日本駆け込み寺が関連?団体に対して「特別の利益の供与」をしていないか心配な話
5月30日
公益財団法人日本駆け込み寺(以下、駆け込み寺)の記事の第二弾です。
取り急ぎ表面的な部分を扱った第一弾の記事はこちら。
記事を書き始めた目的は都による若年被害女性等支援事業(以下、若年事業)のR5年度審査、R5年度実績を踏まえたR6年度審査が適当だったかを検証するためだったのですが、調べると色々と駆け込み寺さんがあらぬ疑いを掛けられかねない、微妙な要素が見えてきました。
その辺りを整理するだけでも結構な分量になったので、一先ずまとめました。
本件記事では、以下のことを論じています。
1、多数の関連?団体と住所の共有問題
公益法人と複数の営利企業等が同じ住所で活動しているように見受けられる状況は、公益法人の経費支出の適正性・透明性の観点から懸念があります。
また、特に東京都からの補助金が賃料に充てられている状況では公金の適正使用という点でも心配です。
2、事業領域の重複
駆け込み寺の定款に記載されている「相談」「講演会・研修会等の啓蒙活動」などが、同住所の営利企業(株式会社QRS、よろず相談研究所株式会社など)の事業と重複している点は、公益法人の収益機会を収奪しているようにも見えます。
いずれも公益財団法人から関連営利企業へ「特別の利益の供与」(公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律第5条違反)をしているのではないか?と無用の誤解を招きかねません。
駆け込み寺さんは頑張って生き残りを図っている最中のようですが、並行してこの辺りをすっきりさせることも重要だと思います。
1、前置き
① 理事の忠実事務&特別の利益の供与禁止について
公益財団法人等の理事は「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」の83条で規定する忠実義務責任を負っています。
公益財団法人等の理事は団体からの委任に基づき、理事の地位についていますから、それでありながら公益財団法人にとって不利益に働くようなことをすると、それは忠実義務違反になる可能性があります。
また、併せて考えたいのが「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律」の5条で規定する「その事業を行うに当たり、社員、評議員、理事、監事、使用人その他の政令で定める当該法人の関係者に対し特別の利益を与えないものであること。」「株式会社その他の営利事業を営む者又は特定の個人若しくは団体の利益を図る活動を行うものとして政令で定める者に対し、寄附その他の特別の利益を与える行為を行わない」こと、いわゆる「特別の利益の供与の禁止」のことです。
後述しますが、駆け込み寺さんはこの辺りが結構怪しい気がします。
② 同住所の関連団体の多さについて
駆け込み寺の特異性の一つに、「同住所で活動する関連?団体が多すぎてわけわからん」というのがあります。
その気になれば駆け込み寺名義で公金や寄附金を受け取って、他営利企業のための経費を支出することも可能です。
そこまで直球の不正でなくとも、公益財団法人の看板を使った講演を別団体の収入にしたり、公益財団法人の看板を使って集めた人を別団体が無償で使用したり、公益財団が家賃を負担する事務所を別団体に間借りさせたりしていた場合、かなり危ないように感じます。
ちなみに団体の財産の無償貸与は「公益法人行政総合情報サイト」の、公益法人のガバナンスの更なる強化等に関する有識者会議 第7回の資料に「03-1_ 公益法人による不祥事案の例」として紹介されています。

もちろん、例えば賃料の場合だと、使用頻度や面積に基づいて、関連団体それぞれが按分負担してればそれでいいんですが、そこまでやっているかは個人的には疑わしいと感じています。
2、講演会や出版収入と関連?営利事業者との競業
駆け込み寺の収入源には出版事業、講演事業、その他受託事業等がありました。(受託事業 ≒ 出版事業な気がしないではない)

出版事業収入は2023年度からほぼ消えてしまっていますし、講演事業収入・研修事業収入はネット検索するとすぐに見つけられる、駆け込み寺さんの看板が掲げられた講演・研修等の数に比べるとちょっと少なすぎるようにも思えます。
無償でやってるならいいんですが、会費を集めているケースもかなり多いような、、、
材料がなければ何でだろう?不思議だな?ということで棚上げになる話なのですが、駆け込み寺さんと同住所で活動する、事業内容が被る別団体が存在しているせいで、『駆け込み寺の出版収入とかを関連の営利企業に移したんじゃねーの?』『駆け込み寺の講演収入を関連の営利企業で受けてねーか?』等の疑いを招きかねず、非常に心配に思います。
前提として、「相談」「提案・支援」「講演会・研修会等の啓蒙活動」等は駆け込み寺の定款記載の業務であることをご認識下さい。

