【企業研究①】NVIDIA株を全部売って、OpenAIに全部突っ込んだ! ソフトバンクグループって何がしたいの?
「ソフトバンク」という名前は誰でも知っている。
でも「ソフトバンクグループ(証券コード:9984)」が今何をしているか、スラスラ説明できる人は少ない。
携帯会社? たしかにそれもある。
でも今のソフトバンクグループは、OpenAIに累計646億ドルを投資し、「AI版の発電所」と呼ばれるStargateプロジェクトの財務責任を担い、スマホから車まであらゆる半導体の設計基準を握るArmを傘下に持つ。
「名前は知ってるけど何をしている会社かよくわからない」——そういう人が多いのには理由がある。ソフトバンクグループは、事業の中身がどんどん変わってきた会社だからだ。
この記事では、今のソフトバンクグループが何で稼いでいるか、孫正義が何に賭けているか、そして「純利益が4倍」が実際どういう意味なのかまで整理する。この記事を読むと、ニュースで「ソフトバンクの純利益が4倍」が出てきたとき、その意味が変わる。投資をしている人なら、株価よりも先に見るべき指標がわかる。
ソフトバンクって、結局何の会社なの。
暇な午後。カウンター越しにモモが話しかけた。
モモ「店長、最近ちょっと投資が気になってて。勉強したいんですけど、どこから手をつければいいですか?」
レイ「……何がきっかけ?」
モモ「友達が株始めたんですよ。でも私、なにも知らなすぎて話についていけなくて」
レイ「じゃあ日本の有名な会社を1社ずつ一緒に見ていくのはどう。毎回1社ずつ、今日からね」
モモ「それいいかも! 最初はどこですか?」
レイ「第1回はソフトバンクグループ(9984)にしようか」
モモ「ソフトバンクってよく聞きますよね。携帯の会社ですよね?」
レイ「そこが最初のポイントね。ソフトバンク(9434)とソフトバンクグループ(9984)は別の会社よ」
モモ「……え、同じ名前なのに別の会社なんですか?」
レイ「ざっくり言うとね、ソフトバンク(9434)は『携帯とネットの会社』。その親会社がソフトバンクグループ(9984)。で、9984のほうは今、AIに賭ける投資持株会社になってる」
モモ「投資持株会社? 通信会社じゃないんですか?」
レイ「事業は4本柱あって。まず通信・ネット系——ソフトバンク、ヤフー、PayPayをまとめたやつ。ここが売上の大半を稼ぐ安定収益源ね。次にビジョンファンド。AIやテック企業に世界中で投資するファンド。3つ目がArmっていう半導体設計の会社。スマホのチップからデータセンターのサーバーまで、今の半導体はほぼArmの設計仕様が入ってる。4つ目がOpenAIや AIインフラ系への直接投資」
モモ「それ全部ソフトバンクグループなんですか? 全然ちがう話が入ってる」
レイ「国内通信で安定してキャッシュを稼いで、そのお金でAI投資に突っ込む、っていう構造なのよ。だから9984を分析するとき、携帯の契約者数とか料金プランとかは関係ない」
モモ「……じゃあ孫さんって、今何屋さんなんですか?」
レイ「……ご本人は『ビジョナリー』って言ってるわね」
モモ「ビジョナリーって、本人が言う感じなんですね……」
レイ「まあ。ただ実績がある人だから、全部を疑うのも難しいのよ」

