最大の強み
父は、お世辞にも家庭的なタイプではなかった。家事もほとんどしていなかった。
遊びに連れて行ってもらった思い出も少ない。
外面が良く、仕事関係の付き合いはマメだった。
そのぶん家にいる時は物静かで部屋にこもっていることが多かった。
そんな父について、
姉「私はおとうさんとは、正反対の人と結婚しようと思ってたんだよね。それまでの人はおとうさんみたいな人だったんだけどさ」
わたし「おとうさんみたいな人がタイプだもんね」
姉「そうだけど、おかあさんみたいに苦労したくないじゃんね」
わたし「だね。大変そうだったもんね」
何を隠そうわたしも父のような人がタイプだった。
父はかっこいいひとだった。見た目もそうだけど、あまり父親感が強過ぎず、わたしたちに対しても子ども扱いせず1人の人として接してくれた。
余計はことは話さず、いつも未来を見据えた話をしてくれた。そういう視点が大事だと教えてくれた。

そんな父、わたしは覚えてないが、いっとき毎日のように飲みに歩いて朝まで帰ってこないことが続いたとか。その頃、母はいつもヒステリーだった、と姉から聞いた。わからなくもない。
しかもある日、
バラの花束が父宛へ届いたという。誰からかは不明 だいぶ怖いよ、ホラーだよ。
母は後に、「腹が立ったからすぐにドライフラワーにしたわよ。」と話していた。
どれもわたしは小さな頃のことで覚えていない。
でも、昨年かな?わたし、母、姉とで、日本酒を交わした時のこと。
ほろ酔いで父の話になった。
わたし「そういえばさ、おとうさんのお葬式の時に普通じゃないぐらい、むせび泣いてる人いてさ。2人。どっちかは、あの花束の人かな。」
母「いや、花束はクラブの女よ。ひとりは〇〇の人でしょ?」
わたし「そうそう。」
母「それはね、結婚前のことなの。調べはついてる。てか、よくそんな冷静に見てたわよね。信じられないわ。」
わたし「なんか、気になったんだよ。」
姉「私もぜんぜん気が付かなかった。ま、いいじゃん。モテないよりさ」
母「そうそう。おとうさんはかっこいいんだから」
そうだよな。母は父にベタ惚れだった。だからいろいろ大変でも乗り越えられてきたんだ。
ふー、うらやましいや。
わたしも、父とは違うタイプを選んだけど現在進行形で苦戦しているわけで。人生はそんなにシンプルにはいかない。
また、3人でお酒を交わしながら父の話をするのだろう。そんな風に父を3人の中でいつまでも生かしていきたい。
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