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窓なし部屋に「自然」を再現する。脳のパフォーマンスを引き出す 『光のデスク設計術』②


1. はじめに

正直に言うと、以前の私は、
自分のデスクが好きではありませんでした。

わが家の、外窓のない書斎のデスクに座ると、
明るくしているはずなのに、なぜか落ち着かない。
集中したいのに、気が散ってしまう。

「自分の意思が弱いせいだ」
そう思い込みながら、使っていました。

以前の私の書斎(Before)

転機は、
「窓のない部屋でも、照明で“朝”は作れる」
と気づいたことでした。

そこから光を“感覚”ではなく、構造から見直し始め、
今では同じ部屋とは思えないほど、座った瞬間の感覚が変わりました。

現在の書斎(After)

前回の記事では、
光の基本となる「仕組み」をお伝えしました。

今回は、その続きとして、
脳のパフォーマンスを引き出すための、“光の設計図”
をまとめています。

【この記事はこんな人におすすめ】

  • ライトを増やしたのに、雰囲気が整わない

  • デスクで集中しづらく、疲れやすい

  • くつろぎたいのに、落ち着かない

ひとつでもあてはまったら、
ぜひこの先を読み進めてみてください。


2. "脳のパフォーマンス"を最大化するメカニズム

前回の記事では、「色×位置=時間」というお話をしました。

でも、丸いシーリングライトを体の真横で光らせても、
落ち着く雰囲気のいい部屋にはなりません。

そこに欠けているのは、"影"です。

私たち人類の脳は、数百万年前の狩猟採集時代から、
光と影の濃淡を手がかりに、空間の奥行きや環境の変化、獣の気配など、
多くの情報を読み取るよう進化してきました。

自然界では、
複数の光が折り重なって、複雑な陰影を作っています。

自然界は複数の光でできている

一方で、天井の丸いシーリングライトは、
影を消して、一灯で均一に照らすための照明です。

私たちの脳は、このような光の空間を、
「“影=​情報”が少ない不自然な環境」、あるいは
「隠れる場所がない状態」と誤認し、
無意識に緊張感を高めてしまいます。

脳の状態と影の関係

つまり、
部屋で落ち着いてパフォーマンスを発揮したいなら、
「自然界の影」を取り戻すことが効果的です。


3. 光のデスクの配置ルール:3層×対角の多灯ライティング

『なんだか難しそう…』
そう思われたかもしれませんが、心配はいりません。

「自然界の影」を部屋で再現する方法は、とてもシンプルです。

それが、
複数の光を配置すること(多灯ライティング)』です。

前回テーマが、
色 × 位置 = 『 時間 のデザイン 』
だとすれば、

今回は、
光の数 = 『 奥行き のデザイン 』

覚える配置ルールは、2つだけです。


ルール1:空間を「3層」に分ける

自然界の時間を表すために、空間を縦3層に分けてライトを配置します。(前回の復習)

空間を3層に分けた図
  • Layer 1(上層) |  日中の光
    役割:ベースの明るさ

  • Layer 2(中層)| 夕方の光
    役割:メインのあかり、手元のあかり

  • Layer 3(下層)| 夜の光
    役割:アクセント、落ち着き、没入感

ルール2:「対角(ジグザグ)」に配置する

自然界の複雑な陰影を表すために、
ライトは高さを変えながら、左右に対角で配置します。

ライトを対角に配置した図

こうすると、
あるライトが生んだ影を、別のライトがやわらげる
“フィルライト効果”も生まれます。


4. わが家の“設計例”

ここからは、わが家のデスクを例に、
光の配置を具体的に見ていきます。

空間を3層に分けた例
  • Layer 1(上層):ボール状のシーリングライトで、ベースの明るさをつくる。

  • Layer 2(中層): 複数のテーブルランプ、モニターライト、LEDテープライトで、手元の雰囲気と作業中の光量を確保する。

  • Layer 3(下層): テーブルランプ(棚下段・床置き)で、重心を下げてリラックス効果を演出する。

これらのライトを、
高さを変えながら左右にジグザグに配置しています。

ジグザグに配置した光の例

光が一点に集まらず、
陰影がやわらかく重なり合うことで、
部屋全体に自然な奥行きが生まれます。

この状態では、脳が無意識の緊張を解き、
集中とリラックスを行き来しやすくなります。


5. 配置で失敗しないための3つのポイント

最後に、配置の際につまずきやすいポイントを3つご紹介します。

ポイント1:光源は「見せない」

光源が直接見えるとまぶしい上に、視線が誘導されてしまい、集中を妨げます。

座った位置から電球が見えない場所に置くか、
シェード(傘)のあるランプを選んでください。

乳白色のガラスシェードのランプ(IKEA トカボ)

ポイント2:迷ったら「スマホのカメラ」で見る

人の目は優秀すぎて、
暗い場所や逆光を無意識に補正してしまいます。

そこで有効なのが、
部屋全体をスマホのカメラ越しに見ること。

写真にすると、
光の偏りや暗がりが一目で分かり、
配置調整が驚くほど楽になります。

スマホのカメラ越しに部屋を見る

ポイント3:スイッチの場所から「自由」になる(スマート電球)

「こんなにたくさん置いたら操作が大変では…?」
その心配には、スマート電球が解決策になります。

わが家の書斎では、ポータブルライト以外すべてスマート化しています。
スマホ・声・センサーで操作できるため、
日常的な負担は最小限です。

操作の制約がなくなると、
置き場所の自由度も一気に広がります。

スマート電球とライトをコントロールするスマホアプリ(PHILIPS Hue)

6. まとめ

​影がない部屋は「緊張」。
影がある部屋は「安心」。

これは理屈だけではなく、私自身が体感してきた事実でもあります。

今回お伝えしたのは、
インテリアのテクニックというより、
人の体と脳に合った「環境の戻し方」です。

もし今、
「家ではなぜか落ち着かない」
「デスクに座ると気が張る」
そう感じているなら、

ぜひこの設計図で、
“影を取り戻す”ところから始めてみてください。

次回は、カラーライトやテープライトといった、
“世界観をつくる照明”について、
もう一段踏み込んでまとめます。

【2025/12/29 追記】
実際に使っている照明は、こちらの記事にまとめています。
なにを選んだらいいか迷ったら、参考にしてみてください。


また次の記事でお会いしましょう。


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