6兆円以上をOpenAIに突っ込んでいる理由。
モモ「あの、OpenAIに6兆円以上って……なんでそこまで?」
レイ「実はこれ、めちゃ重要なとこで。孫正義の大テーマは『ASI』——人工超知能——の時代にNo.1プラットフォームになること、なの」
モモ「ASIって、AIの次ってことですか?」
レイ「そう。人間の知性を超えたAI。孫さんはそれが近い将来に来ると本気で言ってる。で、その時代の中心にいるのがOpenAIだという判断ね」
モモ「……怖い。でも聞きます」
レイ「2025年12月末時点で、SBGはOpenAIに累計346億ドル投資してて、持分は約11%。そこから追加で300億ドルの投資を発表してて、第1回分の100億ドルはもう実行済み。全部完了したら累計646億ドル、持分は約13%になる見込みよ」
モモ「646億ドル……円だと何兆円くらいですか?」
レイ「今のレートで10兆円前後ね」
モモ「10兆円を一社に……」
レイ「さらにStargateっていうプロジェクトがある。OpenAI・Oracle・MGXと組んで、アメリカにAI用のデータセンターを大量に建設する計画。4年間で総額5,000億ドル、孫さんが会長になってる」
モモ「5,000億ドル……数字の単位がもう感覚なくなってきました」
レイ「日本の国家予算の2年分くらいよ。ただ重要なのは、StargateはAIのソフトウェアを作る話じゃなくて、AIを動かすための電力とサーバーとインフラを整備する話だってこと」
モモ「あ、ChatGPTみたいなのを動かすための設備を作ってるんだ。AIの脳みそじゃなくて、心臓と筋肉を押さえようとしてるってことですか?」
レイ「……まあ、そういう見方でいいわ」

NVIDIAを全部売って、OpenAIに乗り換えた。
モモ「あの、ちょっと聞いていいですか? ソフトバンクってNVIDIA持ってませんでしたっけ? どこかで見た気がして」
レイ「持ってたわよ。2025年10月に全部売った」
モモ「全部売ったんですか! NVIDIA、めちゃくちゃ値上がりしてましたよね。なんで手放したんですか?」
レイ「OpenAIへの追加投資に資金を回すため。3,210万株、58億ドル以上を全部換金した。T-Mobile株も売ってる」
モモ「利益が出てる優良株を売って、OpenAIに全部突っ込んだってこと?」
レイ「そうよ。既存の安定した持ち株を換金して、OpenAIに集中した、っていう判断ね」
モモ「なんか……全部ベットしてるみたいで、怖いですね」
レイ「怖いと思う人もいるし、孫さんらしいと感じる人もいる。ビジョンファンドで大きな利益を上げてきた実績がある人だっていうのが、評価の前提にあるのよ。だから市場の見方が割れてる」
モモ「見方が割れてるって、どっちに?」
レイ「『WeWorkの再来になる』という声と、『AI時代の最大賭けに勝つ』という声がぶつかってる。どちらも根拠があるのよ」
利益が4倍だけど、現金じゃない。そしてWeWork。
モモ「あの、今期の純利益が4倍になったってどこかで見たんですけど、ほんとですか?」
レイ「ほんとよ。2025年4月〜12月の累計で3兆1,727億円。前年同期比で+398.7%ね」
モモ「え! 3兆円、4倍! めちゃくちゃ儲かってるじゃないですか!」
レイ「ここが大事なとこよ。この利益の大半は、『OpenAIの評価額が上がった』ことで生まれた評価益なの」
モモ「評価益?」
レイ「OpenAIは非上場だから、株式市場で売買されてない。でも資金調達のたびに会社の評価額が決まる。2024年9月に1,500億ドルだったのが、2025年3月には2,600億ドル、2025年10月には5,000億ドルに上がった。SBGはOpenAIの株を持ってるから、その上昇分が会計上の利益として計上される」

モモ「つまり……まだ売ってないから、手元に現金はないってことですか?」
レイ「そうよ。OpenAIが上場してないから売れない。だから『3兆円儲かった』は正確じゃなくて、『3兆円の評価益が会計上出た』が正しい表現ね。OpenAIが上場して実際に売れたとき、初めて現金になる」
モモ「数字としてはあるけど、まだ手元にはない、って感じですね」
レイ「そういうこと。で、もう一個あって」
モモ「まだありますか?」
レイ「2026年3月、OpenAIへの追加投資等のために約400億ドル——6兆円超——の融資枠を契約してる。返済期限は2027年3月」
モモ「6兆円の借金……」
レイ「さらに踏み込むと、ビジョンファンドには過去に大きな失敗もあって。WeWork、って聞いたことある?」
モモ「シェアオフィスの会社ですよね。倒産したやつ」
レイ「そう。ビジョンファンド第1号でWeWorkに34億ドル以上を投じた。回収額は0円」
モモ「ゼロ! ほんとに0円ですか?」
レイ「投資リターンを示す指標で『MOIC 0.0倍』って公式の資料に出てる。投じたお金は全部なくなったってこと」
モモ「34億ドルって5,000億円くらいじゃないですか……それが0になるって、怒っていいやつですよね?」
レイ「……まあ、そうなのよ。だから『純利益3兆円』の一方に、こういう側面もある、というのを知った上で見ないといけないわ」

