タイのあくまき(灰汁笹巻き)ข้าวต้มด่าง Khao Tom Dang by Toto Sompong. Korat Thailand 和菓子なスクチャイ309 2026.08.15
和菓子なスクチャイ309 Thailand > Nakhon Ratchasima (Khorat)
※くまの身長は7.5cm。大きさの参考に。
<序>
今回は日本国外でお菓子のルーツを探る内容なので、厳密には「和菓子」の話題にはなっていない。話の流れから一応「和菓子シリーズ」に入れるが、この記事は番外編として理解してもらえれば幸いだ。
鹿児島県内(と宮崎県の一部)の「あくまき」あるいは山形庄内の「灰汁の笹巻き」とそっくりな食べ物がタイにあると聞き、さっそく現地の若き友人(吾輩と同じ農学分野の研究者仲間)に調べてもらった。
タイでの「灰汁の笹巻き」は、タイ語でข้าวต้มด่างだ。アルファベット表記、つまり発音はKhao Tom Dang。
これを当人に知ってるかと問うとあっさり何度も食べたことがあるという返答だった。つまりごく普通のおやつなのだ。吾輩はとても驚いた。日本以上に普通のおやつなのだ。
次の土曜日の朝に市場に行くのでそこで探してみる、ということで今日(土曜日)の午後に、さっそく彼からリポートが届いたのでここに報告する。もちろん本人には断っているし、本人はここに書かれることをむしろ楽しみにしているのだ。
なお、当人はToto Sompong(名前を出していいとの許可済)と言う名の「いいヤツ」で、10年以上もの友人だ。以前、吾輩がタイに滞在していた時に大学構内で知り合った。研究分野が同じ農学であり、バンコクの王立Mahidol大学で農学を修めた秀才である。現在はNakhon Ratchasima (Khorat)の実家に在住する。
ちなみに思い出話になるが、吾輩が現地にいた当時、彼が参加しているチェンマイ郊外の自給自足のコミュニティーに参加させてもらったことがある。彼は食事時になるとその辺の草や野菜を摘んできて、薪の竈で手際よく調理して「実に旨い」タイ料理が出来上がるのだった。食いしん坊の吾輩はとても嬉しかった。限られた敷地内で寝泊まりして衣食住がまかなえる一種理想のタイでの自給自足生活の真似事をさせてもらってとても感激した思い出がある。
さて、以下が彼のリポートだ。
英文で報告してくれたが、一応吾輩が日本語で説明する。
なお原文(タイ語から翻訳した英語とのこと)は最後に全文を載せておくので読める人は英文も読んでみたらいいだろう。

1.早朝市場に行って「灰汁の笹巻き」を探して買った話。2026/08/15

Photo Credit: Toto Sompong 2026/08/15
※ボルド太文字部は(カッコ)で吾輩が適宜注釈を加える。
※また、ここでの主語一人称「私」は彼のことだ。

