見出し画像

【簡単あらすじ】労働Gメンが来る!(微ネタバレ)【上野歩/光文社文庫】


『 それでも、あたしは働く人の側に立ちます 』


労働基準監督官に採用された清野清乃が、様々な業界で働く人の労働問題に取り組むお仕事物語。

終業時刻を過ぎた分に対する残業代請求
働いた分に対する(社長の考えによる)賃金の未払い
モノづくり現場での労災問題
社長から従業員へのセクシュアルハラスメント

身近で誰もが当事者になる可能性のある問題です。


『はじめに』
かなり秋も深まり、最低気温は10℃前後・最高気温も25℃を下回ることも多くなるなど、読書が捗る時期になっており、私だけでなく読書好きとしては大変嬉しい時期ではないでしょうか。
今の時期は、自室でも外出先でも読書が出来るという大変良いシチュエーションを得られますので、最近読んで印象に残ったり、買ったまま積んでいたりした本の感想を書こうと思います。
この感想で、その作品や著者に少しでも興味を持って頂ける内容にしたと思いながら書いていますが、登場人物やぼんやりしたあらすじなど、『微ネタバレ要素』を含む記載がありますので、その点にご注意ください。

本作品は、労働基準監督署/監督官についてスポットを当てた作品ですので、私の業務(人事労務関連)に深くかかわってきており、そのため興味をもった作品です。

労働基準監督官としてデビューした新人・清野清乃と、その教育係・藤原が中心のお仕事物語です。

本作は、以下六章の短編集になっているのですが、全て私が本業で体験したことのあるものなので、分かりみが深いですね。
(第四章も、社長の職業が違うだけで実際にあります…)

第一章 賃金未払い

労基署の窓口に、あるお弁当店で働いていた雨宮という女性が「残業代五千円の未払いがある。支払わせて欲しい」という相談に来る。
その店に調査に入った清野と藤原は、店長から「雨宮だけには残業代を支払いたくない」と宣言される。

第二章 労働災害

プレス機械を使用する会社で、労働災害が発生した。
社長は「機械の安全装置は外すなと徹底していた」とし、ケガをした従業員も「装置を外した自分が悪い」と言うが…

第三章 壁の穴

「一か月分の賃金が支払われていない」と相談に来た赤巻が勤務していた会社を訪問する清野と藤原。会社社長は壁の穴の修理代として充当するので、支払うつもりはないと言う。
赤巻が穴をあけたことは事実で、弁償の必要があると見当をつけたが、調査を進めると違った問題があることに気づく。

第四章 ガサ

10人ものパートが、賃金の未払いについて相談に来た。
清野と藤原が会社を訪問すると、社長は「今度こそスゴイものを見つけた!上手くいけば一攫千金!遅れている給与を支払うなんて屁でもない!」と豪語する。

第五章 セクシュアルハラスメント

清野は、窓口で「既婚の社長から付き合って欲しいと言われ、それが原因で会社を退職した」という相談を受ける。憤慨した清野だったが、主任から「餅は餅屋に任せよう」と説得される。

第六章 働き方の未来

訓練期間が終わり、監督官として本格的にデビューした清野の元には、「育休を取得しているものの、現状に申し訳なさと焦燥感に悩んでいる男性」や、「コロナ病棟で働くように強制された妊娠中の看護師」などの相談を受ける。

本作は、労働基準監督官という多くの方があまり聞いたことがない職業がテーマです。

監督官視点
「あまりやりすぎるなよ。俺たちの目的は、会社を潰すことじゃないからな」

P162

社長視点
「罰則がなければ違反してもいいの!?罰則がなければ守らないってどうなの!?」

P248

従業員視点
「休みだけ取って、家事も育児も手伝わない“なんちゃって育休”夫も多いそうですし」

P280

というように、初読みの作家さんでしたが、きちんと現場の取材もされているのでしょう、私だけでなく、人事労務に関わっている方ならば、読みながら「ホントにそう」と深く納得するところも多いのではないでしょうか。

だからではありませんが、社長や人事労務に関連した事務を行っている方、人事労務関連業界がどのように動いているのかを知りたい方、などに大変おススメです。

個人的には、

「“一メートルは一命取る”って言葉が安全衛生の世界にはあるんだ、セーノちゃん」

P56

という言葉は、働いている方、特に現場で働いている方は常に頭に入れておいて欲しい言葉でした。

また、第三章にある「この事例は労災にあてはまるかどうか」クイズは、社会人であれば知ってて損は無いと思います!



★他の小説レビュー★



いいなと思ったら応援しよう!

モチベーター講師P206|学校教育と読書レビューとスイーツも 記事を読んで頂いた方に、何かしらのプラスを届けたいと考えています。

この記事が参加している募集