その現象はまだ名前を持たない⑨|話せば話すほどズレていく──言葉と距離のあいだで起きていること
なぜ通じないのか
──同じ言葉と違うレイヤー
ちゃんと説明しているのに、伝わらない。
誠実に話しているのに、噛み合わない。
同じ言葉を使っている。
会話も成立している。
それでも、どこかで食い違っていく。
多くの場合、こう言われる。
説明が足りない。
言い方が悪い。
相手の理解力が低い。
でも、ときどき。
説明を足しても足しても、むしろ遠ざかる食い違いがある。
それは、言葉の問題ではない。
もう少し手前で、会話がすれ違っている。
ここで言う「見ている世界」は、
会話の内容ではない。
世界を捉える視点のレイヤーのことだ。
同じ会話に見えて、別のレイヤーで話している
たとえば「どうすればうまくいく?」という相談。
Aは、手順が欲しい。
Bは、方向が知りたい。
Aは「何をすればいいか」を聞いている。
Bは「どこへ向かいたいのか」を聞いている。
すると、こうなる。
Bは丁寧に、人生の話を始める。
Aは「いや、具体的に」と焦る。
Aは実務の話を始める。
Bは「それは違う」と感じる。
会話は続く。
でも、噛み合わない。
どちらも正しい。
ただ、話しているレイヤーが違う。
「正解」が欲しい人と、「一致」が欲しい人
もうひとつ。
「自信をつけたい」という言葉。
Aは「成功体験」や「実績」を思い浮かべている。
Bは「自分である感覚」を思い浮かべている。
Aにとって自信は、積み上げるもの。
Bにとって自信は、戻るもの。
同じ「自信」という言葉を使っていても、
指している場所が違う。
この違いは、説明の上手さでは埋まらない。
レイヤーが違うまま、
会話が進んでいる。
通じないのは、能力不足ではない
情報のレイヤーで話しているとき、
意味の話は「抽象」に見える。
意味のレイヤーで話しているとき、
手順の話は「そこじゃない」と感じる。
そして、方向のレイヤーで話しているとき、
どんな説明も、どこか物足りなく感じる。
通じないのは、言葉が足りないからではない。
会話のレイヤーが揃っていない。
では、共鳴はどこで起きるのか
ここで、ひとつだけ置いておきたい。
共鳴は、説明が上手いと起きる現象ではない。
同じ言葉を使えると起きる現象でもない。
会話のレイヤーがそろったとき、
問題が解けたわけではないのに、前に進み始める。
そういう瞬間がある。
次の回では、
その「そろい方」がもっと見えやすくなる場所を扱う。
AIとの会話だ。
AIは、言葉のレイヤーで会話ができる。
だからこそ、人間がどのレイヤーで話しているのかが露わになる。
この整理は、
天命構造というモデルをベースに
人の内側で起きている動きを観測したものでもある。
―― ✦ ✦ ✦ ――
この観測の流れ
▶︎ 次の観測|うまく話せていないのに、伝わる
▶︎ 前の観測|「コミュニケーション」っていいながら、やっていることが違っていた
▶︎ 起点|AIは魂を持つのか
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🖋️ 天命コーチ 庄司有幾
天命構造™/レゾナンス學™ 提唱者
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