すはま すはま屋 京都市中京区 和菓子なスクチャイ228 2026.02.03
和菓子なスクチャイ228 京都府 > 京都市中京区
※くまの身長は7.5cm。大きさの参考に。
すはま すはま屋 京都市中京区

1.「すはま」の「すはま屋」
すはま(洲浜、洲濱)好きとしては無視できず今回の京都滞在では是が非でも訪問しようと予定していた「すはま屋」だ。
2.「すはま屋」店頭
扉を開け挨拶しても誰もおらず、しばらくはショウケースの中や上に置いてある印刷物などを眺めていたが、そのうち店主と思われる女性が出て来た。
ショウケースの上に置いてあった4個ほどの「すはま」の小箱のひとつをとり、「これを買って・・・、それから店内でもいただきたいのですが」と言ってみた。
すると女性は吾輩が持つ「すはま」の小箱を引ったくるように取り、「これは予約分です」などと言い、ショウケースの上に置いてあったすべての小箱を抱えるようにして取り上げ、サッと体を翻して隠すように陰の小部屋に消えた。
店構えと商品の風雅さとは裏腹の女性の落ち着きないガサツな態度には驚いた。
目の前に置いてあったので「これを買いたい」とそっと取り上げただけなのに、それを咎めるような感じの悪い女性の行動はいかがなものであろうか。
予約分で他の人には売れないものならば客から見えるところに置かずに最初から別のところに置いておけばよかろうと思った。
「でも一箱分ならあると思うので待ってて」と女性が言うので待つことにした。
(「でも」・・・ね・・・)
店内で食べる分もあるとのことなので吾輩はテーブルに着いて待った。
女性は吾輩の脇の出入口扉に来て「本日のすはまは完売しました」との手書きの紙を表から見えるように貼った。
吾輩が来たのはお昼を少し過ぎたばかりの時間だったが、それでも今日の販売は終了なのだ。
とりあえず今回は食べ損ねなくて良かったと言った気持ちだった。
3.店内でいただく




出してくれた「すはま」は形が2種類で、飲み物は抹茶を選んだ。
別に買う予定の小箱に入っている小さい球形の緑と黄土色の「すはま」が1個ずつと、お祝い事の象徴である「州浜台(複雑な曲線を持つ台)」という形らしい瓦型の断面のような「すはま」が2個だ。
球形の方は「春日の豆」という商品名だが中に豆が入っているわけではない。
それにほんの一口程度の抹茶がつくのが喫茶メニューで税込660円だ。
後で出してくれた持ち帰りの90gの小箱入りは税込700円だった。
女性の説明によると形も色も見た目が違うが、色を付けてあるだけなのでどれも味は同じとのことだった。
店内で食べてみて、その時は豆政の「すはまだんご」より思いなしか柔らかく感じたが、ホテルに戻ってからさっそく豆政の「すはまだんご」と同時に食べ比べたところ、固さについてはほぼ同じとわかった。
国産の原材料も合成着色料を使っている点も豆政の「すはまだんご」と同じだ。
程良い甘さときな粉の香ばしさも豆政の「すはまだんご」同じ。
吾輩の観察からの結果だが、「すはま屋」の「すはま」が豆政の「すはまだんご」を秀でている点は特になかった。
それだけ豆政の「すはまだんご」も老舗として完成されているということだろう。
強いて違いをあげるとすれば、店の女性が毎日この限られた空間の中で限られた量を手作りしているというところである。
そこのところに価値を感じる人ならば「すはま屋」まで買いに来るのもいいと思う。
特に店内で食べる場合、それは出来立ての「すはま」のはずだ。
実際のところ豆政の「すはまだんご」と同じようなものであっても、少なくとも気持ちの面で「出来立てだ!」という感動は得られるかもしれない。
4.店舗はかつての町屋造り
なお、余談だが、お店のトイレは一番奥にあるのだが、そこに至るまでにガラス戸を開けて坪庭のようなところを通る。
そこからさらにトイレの扉を開けるわけだが、その坪庭のような空間の天空がオープンエアで吹きっさらしで暴風雨や降雪の時に大変だろうな、と思った。
オープンエアなので外気温がそのままなのだ。
女性の話によると、今の女性の経営に代わってから店の間取りを変えて建て直したらしいのだが、店の大きさはかつてから同じで奥行きはトイレまでとのことだ。
前面道路にはかつて市電が走っていたが、その時に店の前面を道路に提供したので削られて、今の短い奥行きになったとのことだ。
市電が走る前まではここも奥行きの長い町屋造りだったのだ。
この狭い面積の中で今も手作りで「すはま」を作り続けて商売を営むという女性店主の伝統を繋げる姿勢に対しては心から応援したい気持ちであった。
5.「すはま屋」の経緯
京都市中京区にある「すはま屋」は、京都の伝統菓子である「すはま」の文化を絶滅の危機から救った経緯のある店だ。
この店を語る上で欠かせないのが、かつて同じ場所にあった江戸時代創業の老舗「植村義次(うえむらよしつぐ)」の存在だ。
「植村義次」は日本を代表する「すはま」の専門店として300年以上の歴史を誇っていたが、2016年に後継者不在のため惜しまれつつ閉店した。
その歴史が途絶えることを惜しんだ先代(14代目)の親戚にあたる女性が「この味を絶やしてはいけない」と一念発起して14代目のもとで修錬し、その秘伝の製法と道具、そして場所を受け継ぎ、2019年に「すはま屋」として再オープンさせた。
6.「すはま」の特徴
「すはま」とは、大豆を煎って粉にした「州浜粉(すはまこ)」に、砂糖と水飴を練り合わせて作るお菓子だ。
切り口が、お祝い事の象徴である「州浜台(複雑な曲線を持つ台)」に似ていることからその名がついた。
「すはま屋」では、切る前の竿状のものも事前注文しておくと店頭で買うことができるとのことだ。
(おわり)