Photo Credit: Toto Sompong 2026/08/15
1.1.朝起きて市場に行くまで
土曜日、私はカオ・トム・ダンを鉄道駅にある市場に探しに行くので朝早く起きた。母と一緒に托鉢僧に施し(タム・ブン)を行ってから出かける用意をして、8時頃に家を出発した。
(カオ・トム・ダン:タイ語で灰汁の笹巻きのこと。文字が意味するのはカオ:米、トム:茹でる、ダン:灰汁で、一般には朝食によく食べられて吾輩も大好きな美味しいタイ式お粥「カオ・トム」だ。吾輩は長らくカオ・トム=rice soupと覚えていたが実は違って=rice boiledという意味になる。つまりカオ・トム・ダンは灰汁で煮た米ということであくまきの中身の米のことを意味し、それがそのまま食べ物の名前となるのだ。)
(鉄道駅:Thanon Chira Junctionタノン・チラ・ジャンクション駅:地域の中央駅であるNakhon Ratchasimaナコーン・ラチャーシマー駅のひとつ東側の駅で、この駅から北部のKhon Kaenコーンケーンと東部のUbon Ratchathaniウボン・ラーチャターニーへ行く鉄道が分岐するのでジャンクションという名が付いている。BankokからKhon KaenとUbon Ratchathaniへ吾輩は何度か鉄道で往復していて、隣の大きなNakhon Ratchasima駅で下車して徒歩圏内の安いゲストハウスに泊まったことがある。しかしさすがにその次の駅Thanon Chira Junctionでは下車してないし、せいぜい北と東に線路が分岐する様子をぼんやりと車内から眺めていた程度だ。これはタイ放浪時代の初期の話なのでさすがに詳しくは覚えていない。)
(タム・ブン=徳を積むという意味の施しで、道脇に座って、歩いて来る托鉢僧の鉢バアツに食料や料理や金銭などを入れて差し上げること。これを読んでいてタイの毎朝の情景がパァと目の前に広がり吾輩はとても懐かしく思うのだ。・・・と吾輩のタイの思い出ばっかりに浸っていても仕方ないので先に進もう)
私は普段使わない町の小さな通りをいくつか通り抜けて歩いた。するとそこに見えたものは驚くべきほど興味深いものだった。少なくとも1件は試してみる価値のありそうな多くのちっぽけな食堂や麺屋があった。通り沿いにはまた鉢植えの花々が並んでいて、それらは通りを爽やかに陽気にしているのだった。幸運にも、昨夜豪雨をもたらした雲が覆う空で、今日の天気はなかなか快適だった。

Photo Credit: Toto Sompong 2026/08/15

Photo Credit: Toto Sompong 2026/08/15

Photo Credit: Toto Sompong 2026/08/15

Photo Credit: Toto Sompong 2026/08/15
1.2.市場でまずは新鮮な魚と野菜を買う話
約30分歩いた後、私は市場に到着した。激しい交通と人の混雑は変わっていないように見えた。近隣の地域からの人々によって持ち込まれたたくさんの新鮮な野菜と食べ物があった。生きのいい魚はいつも早く売れてしまうので、私はカオ・トム・ダンを探す前に母のための何匹かの魚と野菜を見て歩いた。

Photo Credit: Toto Sompong 2026/08/15
1.3.カオ・トム・ダン発見
私は撮影するためにカメラを取り出したが、市場がとても混雑していたのでうまく撮影できる位置を見つけるのが困難だった。カオ・トム・ダンは私がよくわからない何かの種類の葉で包まれた独特の三角形で目立っていた。8個がひもで結ばれ、それが10バーツ(約48円。2026/08/15のレート)で売られていた。まさにその隣には仙草ゼリーとシロップがあった。(カオ・トム・ダンは仙草ゼリーとシロップと一緒に食べるのがおすすめらしい。)
おお! つまりカオ・トム・ダンと一緒に食べることを奨励しているのだ! それは興味深いアイディアだ。
仙草ゼリー(華僑が好む吾輩も大好きな中国食文化のデザートだ。真っ黒に見えるが苦くはなく、体を冷やしたり爽やかにしたりする効果がある漢方薬膳の仙草で作られたゼリーだ。タイなどの東南アジア以外に台湾や香港などの中華文化圏でよく見かけるデザートで、吾輩は台湾で最も頻繁に食べていた。)
1.4.売り子のおばさんとの話
私は売り子に次のように話した。
私の日本の友達(吾輩のこと)がこのお菓子に興味を持っているのです。これによく似たものが日本でもあるとのことです。私が今日これを探しに来たのはそのためで、それはどうやって作られているのかについて訊きたいのです。
売り子のおばさんは、それはカオ・トム・ダン、つまり「灰汁で煮た米団子」だよ、と言った。
私はネット検索してみて、それはカンボディア国境近くの町であるSurinスリンで人気のある伝統的お菓子で、代々伝わるレシピによって作られるものだとわかった。売り子のおばさんは、自分の代だけで作るのをやめると言い、たぶんこれから売る人は誰もいなくなるだろうと言った。私はそれを聞いて少し悲しくなった。
餅米がアルカリ溶液に浸されると黄色くなり、生地が独特の弾力を持つとのことだ。

