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「代わりに」は魔法の言葉

「指で「うつす」」の続きです。その記事の大切なところをまとめます。

 移せないから写したり映す――。
 移す代わりに写したり映す――。

「うつす」をテーマにするさいには、「代わりに」は大切な言い回しだと思います。代償行動という側面を浮彫りにする言葉だからです。

 そんなわけで、「代わりに」は魔法の言葉なのです。


代わりに

 
「人は人に似ているものをつくる、人は人のつくるものに似ていく」でもお話ししましたが、人は実に興味深いことをしています。

 厚いものの代わりに薄いもので済ます。
 深いものの代わりに浅いもので済ます。
 太いものの代わりに細いもので済ます。

 大きいものの代わりに小さいもので済ます。
 重いものの代わりに軽いもので済ます。
 長いものの代わりに短いもので済ます。

 人間の代わりに人間でないもので済ます。
 人間でないものの代わりに人間のようなもので済ます。

 遠いものの代わりに近いもので済ます。 
 遠くを知覚する。
 遠くを近くする。

     *

 上のように文として並べてみると、不思議な行動にも見えないことはありません。

 でも、じっさいにやっているのです。

 私たちは、そういう行動の産物に囲まれて生きています。そうした物がなければ、とても困ったことになるでしょう。

形を変えることで「代わりに」つかう


 具体的に見てみましょう。

 巻物、レコードの溝、カセットテープ、映画のフィルム、ビデオテープ、蚊取り線香、トイレットペーパー。

 長い直線状の物の「代わりに」ぐるぐる巻いた物をつかっている、という例です。

・形を「変える」ことで「代わりに」つかう

「変える」と「代わる」が近い行為であることに注目しましょう。

 かえる、変える、代える、換える、替える
 かわる、変わる、代わる、換わる、替わる
 

「代わりに」なんて、しれっと言うと誤魔化されそうになりますが、「代わりに」とは「変わる」にほかなりません。

     *

 後述しますが、すり替えなのです。「すり替える」は「すり変える」と書いてもいいくらい。

 変化、へんか・へんげ――ぶっちゃけた話が、変わるし化けるのです。

「代」、「換」、「替」という漢字の字面には「変わる感」と「化ける感」がなさすぎるのです。私に言わせると。

 代議制がいい例です。代理であるはずの代表が豹変するじゃないですか。化けすぎです。

 話を戻します。

     *

・長い直線状の物の代わりにぐるぐる巻いた物をつかっている。
・長い直線状の物の代わりにぐるぐる巻いた「同じ物」をつかっている。

 これは収納法の問題だと言えそうです。同じ物を別の形に「変える」という方法で収納するという工夫なのです。要するに、「代用(代わりに用いる)」です。

 長い線状の物は収納に不便だから、巻いてコンパクトにしているのでしょう。すごい工夫です。生活の知恵というか。

 人は、ヒトは、人間は、人類は、ホモ・サピエンスは、――何と呼ぼうと――すごいなあ、とあらためて感心します。

 もっと、すごい例を挙げます。

Aの代わりにAとはまったく別のものをつかう


 絵、遠近法、地図、世界地図、地球儀、年表、言葉(音、文字、表情、身振り、しるし)、放送、報道、写真、レントゲン、顕微鏡、望遠鏡、電話、電報、放送、孫の手、糸電話、人生ゲーム、ゲーム、人形、キャラクター、小説、演劇、漫画、アニメ、ロボット、仮想現実、人工知能、生成AI、MRI、CT、遠隔操作、遠隔医療。

 以上をまとめてみます。

・Aの代わりにAとはまったく別のもので済ませる。
・Aの代わりにBをつかう。

 AとBが別物だったり、異質な物であったりする点がきわめて大切です。さきほど上で見た収納法の問題とは根本的に異なる方法が用いられています。

     *

 もう少し説明します。

 地図がわかりやすいと思います。地図は現地とはまったく別のものです。

 地球の一部である現地を、紙面上のインクや顔料の染みによる点と線と面の模様に置き換えているのですから。

 現地 ⇒ 地図
 地面 ⇒ 紙面
 地勢 ⇒ 模様
 立体 ⇒ 平面
 三次元 ⇒ 二次元
 大きい ⇒ 小さい (縮尺)

 代用(代わりに用いる)とは置き換えなのです(当たり前ですけど)。置き換えをすり替えと言っても大差はないと思います。

 人形もわかりやすいです。人形(にんぎょう・ひとかた・ひとがた)はそのモデルである人体ではありません。両者は別物です。あと人間とも別物です。

 人形・人体・人間――三者は私にってはまったく別の物です。似ているけど別物です。でも、人はこの三者に魂が宿っていると感じます。このことについては近いうちに記事にします。

 仮想現実もわかりやすいでしょう。現実を模したものだから、「仮想」現実と呼んでいるのです。

「模擬」現実とも言えそうです。現実を模して擬しているからです。模擬と言えば、模擬店を思いだします。あと、模擬試験も。

     *

 話を戻します。

 絵、遠近法、地図、世界地図、地球儀、年表、言葉(音、文字、表情、身振り、しるし)、放送、報道、写真、レントゲン、顕微鏡、望遠鏡、電話、電報、放送、孫の手、糸電話、人生ゲーム、ゲーム、人形、キャラクター、小説、演劇、漫画、アニメ、ロボット、仮想現実、人工知能、生成AI、MRI、CT、遠隔操作、遠隔医療。

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 みなさんも、上に列挙した例を見ながら、何が何に置き換わっているのかを考えてみると刺激的な体験になるかもしれません。

見えないものの代わりに見えるもので済ます


 次回は、「見えないものの代わりに見えるもので済ます」という代用、つまり置き換えについてお話しする予定です。

 私はこれが人類の考え出した究極の代用だと思います。

 時計、鏡、文字、映像――この四つを対象にしての話になりますが、今回の話とも重なります。

 見えないもの ⇒ 見えるもの

 何が見えなくて何が見えるのでしょう? 

 正解なんてないと思います。特に「何が見えないか」については意見が分かれがちです。ものがどう見えるか(つまりどう見えないか)は人ぞれぞれなのです。

 視力の問題では必ずしもなく、文化や宗教や言語や地域や生活環境や時代によって多様なのです。もちろん、その時々の気分や個人差もあります。

(つづく)

#置き換える #すり替える #代用 #代償 #収納 #地図