開運老松 開運堂 松本市 和菓子なスクチャイ195 2025.11.29
和菓子なスクチャイ195 長野県 > 松本市(安曇野)
※くまの身長は7.5cm。大きさの参考に。
開運老松 開運堂 松本市








1.和のロールケーキ
実に美味しい和のロールケーキといった見た目の珍しい和菓子で、その名も「開運老松(かいうんろうしょう)」という正月にふさわしい目出たい名前だ。
松本市の開運堂という目出たい屋号の、以前紹介した「真味糖」と同じ製造元だ。
長野駅ビルの土産物屋さんで中身の見本がおいてあっておいしそうに見えたので買ってみたのだ。税込1,296円であった。
箱の中の本体は、日持ちするように脱酸素剤が入った密閉ビニールに覆われていたが、そのビニールのままでも、箱を開けただけでシナモン(ニッキ、肉桂)の香りが漂った。
ビニールを開封するともっと強いシナモンの香りがした。
このシナモンの香りはホクホクした生地から香っているのだ。
生地は洋菓子の弾力のあるスポンジのようなカステラではなく、蒸した粉菓子のようなホクホクで軽くて柔らかい生地で、触るとポロポロ崩れる感じだ。
最初見た時、持ち帰る途中の衝撃で割れたのか、元からそういうデザインなのかはわからないながら、外見がひび割れた松の木の樹皮のように見えた。
表面上部には松の実が10数個付いていた。
あとで調べたところ、生地のひび割れは、松の木の樹皮をわざと真似て作っているとわかった。
たまたま割れていた不良品でもなく、持ち帰り時の振動や衝撃のせいで割れたのでもなかったのだ。
なかなか芸が細かい製造ではないか。
2.食べた




輪切りにして齧ってみると、中のしっとりした粒あんにシナモンの香りが相まってとても美味いのだった。
ロールケーキ状のお土産菓子と言えば松山の一六タルトや苫小牧のよいとまけ(三星)を思い出すが、「開封老松」はそれらよりも生地の感じがずっと「和」なのであった。
1本税込1,296円といいお値段だが、財布に余裕があったらこれからも買って食べたい、吾輩の「繰り返し買いたい和菓子リスト」の仲間入りになった。
3.開運老松
「開運老松」は、以前紹介した「真味糖」と並んで開運堂を象徴する最高級の蒸し菓子だ。
松本の厳しい冬や格調高い茶の湯文化を感じさせる素晴らしい意匠(デザイン)で作っている。
「開運老松」は一言で言えば「松の幹」を見事に表現した芸術的な蒸し菓子となる。
中心には小豆の風味が濃厚な特製のつぶあんが芯として入り、それをシナモンの香りが漂う「こしあんのそぼろ(蒸し菓子生地)」で包み込んでいる。
表面には、老松の肌(樹皮)のようなゴツゴツとした亀裂が入っており、その上には「松の実」があしらわれている。
切り分けると断面の美しさとシナモンの高貴な香りが一気に広がる。
4.名前の意味
松は冬でも緑を絶やさないことから「不老長寿」の象徴とされており、特に「老松」は、長い年月を経てなお力強く枝を広げる姿から、非常に縁起が良いものとされている。
メーカーの開運堂の屋号そのものが「運を開く」というおめでたい意味を持っているが、この「開運」と「老松」を合わせた名前には、「手にした人の運勢が老松のようにどっしりと力強く開けていきますように」という、お店からお客様への深い祈りが込められているのだそうだ。
このお菓子を口にして驚くのが、和菓子でありながらシナモン(ニッキ)の香りが非常に強いことだ。
開運堂は明治大正期から新しい文化を取り入れることに積極的で、当時まだ珍しかったシナモンを隠し味ではなく「主役級の香り」として使うことで、重厚なあんの味に現代的な華やかさを加えたのだ。
この香りが、抹茶はもちろんコーヒーや紅茶とも抜群に合う理由になっているのだそうだ。
5.食べるコツ
薄く切るよりも少し厚めに(2cmほど)切り分けて、口いっぱいにあんの風味とシナモンの香りを感じるのがおすすめとのことだ。
蒸し菓子なので冷やしすぎると生地が締まってしまうので、常温で食べるとそぼろ生地のホロホロとした食感がより際立つ。
「開運老松」はその格式の高さから、長野県内では「結納」や「還暦の祝い」、あるいは「お正月の床の間」に飾るお菓子として不動の地位を築いている。
「開運老松」は見た目の「和」の渋さと食べた瞬間のシナモンのモダンな香りのギャップが非常に印象的なお菓子なのだ。
長野駅ではあったが、松本のいいお菓子と出会うことができた。
吾輩もこれから開運すればいいけどね。
(おわり)
