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藤戸饅頭 藤戸饅頭本舗 岡山倉敷 和菓子なスクチャイ084 2025.08.29

和菓子なスクチャイ084 岡山 > 倉敷

※くまの身長は7.5cm。大きさの参考に。


藤戸饅頭 藤戸饅頭本舗 岡山倉敷

藤戸饅頭 藤戸饅頭本舗

1.日本三大饅頭大手まんぢゅうにそっくり

日本三大饅頭と言われている岡山市の大手まんぢゅうについて以前調べていた時、大手まんぢゅうとよく似た容姿の別の岡山の饅頭の写真を見つけた。

その饅頭の名は「藤戸饅頭」で倉敷市の製造元であった。

その姿が大手まんぢゅうと同じに見えたのだ。

どちらか一方を出されても、実際に何度も見て食べているような人でないと大手まんぢゅうか藤戸饅頭かの判断はつかないだろう。

写真で見た限りはそんな印象だったが、何はともあれ食べてみたいと思っていた。

2.藤戸饅頭を手に入れる

藤戸饅頭 藤戸饅頭本舗
藤戸饅頭 藤戸饅頭本舗
藤戸饅頭 藤戸饅頭本舗

藤田饅頭を手に入れたい、ということで倉敷に行きたいところだったが、時間と予算の関係でまずは東京新橋の岡山県アンテナショップ(とっとり・おかやま新橋館)に電話で問い合わせてみた。

そこにあればしめたものだ。

訊いてみると毎週金曜日の宅配便が到着する時間すなわち午後2時頃以降から店頭に並ぶとのことだった。

幸運なことに東京で藤戸饅頭が手に入ることが判明したのだった。

本当は倉敷の製造元に足を運んで買うと感激もひとしおに違いなく饅頭も出来たてで最高の状態で、本音はぜひそうしたいのだが、今回も時間と予算の関係で結局大手まんぢゅうと同じく「ズル」をして東京で仕入れだ。

うしろめたさがあるし東京で岡山の銘菓を喰う雰囲気もいまひとつなのだが背に腹はかえられない。

ともかく気になったら早く食べたいのだ。

ちなみにアンテナショップでの大手まんぢゅうは週3回の仕入れだ。

藤戸饅頭は週1回の金曜日のみとわかったので手に入りにくさでは藤戸饅頭の方が上だ。

しかも藤戸饅頭の賞味期限は2日間で当日と翌日中までなので、東京に居ながら買って食べたいという人は金曜日の午後にアンテナショップに来て買って、翌日の土曜日までには食べ終えるというタイミングに合わせるしかない。

参考までに、大手まんぢゅうは包装に工夫があるらしく藤戸饅頭よりも数日長く日持ちがするので、買ってから少しばかり日数に余裕がある。

吾輩は前もって岡山県アンテナショップに電話して取り置きをお願いしておいて、金曜日の午後に受け取りに行ったのだった。

お値段は、5個入りで税込500円だった。1個100円だ。

ちなみに大手まんじゅうは4個入りで税込389円で、1個あたり97円だ。

このように、藤戸饅頭と大手まんぢゅうは価格まで肉薄しているのだった。

3.藤戸饅頭を観察する

藤戸饅頭 藤戸饅頭本舗
藤戸饅頭 藤戸饅頭本舗

さて、そうして手に入れた藤戸饅頭をしげしげと見ると・・・

1個を持った感じや大きさも大手まんぢゅうと同様だった。

最近のたこ焼きは大きいが、そのたこ焼きぐらいの大きさだ。

つまり一口でも食べられるが結構口の中に詰まるのでやっぱり囓るか切って食べるのがいいのかもしれないな、という大きさだ。

およその寸法で直径が3.5cm高さが3cmのドーム型で、全体的に深いあんこ色だがその表面に薄く白い筋のような模様がある。

たまたまの個体差かもしれないが、写真で見た藤戸饅頭よりも表面の白い紋様がはっきりしておらず、以前食べた大手まんぢゅうの写真と比べても表面の皮に相当する白い紋様が目立たない印象を持った。