そのため、駆け込み寺の『看板』を使って、理事が別途経営する駆け込み寺と同住所の関連?団体でこれらの活動をしている場合は、ちょっと危ない気がします。実際どうなのかが気になるところです。
駆け込み寺と同住所で活動している様子の、事業領域が被る営利企業は2社ありそうです。
1社目は株式会社QRS。
代表者は駆け込み寺の代表者と同じ玄氏です。登記住所は中野区のようですが、HP上の住所は駆け込み寺と同住所になっています。

また「設立」は2023年とありますが、実際の業歴はもっと古いので、使っていなかった会社を、HPから引用すると、

という事業のために再稼働させたのでしょうか?
人間育成、顧問、素行調査、各種調査等はとにかくとして、講演や研修、相談対応は駆け込み寺の事業領域と被りますね。
(素行調査って探偵業の許可いらなかったっけ?本題と違うからあんまり調べてないけど)
2社目はよろず相談研究所株式会社。
登記上の代表者は別の方ですが、HP上は玄氏の相談所と銘打っているので、まあ玄氏の会社と解釈するのが普通でしょう。

登記住所は中野区のようですが、HP上の住所が駆け込み寺と同住所になっている点はQRSと同じです。HPの表示上はビル1Fになっていますが、ZENRIN表札データによると1Fの他に6Fにも表札がある様子。

ちなみに電話番号は下記の青母連と同じですし、公式番号とは違うものの、日本駆け込み寺が使っている番号でもあるようです。
電話対応とかを同じ事務員がしていたら、結構ややこしくないか?こっちは営利企業だし、、、


記事本体は無料掲載期間が終わったっぽいので未確認。
事業内容は「講演」「相談」「出版」の3事業と位置付けているようです。あとは「取材・メディア」対応なんかも同社で受け付けている様子。

出版事業に関しては「駆け込み寺」が前面に押し出されているものが結構ありますが、、、
仮に駆け込み寺で受けていた出版事業収入がこの株式会社に移っていたら危ない気がするけど、大丈夫なのかな、これ?
玄氏個人と駆け込み寺理事としての玄氏を明確に区分するのは難しいですが、2社とも事業実態が駆け込み寺の事務所内にあり、その『看板』を使って相談や講演を営んでいる場合はかなり微妙な気がしますので、心配です。
本来は駆け込み寺が得られる収入を営利団体に付け替えてたみたいな誤解を受けかねないような状況に見えます。
3、その他関連?団体と賃料の問題
① 駆け込み寺の事務所賃料と賃借フロアの変遷
前提として内閣府の公開資料として存在している同社の令和6年度の収支予算書から、同社が賃借している物件は推定できます。ビルの1F、2F、6Fですね。

元をたどると、駆け込み寺のR3年度の地代家賃は3,960千円丁度でした。

右がR3年度
左がR4年度

右がR3年度
左がR4年度
3,643,200+316,800=3,960,000
そして、その数値は駆け込み寺の令和4年度収支予算書と一致します。

駆け込み寺はR4年度までは1Fのみを330千円/月で賃借していましたが、R4年度の期中に事務所を1室(2Fか6Fどっちか?198千円/月)増やしたようで、上掲のR4年度地代家賃は5,655,650円となっています。
R5年度の収支予算書で賃料が528千円/月((330千円+198千円)x12)となっていることからも裏付けられます。

そして、R5年度の期中にさらにもう1フロア借り増ししたことで、上掲のR6年度の収支予算書の通り、1Fを330千円/月で、2Fと6Fを共に198千円/月で賃借するにいたった様子です。
不動産の情報サイトによると、このビルの間取りはこんな感じみたいです。1フロア1室で、トイレと給湯設備があるみたいですね。

ちなみに、このビルは1974年築のかなり古いビルで、当時の建物平面図と照合しても上掲の間取りは違和感はありません。ちなみに登記上の面積は2F-6Fまでは72.5㎡。(1Fの事務所部分は未登記っぽい)

