その現象はまだ名前を持たない⑧|「コミュニケーション」っていいながら、やっていることが違っていた
コミュ力は能力なのか
──なぜ人は同じ言葉で、すれ違うのか
うまく話しているのに、届かない
うまく話しているのに、
なぜか届いていない。
説明はできているはずなのに、
どこか噛み合っていない。
そんな感覚はないだろうか。
言葉は出ている。
会話も成立している。
それでも、
どこかに小さなズレが残る。
あとになって振り返ると、
「何を言ったか」よりも
「なぜ通じなかったのか」のほうが
気になり続けることがある。
「コミュ力」という言葉の曖昧さ
私たちはそれを、
「コミュ力」の問題だと考えることが多い。
説明が足りなかったのかもしれない。
言い方が悪かったのかもしれない。
もっと上手く話せる人なら、
きっと伝わったはずだ、と。
けれど本当にそうだろうか。
もしかすると、
私たちは「コミュ力」という言葉で、
いくつかの違う力を
まとめて呼んでしまっているのかもしれない。
社会の中で評価される「コミュ力」は、
ひとつの能力ではない。
少なくとも、
三つの違う働きが混ざっている。
社会化(Socialization):
ズレを起こさない力
ひとつ目は、
社会化(Socialization)。
場に合わせる力。
空気を読む力。
浮かないように振る舞う力。
ズレを起こさない力。
会議で場の流れを読み、
余計な衝突を起こさない。
学校や職場で、
その場の常識に合わせて振る舞う。
社会の中で生きていくうえで、
とても大切な能力だ。
コミュニケーション(Communication):
ズレを埋める力
二つ目は、
コミュニケーション(Communication)。
こちらは少し違う。
自分の意図を持ち、
それを相手が受け取れる形に組み替えて渡す。
何が言いたいのか。
どこが重要なのか。
構造を整えながら、
言葉を配置していく。
ズレを起こさないのではなく、
ズレを埋めていく働きだ。
そしてもうひとつの現象
この二つは、
よく似ている。
けれど、まったく違う。
社会化は、
ズレを起こさない力。
コミュニケーションは、
ズレを埋める力。
だから、
どちらも「コミュ力」と呼ばれてしまうと、
ときどき奇妙なことが起きる。
場には馴染めるのに、
なぜか本当に言いたいことは伝わらない。
逆に、
考えは整理できているのに、
場の空気にはどうしても馴染めない。
そんなズレが生まれる。
レゾナンス(Resonance):
ズレがあるから起きる現象
そしてもうひとつ、
ここまでとは少し違う現象がある。
それは、
説明していないのに伝わる瞬間。
言葉が多くなくても、
なぜか同じところを見ていると感じる瞬間。
会話が終わったあと、
何かが動き始めていると分かる瞬間。
そこでは、
ズレは消えていない。
むしろ、
違うまま並んでいる。
それでも、
なぜか同じ方向へ進み始める。
この現象を、
ここでは「共鳴(レゾナンス)」と呼ぶ。
コミュ力は、ひとつの能力ではない
社会化は、
ズレを起こさない力。
コミュニケーションは、
ズレを埋める力。
共鳴は、
ズレがあるから起きる現象。
もしそうだとすれば。
私たちが「コミュ力」と呼んできたものは、
本当はひとつの能力ではなかったのかもしれない。
社会の中でうまく振る舞う力。
言葉を構造として渡す力。
そして、
違うまま響き合う現象。
なぜ人は、すれ違うのか
通じなかった会話。
説明しても噛み合わなかった時間。
そのなかには、
単なる能力不足ではなく、
別の構造の違いが含まれていたのかもしれない。
ではなぜ、
同じ言葉を使っているのに
人はすれ違ってしまうのだろう。
それは、
言葉の問題なのか。
それとも、
もっと別の場所で起きていることなのか。
たぶん、言葉だけの問題ではない。
同じ言葉を使っていても、
見ている世界が違う。
次の回では、
その「世界の違い」を見ていく。
言葉の前にある、
「思考のかたち」の違いについて。
この整理は、
天命構造というモデルをベースに
人の内側で起きている動きを観測したものでもある。
🌎 Official Global Edition
We Kept Calling It “Communication” — But We Were Doing Different Things
―― ✦ ✦ ✦ ――
この観測の流れ
▶︎ 次の観測|話せば話すほどズレていく
▶︎ 前の観測|本音・本心・直感は同じではない
▶︎ 起点|AIは魂を持つのか
―― ✦ ✦ ✦ ――
🖋️ 天命コーチ 庄司有幾
天命構造™/レゾナンス學™ 提唱者
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