灰汁笹巻き(温海地区こぶし巻) うなぎ若林 山形鶴岡 和菓子なスクチャイ059 2025.08.04
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※くまの身長は7.5cm。大きさの参考に。
灰汁笹巻き(温海地区こぶし巻) うなぎ若林 山形鶴岡
1.鶴岡で笹巻き聞き取り調査
※本文の「笹巻き」は「灰汁笹巻き」のこと。
鶴岡で笹巻きのことを調べているうちに吾輩が今すぐ食べたいのかと勘違いされたのか、どこそこに行けば今でも食べさせてくれるよ、と言ってくれた人がいた。
え?
いや、今食べたいのではなくて・・・
とすぐに否定しようとしたのだが、待てよ、笹巻きを食べさせてくれるところなんて吾輩にとって前代未聞だ!
と気付き、さっそくその場所を教えてもらうことにした。
2.笹巻きが食べられるお店がある?
笹巻きは買って帰って自宅で笹をほどいて食べるもので、子供の時から今までずっとそうしていた。
お店で注文して出してもらって食べるという発想はまったくなかった。
しかしそんな場所がもしあったとしたら便利に違いないと、今さら気付いた。
笹巻きは普通5個など束にして売っているし、そもそも生ものなのでそんなに日持ちしないのですぐに食べてしまわないといけない食べ物だ。
そもそも製造者が作ったタイミングが合わないと買えない。
製造者のほとんどは家族か個人で手作業で作っているので少量生産だし、さらに作り手は今のところ知る限り高齢者だ。
工場の機械が常に稼働して連続的に生産しているような食品ではないのだ。
要は食べたい時に食べられるか、買えるかどうかはタイミング、というか運によるのだ。
それを証拠に吾輩がその日鶴岡に来たのも、JAのスーパーで仕入れている笹巻きをあらかじめ電話して取り置いてもらいそれを受け取るのが目的だった。
そのJAのスーパーでは定期的に、あるいは在庫切れ次第、年中笹巻きを仕入れて販売しているが、もともと数がわずかで好きな人が買いに来たらすぐになくなってしまうという話を店のおばちゃんから聞いていた。
店が近所でいつでも行けるならともかく、遠距離であればあるほど、電話などであらかじめ商品を確約しておかないと、現地に来てから在庫がない!とわかったら何しに来たのかわからないということになるのだ。
そのような事情もあり、食べたいと思った時に行けば一食分など食べたいだけの分量を食べさせてくれる店があったら確かに便利だということなのだ。
しかしそんな理想的なお店が本当にあるのか?
まず、行けば食べさせてくれると聞いて思い浮かんだのは喫茶店かカフェのような形態のお店だった。
3.うなぎ屋さんで笹巻きを出してくれる!?
しかるに教えてくれた店名は「うなぎの若林」。
うなぎ屋さん!?
もしかして料亭?
そもそもうなぎと笹巻きを一緒に扱ってる?
なんじゃそりゃ? どういう関係やねん?
笹巻きの中に鰻が入ってるのでもあるまいし・・・
・・・もしかすると料理屋さんの会席料理の最後に出るのが笹巻きということかもしれない。
それならば最初に安くないコース料理を予約しないといけないだろう。
笹巻きだけ食べたい場合、結構な出費になりそうだ。
やはり笹巻きだけをヒョイと行って食べさせてくれるような店などあるはずがない。
4.そのうなぎ屋さんに問い合わせてみた
電話番号がわかったので電話してみた。
主人が出て、確かに来てくれさえすれば笹巻きをいつでも出せると言ってくれた。
食事しなくても笹巻きだけの注文でもいいし、さらに午後休憩などがない店で昼前から夜まで毎日ずっと続けて営業しているのでその時間内だったらいつ来てくれても笹巻きを出せる、と言ってくれた。
主人が言うのだから間違いはない。
しかもその店は鶴岡駅から徒歩5分ほどだ。
しかしその日は帰る列車の関係でその場ですぐに行ってみるわけにはいかなかった。
5.笹巻きが出るうなぎ屋さんに行ってみた
後日。
前もって電話でお昼ご飯と食後の笹巻きを予約していた。
笹巻きは予約せずにもその場で食べたければいつでも出せると言ってくれたが・・・一応意思表示だ。
それに店名がうなぎなのでうなぎの専門店だろうと言うことで当日お昼にうな重も食べてみることにした。
うな重も予約なしで当日注文が可能らしいが、3切れ1匹分のうな重などの場合はあらかじめ連絡しておいた方がいいようだった。
吾輩は日時を決めてうな重と笹巻きを食べる予約の電話を入れておいたのだ。
6.素晴らしいウナギと岩牡蠣