Photo Credit: Toto Sompong 2026/08/15

Photo Credit: Toto Sompong 2026/08/15

photo by Toto Sompong 2026/08/15
1.5.おばさんに包んでいる葉のことを教えてもらう
買ってその場を離れてから、私は包むのに使われる葉について訊くのを忘れてしまっていたことに気付き、歩いておばさんのところに戻った。
彼女は、二種類の異なる葉、外側はパンダンの葉、内側は竹の葉を使う、と話してくれた。
私は家に戻り、味をみるために1つを解いた時、母はパンダンの葉から出るパンダンの香りを直ちに気付いた。
こんな風に今日私は伝統的なお菓子を手に入れ家に持ち帰ったのだった。
2.早朝市場に行って「灰汁の笹巻き」を買った話。(英文・米語)2026/08/15
It was a Saturday morning when I woke up early to go looking for Khao Tom Dang at the Railway Market. After giving alms to the monks with my mother, I got ready and left home around 8 a.m.
I walked through some of the smaller streets in town that I don’t usually take, and it was surprisingly interesting to see what was there. There were many little restaurants and noodle shops that looked worth trying at least once. There were also potted flowers along the way, making the streets feel fresh and lively. Luckily, the weather was quite pleasant today, with clouds covering the sky after the heavy rain last night.
After about 30 minutes of walking, I reached the market. The busy traffic and crowds of people seemed unchanged. There were lots of fresh vegetables and food brought in by people from nearby districts to sell. I looked around for some fish and vegetables for my mother before searching for the Khao Tom Dang, because the fresh fish usually sells out early.
I took out my camera to make a video, but the market was so crowded that it was difficult to find a nice angle. The Khao Tom Dang stood out with its distinctive triangular shape, wrapped in some kind of leaf that I wasn’t sure about. Eight pieces were tied together in a bundle and sold for 10 baht. Right next to them were grass jelly and syrup. Oh, so you’re supposed to eat them together! That was an interesting idea.
I told the seller that my Japanese friend was interested in this snack, and that there is something similar in Japan too. That was why I had come looking for it today and wanted to ask about how it was made. The auntie called it Khao Tom Dang or “alkaline rice dumpling.” After searching online, I found that it is a traditional snack popular in Surin, near the Cambodian border, and is made from a recipe passed down through generations. The auntie said that once her generation stops making it, there may be no one left to sell it anymore. I felt a little sad hearing that.
The sticky rice is soaked in an alkaline solution, which gives it its yellow color and distinctive bouncy texture.
Then I realized I had forgotten to ask about the leaves used to wrap it, so I walked back and asked the auntie. She told me that they use two different kinds of leaves: pandan leaves on the outside and bamboo leaves on the inside. When I got home and unwrapped one to taste, my mother immediately noticed the fragrant aroma of the pandan leaves.
I ended up bringing home several different kinds of traditional snacks today.
3.まとめ
このように、話を持ちかけた発端から2-3日後の土曜日のローカル市場で、さっそくタイ版の「灰汁の笹巻き」Khao Tom Dangカオ・トム・ダンが見つかったのだ。
こんなに簡単に見つかるのは驚きだった。それだけあちこちで普通に存在して、売って買って食べる人がいるから作る人もいるわけなのだ。
しかも、写真で見る限り1個のサイズがやや小ぶりなものの、中身は日本で食べている「灰汁の笹巻き」とまったく同じだし、それが8個つながっていて全部で10バーツ(約48円)と、日本人の吾輩から見れば物価や所得の差はあるが、恐ろしいほど格安なのだ。
日本では大ぶりながら、5個入りで税込600円などで、1個あたり120円であり、標準の価格かむしろ安めの価格かもしれない。
今回はリモートで現地の友達にお願いして売り子さんに質問してもらったり買って中身の写真を撮ってもらったりした。
香りや食感は現地に行かないと体験できないし、特に仙草ゼリーとシロップと一緒に食べるというのは、味も香りもリモートで話を聞くだけではなかなか想像できない。何となく想像出来るのは他の蒸し菓子などのタイのお菓子にも使われるパンダンの葉の香りくらいだ。
そのうち吾輩も現地で体験するしかないな、と思っているのだ。
(おわり)