別に誰もそこまで興味ないと思いつつ補足させてもらうと、図面の1Fが細長くなってる(事務所部分が存在しない)のは多分当時はピロティ構造になってて、どこかで1Fの周りを壁で囲って賃貸できるようにしたんだと思います。
旧耐震物件だし、既存不適格物件なので、こういった物件を多数の被支援者を呼び込む拠点に使うこと自体が個人的には嫌ですね。
とはいえ、まあピカピカの新しいビルは賃料も高いだろうし、難しい問題ではあります。
閑話休題。つまり、1フロア1室っぽいので、同じフロアにいくつもの会社が入居できる物件ではなさそうです。(重要)
また、確証はないものの、駆け込み寺が払っている賃料水準は相場程度なので、使用面積や頻度に応じて賃料を他の団体と按分しているわけでもなさそうに見えます。もちろん、実際はわからないですが。
② 事業実態がありそうな関連?営利企業2社
さて、ここで注目したいのが駆け込み寺と同じ住所にあり、かつ従業員が存在していそう(≒事業の実態がありそう)な団体の存在です。
1社目は株式会社玄忠。警備会社みたいです。
代表者は駆け込み寺の理事だった星山さんという方です。顧問には玄氏がついているとのことです。

HP上の住所は駆け込み寺と同じビルの『3F』となっていますが、登記上は階数の表記はなく、社会保険加入事業所としてはビルの1F、つまり駆け込み寺の住所になっています。

後者の方が公的な情報ではあるので、実際どうなんですかね。
続いて2社目。株式会社シー・エスという会社。代表者はなんとコカイン事件で逮捕された田中氏です。
会社HPはなさそうです。登記上の住所は駆け込み寺と同じ1Fになっています。
より目を引くのは、同社の事業内容です。

もちろん登記されているのとまったく同じ業務を行っているとは限りませんが、一般的には1番目の事業が主業であることが多いです。そして、その業務は清掃業務だそうです。
清掃は駆け込み寺のフラッグシップ事業の一つです。

私が悪く考えすぎな可能性もありますが、ボランティアとして集めた人間を動員してこの会社の事業を手伝わせたりしてませんかね?
もちろん何の証拠もないことではあるものの、「公益団体と同じ活動をする営利企業が同じ住所に存在している」という事象は、そういう無用の疑いを招きかねないので、非常によろしくないと思います。
また、同社は社会保険加入者こそいないものの、労働保険・雇用保険の加入者は存在している様子で、いわゆる正職員はいないですが、アルバイト職員は存在していそうです。