この藤戸饅頭も大手まんぢゅうと同様に酒まんじゅうの種類で、あるかないかの薄い皮だが小麦を原材料に酒麹で発酵させた生地を用いている。

それで、注意深く食べると酒麹の風味があるのかと思ったが、この藤戸饅頭は酒麹の風味は一切感じなかった。

以前の大手まんぢゅうはわずかだがほんのりと酒麹の香りを感じた。

これは吾輩の勝手な想像だが、季節的に当日36度にもなった猛暑の戸外を運ばれて来たので、たとえ一瞬でも温度が上がり、香りの元となる酒精のような成分が蒸発してしまったのかもしれない。

また、表面の紋様も白がほとんどないというのも、温度などの環境による変化もあるかもしれない。

何せ製造元で食べているのではなく、岡山倉敷からはるばる700km以上もの距離を運ばれて来ている饅頭だ。

しかも今は記録を更新するほどの猛暑が続いている。

この日も東京は最高気温36度を記録していた。

生菓子がいつも同じように運ばれるとは限らない。

保存料に類する添加物一切なしで賞味期限が1~2日という限られた生菓子が猛暑の東京で買えて食べられることだけでも奇跡に近いので、あまり細かいことを言わずに素直に喜ぶのがいいかもしれない。

4.味

味は、大手まんぢゅうよりも甘さが少し強いと感じた。

ただし大手まんぢゅうと同時に食べ比べたわけではないので以前に食べた大手まんぢゅうの記憶との比較だ。

味の感覚は人それぞれだし自分自身も体調などによって味の感じ方が違うこともあるので「甘味が強いのではないか」という吾輩の感想は参考程度に留めておいて欲しい。

こし餡のなめらかさは大手まんぢゅうと同様だった。

いずれにしても大手まんぢゅうとは味の優劣はつけることが出来ず、どちらも素直においしい。

5.現地での藤戸饅頭

藤戸饅頭は自分や身内が食べるためのものとして主に地元で消費される饅頭のようで、大手まんぢゅうはどちらかと言うと人に贈る用として使い分けられているようだ。

大手まんじゅうが贈答用に使われがちというのは、数日でも長く日持ちする包装の工夫があるためかもしれない。

一方の藤戸饅頭の賞味期限は販売日の翌日までなので人に贈る範囲も自ずと狭まるのかもしれない。

6.歴史

藤戸饅頭は平安時代の末期から800年以上の歴史があると伝えられている。

饅頭は鎌倉時代に中国から伝来したことになっているから平安時代だとまだ饅頭が日本に存在する前ということになるので、この話は実は矛盾があるのだ。

しかし言い伝えでは1182年の藤戸合戦(別名児島合戦)で源氏の武将佐々木盛綱が藤戸の浅瀬を馬で駆け抜けて平家に勝ち、その時に犠牲になった若い漁師を藤戸寺で供養する時に供えられたのが藤戸饅頭の始まりとされている。

その若い青年漁師は付近の海を知り尽くしていて、戦を控えた佐々木盛綱に浅瀬の場所を教えたのだ。

結果、佐々木盛綱はその浅瀬を馬で駆け抜けて平家に勝つことができた。

しかし教えた若い漁師は口封じに殺害されてしまった。

合戦の後に児島を領土として手に入れた佐々木盛綱は、それまで荒れ果てていた藤戸寺を修復し、殺害した青年漁師と合戦の戦没者を弔う大法要をそこで行った。その時に藤戸饅頭がお供えされたと言われている。

現在の藤戸饅頭本舗は藤戸寺の向かい側の倉敷川のほとりにあり、今の場所は1860年に移ってきてからずっと変わらない場所だそうだ。

言い伝えでは先に述べた1182年の藤戸合戦後に生まれた藤戸饅頭は、それから元禄時代(1700年前後)まで藤戸寺の境内の茶店で藤戸饅頭を商っていた。

そうすると藤戸饅頭の歴史は2025年現在で843年目だ。

藤戸饅頭は大手まんぢゅうの創業1837年(天保8年)よりもずっとずっと前、655年も前からあったことになる。

お互い姿形は似ているが、こんなにも歴史が違うというところが面白い。

そしてもしこの歴史が全部本当なら、先に書いたように和菓子史の通説で饅頭が鎌倉時代に中国からやって来たという話よりも藤戸饅頭が先行して日本で誕生していることになる。

藤戸饅頭とはそのような長い歴史があって史実を覆しそうな言い伝えも付随するという、なかなか興味深い饅頭なのだ。

(おわり)

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