革命は「貧困」だけでは起きない!世界的権威が明かす社会がひっくり返る5つの条件とは?ジャック・A・ゴールドストーン『革命』
フランス革命から近年の「アラブの春」まで、歴史を大きく動かしてきた「革命」。
なぜ、そして、どのようにして革命は起きるのでしょうか。
多くの人は「民衆が貧困や不正に耐えかねて立ち上がる」と考えがちです。
しかし、世界的な革命研究の権威であるジャック・A・ゴールドストーンは、その考えは単純すぎると指摘します。
彼の著書『革命:その本質と歴史的展開』は、革命が起きるための「特定の条件」が揃う必要があることを、豊富な歴史事例と共に解き明かす本です。
革命が起きるための「5つのレシピ」
ゴールドストーンによれば、社会が安定している状態は、いわば「くぼ地の底にあるボール」のようなものです。
多少揺さぶられても、自然と元の安定した場所に戻ります。
しかし、これから紹介する5つの条件がそろうと、社会は「丘の頂上に置かれたボール」のように不安定な状態になります。
そうなると、ほんのささいな出来事をきっかけに、一気に革命へと転がり落ちてしまうのです。
エリート層の分裂と裏切り
国を動かしているエリート(政治家、官僚、富裕層など)の一部が「このままではダメだ」と考え、政府に反旗をひるがえすこと
彼らが体制を見限ることが、革命の重要な第一歩
国家の危機
国が深刻な財政難に陥ったり、戦争に負けたりして、政府が国を統治する力を失ってしまうこと
警察や軍を動かすお金がなくなれば、反乱を抑えることもできない
民衆の怒りと蜂起
多くの人々が、不正や不公平に対して強い怒りを感じ、大規模なデモや暴動を起こすこと
これが革命のエネルギー源
新しい社会を指し示す「物語」の登場
「今の体制は間違っている。我々が目指すべきは、このような新しい社会だ」という、人々を惹きつける強力な思想やイデオロギーが広まること
これが、人々の不満を一つの方向へとまとめ上げます
外国が介入しない、またはできない状況
革命が起きても、外国の強力な軍隊が旧体制を助けるために介入してこないこと
国際的な環境が革命の成功を左右
ゴールドストーンは、革命が成功するためには、これら5つの条件が「同時に」そろう必要があると強調します。
貧困や不満だけでは不十分で、エリートの離反や国家の弱体化といった、権力側の問題が重なることが不可欠なのです。
革命の根本原因は「人口問題」にあった?
では、なぜこの5つの条件が、ある特定の時代に同時に発生するのでしょうか。
ゴールドストーンは、その根本的な原因として、数十年から百年にわたる長期的な「人口の波」を指摘します。
これが彼の理論の最も独創的な部分で、「人口動態構造理論」と呼ばれています。
人口が持続的に増加する
モノの値段が上がり、若者の就職難が深刻化する
人口が増えると、食料や土地が不足し、物価が上がります
一方で、働く人の数が増えすぎて賃金は上がらず、特に若者たちの生活が苦しくなります
国の財政が破綻し、エリート同士の競争が激化する
人口増で政府の支出は増えますが、税収は追いつかず、国は財政危機に陥ります
同時に、エリート層の子供たちも増えるため、限られた政府のポストをめぐる競争が激化
「良い職につけない不満なエリート」が増え、彼らが反体制運動のリーダーになることがあります
革命の条件がそろう
こうして、「民衆の不満」「国家の財政危機」「エリートの分裂」という革命の重要な条件が、人口問題という一つの根本原因によって、時間をかけて同時に作り出されていくのです
この理論は、革命が単なる偶然の爆発ではなく、何世代にもわたる社会構造の変化の末に起きる、実はある程度予測可能なことなんです。
この本の魅力
本書の最大の魅力は、古代ギリシャ・ローマから現代のアラブの春まで、世界中の多種多様な革命を、この明快な分析の枠組みで一貫して説明している点。
また、著者のジャック・A・ゴールドストーンは、ハーヴァード大学で博士号を取得し、数々の学術賞を受賞している、この分野の第一人者です。
彼は学者としてだけでなく、米国政府や世界銀行のコンサルタントも務めており、その理論は現実の政策にも活かされています。
予測可能なら、予測して革命の対策ができますからね!
本書は、そうした専門家の深い知見を、一般の読者にも分かりやすく「翻訳」してくれています。
世界各地で政治的な不安定さが増している現代において、ゴールドストーンの理論は、社会の深層で何が起きているのかを読み解くためのヒントを与えてくれます。
歴史を学ぶだけでなく、今を生きる私たち一人ひとりが、未来を考える上で必読の入門書です。
こちらの日本語訳版は最近発売されたばかりなので、そんなに読んだことのある人はいないはず!
ぜひ手に取って、読んでみてください!
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