じゃあ、この会社をどう読めばいいの。
モモ「つまりソフトバンクGって、すごいんだけど怖い会社、ってことですか?」
レイ「面白い会社、くらいにしておいて。で、見方の話をするね」
モモ「はい」
レイ「ソフトバンクGを評価するとき、売上高や純利益はあまり意味がないの。利益の大半が評価益だから、実態を正確に反映してない」
モモ「じゃあ何を見ればいいんですか?」
レイ「3つある。NAV・LTV・保有株式価値。ちゃんと言うとね——NAVっていうのは『保有している株の時価から借金を引いた実質的な資産価値』のこと。2025年12月末で約30.9兆円」
モモ「ちょっと難しい……」
レイ「家で考えると。市場で4,000万円の価値がある家を持っていて、住宅ローンが1,000万円残ってるとする。実質的な純資産は3,000万円。それがNAVの考え方。SBGの場合、保有株式が39兆円相当あるけど借金があるから、実質30.9兆円ってこと」
モモ「あ、そっちの方がわかりやすい」
レイ「LTVは借金の比率。保有資産に対して借金がどれくらいあるかを示す数字で、今は20.6%。社内基準が25%未満だから今は収まってる。ただ追加投資で増えていくから、ここは注視が必要ね」
モモ「今は大丈夫だけど、今後は、ってことですか?」
レイ「そういうこと。保有株式価値っていうのは単純で、今どんな株をどれだけ持ってるか。SBGの場合、OpenAIとArmの評価が大きく動く。だから株価を追うより、OpenAIの最新ラウンド評価額とArmの株価を見た方が、SBGの実態が見えやすいわ」
モモ「なんか証券アナリストみたいな話になってきた」
レイ「常連さんで株やってる人に話してみて。『純利益4倍って言っても評価益だからね、現金じゃないよ』って言えたら、それだけで話が変わるから」
モモ「常連さんに話したい。株やってる人多いから」
レイ「そのとき使えるフレーズも一個渡しておくわね」
💬 知ってると一目置かれる一言
レイ「ソフトバンクGが話題になったとき、使えるフレーズがある。『NAVディスカウント』」
モモ「NAVディスカウント?」
レイ「SBGはNAVが約30.9兆円あるのに、株式の時価総額はそれより低い水準に置かれることが多い。つまり実質的な価値より株が安く買える状態、それをNAVディスカウントっていうの」
モモ「それって、お買い得ってことですか?」
レイ「単純にお買い得とは言い切れないわ。ディスカウントには理由がある——評価益はまだ現金じゃない、借金は増えている、孫さん一人の判断に大きく依存している。そういうリスクが株価に織り込まれてるから安く見える」
モモ「リスクが値段に出てるってことか」
レイ「そうよ。『安いから買い』でも、『怖いから売り』でもない。構造を知った上で判断する、それが使える知識ね」
モモ「NAVディスカウント、ちゃんと覚えました」

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モモ「読んでくれてありがとうございます! ソフトバンクGって名前は知ってるけど複雑で……って思ってたんですけど、少し整理できた気がします。次にニュースで出てきたとき、ちょっと違う目線で読めるようになってるといいな。スキ❤️ もらえると嬉しいです。フォローしてくれると次の記事も届きます。また次回〜!」
※この記事は2026年4月28日時点の情報をもとに作成しています。