玄忠さんも、シー・エスさんも、事業実態は存在していそうですが、公益法人が賃料を払っている事務所をもしも無償で使ってたら結構問題ではあるんですが、大丈夫でしょうか?
また保険の適用状況から推定すると、先述のQRSさんやよろず相談研究所さんには雇用されている職員はいなさそうですが、そもそも駆け込み寺と地続きの業務なので、こちらはむしろ駆け込み寺の従業員が同社の業務を兼任していないかが心配です。もちろん、家賃云々の心配については先述の2社と同じことが言えます。
ちなみに、社会保険や労働保険の加入がなく、相対的に実態が薄そうな団体は省きましたが、駆け込み寺と同じ住所の関連っぽい団体は他にもあります。下部「参考情報1」にまとめています。
いずれの団体も同様の心配はあります。
③ 参考:R5年度若年被害女性等支援事業での賃料補助額
今回はこの観点はさらっと流します。
東京都が若年被害女性等支援事業を通して駆け込み寺に支払った賃料は6,178,130円だそうです。
(期中の報告書に基づくと更新料とシェルター賃借時の初期費用も含むかもしれないんですが、都職員の確認には含まれず)駆け込み寺のR5年度若年事業はR5/7から開始しているので、9か月分の賃料です。
そして駆け込み寺全体のR5年度の12か月分の賃料は8,967,524円でした。
1フロアは期中に借り増しし、またシェルターは若年事業開始の前後に借りた様子なので、仮に4月~6月までの賃料を収支予算書の通り(330+198)x3=1,584千円だと仮定すると、若年事業を受託していた7月から翌年3月までの間に支払った賃料は7,383千円になります。
7,383千円-6,178千円=1,205千円は自己負担していた計算になりますが、駆け込み寺の賃料のほとんどを東京都が負担している構図は成立するので、上述や下部に別途記載する他の団体が実質的に駆け込み寺の事務所を使用しているのだとしたら、公金の適正な使用という面でもかなりしんどい気がします。
3、まとめ
公益財団法人は、その特別な法的地位と税制優遇措置の代わりに、高い公益性と透明性が求められる組織です。
今回の調査で浮かび上がった、理事が経営に関与する複数の関連団体との密接な関係性は、「特別の利益の供与」や理事の忠実義務違反の疑いを招きかねない状況といえます。
住所・事務所の分離や、事業領域や経営資源(ヒト・モノ・カネ)の明確な区分などをきっちり行っていただきたいなと願います。
また、駆け込み寺さんの今回紹介したごちゃごちゃとした状況を踏まえて、若年被害女性等支援事業に採用してヨシッ!と判断した東京都については、結果論ではなく問題がありそうです。
その辺りは次の記事で扱いたいと思います。(次こそ最後にしたい)
以上
参考情報1
上記で言及していない同住所の団体も一応紹介しておきます。
一般社団法人再チャレンジ支援機構。
代表は玄氏。登記上の住所もHP上の住所も駆け込み寺と同じ。ZENRIN表札データによると1Fにある様子。
こちらの業務内容は犯罪加害者の更生や就労がテーマのようなので、駆け込み寺との競業はあんまり気にしなくて良さそう。
続いて、一般社団法人青母連。これも代表者は玄氏ですが、コカイン所持で逮捕された田中氏がここの複数代表の一人であったことも話題になりましたね。
ちなみに5月下旬時点で登記簿謄本を取得しようとすると『登記中』と出て取得できませんでした。多分田中氏を役員から排除して登記しなおしているんでしょう。判断が早い。
HP上で住所はビル1Fになっていますが、ZENRIN表札データによると6Fに存在している様子。
電話番号は上述の「よろず相談研究所」と同じで、その番号は日本駆け込み寺さんも使っておられる番号であることは既に紹介した通りです。

一般社団法人onart。前代表者の天野氏が理事を務める団体です。なんか障がい者アート?の団体。
登記上の住所は目黒区のようですが、HP上は駆け込み寺と同じ住所になっており、実態は歌舞伎町にありそうですね。

その他、関係者と役員は重複していないけれども同住所の団体も見受けられますが、省きます。
参考2 役員報酬水準爆上げ問題
最近まで同社の「看板」である玄氏は代表理事ではなく、ただの理事として一歩引いたポジションで経営を行っておられました。
ただまあメディアへの露出状況等を見ているとずっと実権者ではあったよう感じは受けますね。
R6/6になってから玄氏は単独代表者に(厳密には2か月ほど前代表者の天野氏と複数代表)なり、次いでR7/3になってからまだ20代半ばの若い女性が代表理事に加わりました。現在は複数代表という体制です。

この経緯については実際はよくわからないものの、玄氏によると前代表者天野氏は何らかの不祥事を起こして、玄氏は金策が必要な状況に追い込まれたそうです。
R6年ということは東京都から多額の公金(補助金)を受けて事業を営んでおられた頃なので、お金のトラブルというのはかなり心配な事象ではあります。東京都はどのように認識していたんでしょうか?

この変更に付随して発生したと思われる、役員報酬水準が気になります。
駆け込み寺さんはこれまで役員報酬を非常に低く抑えてきました。それが本件組織体制の変化に際して、代表理事に対する報酬上限を一気に上げています。

もちろん、これはあくまでも上限なので、いきなり今すぐに1,000千円/月という、世間的にはそれなりの高給をとろうとしているわけではないとは思いますが、何らかの意思表示ではあるでしょう。
他の事業から収入がありそうな玄氏と違い、若い女性代表の清水氏はまったくの無名で、駆け込み寺での活動で生計を立てねばいけないでしょうから、その手当てということなのかもしれませんが、300千円でもなく500千円でもなく1,000千円としたことについては、他の理事の報酬の低さも相まって、世間が受ける印象は良くないかもしれず、心配ではあります。
