飲食アルバイト50代お局様‼第9話 うるさいな平常心でいこう
一号さんの指導うるさい。
ちょっと間違えると飛んできて「ちゃんとやってね!」「ほら、これもでしょ、もー」配膳の際ダスター忘れたりすると「ほらほら忘れてるよ」
どんな細かいことも拾って指摘してくる。指摘してくれるのはいい。普通に言ってくんないかな?わざわざ怖く言って委縮させてどうしようというのだろう?
っていうかこういうの俗にいうお局様ってやつ?会社に長年いて新人をいびり倒すというあれか?思い返すとデザイン事務所にいた時に意地悪な先輩いてずいぶん悩んだ。職種が違うというところもあるけどお店の場合関わる機会が多すぎて付きまとわれているような閉塞感がある。
一号さんは私に仕事を覚えてほしくて厳しく指導しているんだろうか?仕事覚えたら変わるのか?
だとしたら早く仕事覚えなきゃな・・・
そういえば私の他にもっとひどい扱いを受けている人がいた。ネズミ山さんだ。仕事が遅くおとなしいネズミ山さんにずっととげとげしくあたっていた。あれに比べればまだ話してもらえるだけいい方かもしれない。
ポットの中のコーヒーが少なくなっているので一号さんにそろそろ落とした方がいいと思い伝える。
「コーヒーの落とし方どういう風にやればいいかわかりますか?」
と一号さん。
あ・・・これ前一度説明受けたやつだ。
「えーと・・・まずコーヒーポットを熱湯で温めて・・・」
私が手順を思い出しながら話していると
「わかるかどうかだけ聞いています!」
例によってまたじろりとこちらを睨んで厳しい声で私の言葉を制した。
私 「確認しました・・・」
こっわ・・・
なんでいちいち不機嫌になるの?どういう風にやるかわかるかって聞かれたからこういう風にやるって説明してたんじゃん。
こっちもいちいち委縮してたらその指導の仕方が正しいことを認めてしまうことになる。最初のうちは平謝りしてたけどこれからはなるべく平常心を意識するようにしよう。たった3時間だけど考えることが多くて疲れた。
一号さんは面倒見が良いタイプで本当に私の事をよく見ていた。
客席に行くときに忘れているものがあると「ちょっとちょっと、忘れてるよ」と言って渡してくれる。
そういうときの口調は子供に忘れ物を渡すお母さん風。三人も息子がいるからそういう言い方になるのかもしれないけど。
ただ機嫌が悪いのか、意地悪なのか言い方が嫌だった。
「しっかりしてください」「ちゃんとやってね」と付け加えて言われるのが嫌だった。指摘は指摘として受け止めるとして怖い言い方をするのが理解できなかった。そしてそのお叱りを受けるたびに返事をさせられることが本当に苦痛だった。
私が所属しているお店での返事は「かしこまりました」で統一されている。
私は客の前でならいくらでも「かしこまりました」をいう事は出来たけどそれは演技をしている自分に酔えたからだった。
お金の付き合いだと割り切ると楽にそれはできる。客はお金だ。その場を離れれば気持ちを切り替えることは可能だ。
でも仕事仲間を同じように思えるだろうか。
仕事仲間に演技する意味・・・ある?
お前客じゃないじゃん。お金じゃないじゃん。ただの人じゃん。
こんな事思ってしまう私はやっぱり性格が悪いのだろうか?
ダメダメ 先輩なんだからもっと敬わないと。
あーあ・・・。
でも、先輩 お前も東京都の最低時給じゃん。
(つづく)
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