うなぎはともかく・・・
そもそもこの記事ではうなぎが主役ではないので省略したいのだが・・・
うなぎのことを少しだけ話すとうなぎはもちろん国産で、その日のは愛知県の三河一色のものだった。
少し小さめの若いうなぎを仕入れたとかで、それを店内で主人が炭火で焼いたものだ。
うな重の蓋を開けると炭焼きの香ばしい香りが漂い、実際、見事に美味しいうなぎだった。
これからはうなぎ目的でもこの店に再来したいと思った。
3切れ1匹のうな重で税込5,300円。
さらに、地元産岩牡蠣がその日入荷していたのでそれも注文した。
実に濃厚な味の牡蠣だった。
岩牡蠣を食べたのは数年ぶりで、こんなに濃厚で美味しい牡蠣を食べたのは人生で最初かもしれない。
主人の説明によると山形県日本海側では潮流などの関係で北側から南側までおよそ3地域に分かれていて、それぞれの獲れる場所によって牡蠣の味が変わるのだそうだ。
その日の牡蠣は一番新潟県寄りの海域でむっちり濃厚が特徴なのだそうだった。
そしてまさにその通りの味だったというわけだ。
お値段は2個で税込1,200円。
ちなみに明日から雨模様で雨が降ると海が濁って底が見えなくなるので漁師が潜って牡蠣を捕れなくなる。
牡蠣は今日が最後で当分入荷がないかもしれないとのことで、たまたま今日来た吾輩はタイミングが良かったのだ。
笹巻きの縁で顔を出した店であったが、吾輩はうなぎにも牡蠣にも大満足であった。
7.肝心な笹巻きの話!



(なぜか遮光器土偶と一緒)

(ちょっとブレた写真ご容赦)
・・・まあうなぎと牡蠣の話はどうでもいい。
この記事は笹巻きの話だ。
主人は予定通り食後に笹巻きを出してくれた。1皿税込400円
いつも自分でヒモを外して茶碗に入れてきな粉をかけて食べるので、こうしてきな粉がかかったReady to eatの形で目の前出してくれる笹巻きはとても新鮮だった。
いままでこういう手間をかけてまで笹巻きを出してくれる人というのは遠い昔の母親か山形の親戚のおばちゃんだった。
「うめぜ~! ほれ、けっ!」(旨いよ! ほら、喰え!)
上げ膳据え膳は食べる側にはいっさいの手間がかからないので気楽なもので、食べものの味まで倍増してくれるような気がした。
そうして堪能した笹巻きは最高だった。
きな粉は庄内地域が誇る地元産の青大豆のきな粉だ。
灰汁笹巻きに青大豆のきな粉がかかっているのが正しい庄内の灰汁笹巻きなのだ。
黄色と青緑のコントラストが美しいのがとてもいいではないか!
8.冷凍の灰汁笹巻き
笹巻きは温海(あつみ)地区のこぶし巻きで冷凍保存したものだ。
それをお湯で煮沸して戻して出してくれたのだ。
笹巻きは冷凍保存できるので長期保存が可能だ。
そして冷凍笹巻きの在庫がある限り年中提供してくれる。
主人によると冷凍保存できるのは灰汁の笹巻きだけで他の地域の白い笹巻きは冷凍保存が無理とのことだ。
灰汁によるゼリー状の変性が風味と日持ちだけでなく冷凍保存も可能としたのだろう。
以前の記事に書いた新潟村上の笹巻きも、道の駅で冷凍保存のものを買ってきて自分で茹でて食べたが、出来立ての笹巻きと寸分違わず美味しかった。
元が冷凍とは言われなければわからないし、いや、言われてもわからない。
出来たての笹巻きそのまんまの形態とおいしさだった。
冷凍保存が出来、食べる前に茹でるだけでいつでも食べられるというのは、年がら年中食べたいと思っている吾輩などには福音だ。
灰汁笹巻きはなんてありがたい食べ物なのだろうかとつくづく思ったのだった。
(おわり)
