🌍船舶の排出規制、政治の波に沈む IMO会合「採択延期」の背景にトランプ政権の影

世界の海を行き交う船舶が排出する温室効果ガスをどう減らしていくか。
その国際的な枠組みを決めるはずだった国連の専門機関「IMO(国際海事機関)」の会合が、思わぬ形で暗礁に乗り上げました。

採択が予定されていたのは、船舶によるCO₂排出を抑えるための新たな制度。
排出量の多い船には負担金を課し、削減努力を進めた船には報奨金を出すという仕組みです。
海運の世界でも、脱炭素への転換が待ったなしの課題となっていました。

しかし、結果は採択延期、1年先送り。
サウジアラビアが「採択を1年延期すべき」と提案し、アメリカ・ロシア・湾岸諸国など57か国が賛成。
反対の49か国を上回り、採択は見送られました。
賛成した国の顔ぶれを見ると、アメリカ、中国、ロシア、中東の産油国。
いずれも規制強化に慎重、もしくは反対の立場です。

一方、規制推進を求めたのは欧州諸国や太平洋の島しょ国。
すでに海面上昇の危機に直面する国々です。
そして日本は「棄権」。
「加盟国の分裂を避けるため」と説明しましたが、実際にはアメリカへの配慮が透けて見える対応でした。

背景にあるのは、やはりトランプ政権の強い影響力。
トランプ大統領は以前から「地球温暖化はでっち上げ」「気候変動は史上最大の詐欺」と発言。
会合前日にはSNSで「アメリカとともに反対票を投じよう」と各国に呼びかけました。
さらに国務長官ルビオ氏が声明を発表し、
「賛成した国に対しては港湾使用制限や船員ビザ制限などの措置を検討する」と警告。
事実上の圧力外交が展開されたのです。

こうして、地球規模で進めるべき気候変動対策が、
またも政治の駆け引きの犠牲となってしまいました。
IMOのドミンゲス事務局長は「地政学的な状況によって前進が難しくなった」と述べ、
来年の再採択を目指すとしています。

しかし、トランプ政権が続く限り、状況が大きく変わる見通しは立ちません。
環境よりも国家の思惑が優先される構図は、まだしばらく続きそうです。

🌀地球環境の課題が、政治の風向き一つで揺らぐ。
私たちは、どの国が地球の舵を握るのかを、静かに見つめる時期に来ているのかもしれません。

いいなと思ったら応援しよう!