黒いこもち 有限会社トーヨーセイカ 鹿児島県枕崎市 和菓子なスクチャイ300 2026.07.08
和菓子なスクチャイ300 鹿児島県 > 枕崎市
※くまの身長は7.5cm。大きさの参考に。
黒いこもち 有限会社トーヨーセイカ 鹿児島県枕崎市




<序>仙台駅の鹿児島県催事場で購入
先に紹介しているお菓子(朝鮮飴)と同時に、このお菓子も仙台駅の九州催事場で購入したものだ。税込925円だった。
商品名が「黒いこもち」なので「黒い小餅」?とも思ったのだが、調べてみると鹿児島で江戸時代から愛され続けている伝統の郷土菓子「いこ餅(煎粉餅)」の黒糖ヴァージョンのようなのだ。
1.有限会社トーヨーセイカ(枕崎市)
有限会社トーヨーセイカは鰹(かつお)の街鹿児島県南部の枕崎市中町に本社工場を構える老舗の和菓子メーカーだ。
鹿児島の代表銘菓である「かるかん」をはじめ、伝統のお餅菓子「いこ餅」や「これもち」、さらに枕崎の特産品を活かした「かつお節せんべい」などを製造卸販売している。
地元枕崎の人々の普段のお茶請けとしてはもちろん、県外の鹿児島物産展などでも「鹿児島の本当の素朴な味」を届けている地域に根差した会社なのだ。
2.「黒いこもち」の正体
「黒いこもち」という名前は黒糖×いこ餅(煎粉餅)ということで、「黒糖」で作った「いこ餅(いこもち)」という意味から来ている。
「いこ餅」とは炒った(煎った)もち米や小麦粉などの粉を使って作ることから「煎粉餅(いこもち)」と名付けられた、薩摩藩(鹿児島)の祝菓子だ。
お米や小麦を一度炒ってから生地にするため、普通のお餅にはない香ばしさとモチモチ感が鼻から抜けるのが特徴でとても美味しく感じた。
伝統的に大きな型で仕込み、棹(さお)物(羊羹のような長方形)状に仕上げて切り分けて食べるお菓子だ。
すなわち羊羹のようにナイフで切って食べてもいいのだが、後半は面倒くさくなって吾輩は棹のまま齧って食べた。
つまり5代目圓楽師がの羊羹を食べる時のように、吾輩も「いこ餅」を竿のまま齧り付いて食べたのだ。
こうして豪華に食べると柔らかいのと芳ばしいのと両方でとても美味しく感じた。
3.無添加で美味しい
「加工黒糖、餅粉、砂糖、小麦粉」というシンプルな材料だけで、余計な保水剤や保存料が入っていないのに約2週間も柔らかさを保てるのには、和菓子の理にかなった理由がある。
黒糖(砂糖)には水分をしっかり抱え込む強い性質(保水性)があり、たっぷり練り込まれた黒糖と砂糖が水分子をしっかり捕まえ続けるため、時間が経ってもお餅のでんぷんが硬くなる(老化する)のを防ぐのだ。
さらに砂糖の濃度が高いため、雑菌が利用できる水分(自由水)がほとんどなくなり、保存料に頼らなくても傷みにくくなる。
なお、砂糖の濃度が高いと言ってもむやみに甘いわけでもなく、むしろ上品な甘さでこれもとても美味しく感じた要因だった。
まさに冷蔵技術がなかった江戸時代の先人たちが編み出した「旅や日常で長く美味しく食べるための知恵」がそのまま息づいている証拠だ。
4.豪快に齧る
先に書いたように吾輩は羊羹状の塊を切り分けずそのままガブリと齧り付いて食べた。
この食べ方はお餅のモチモチ感と黒糖のコクを一番ダイレクトに感じられる最高の楽しみ方だ。
もしまた手に入れた時は、そのまますっぴんで豪快に食べるのもいいが、ほんの少しだけ包丁で切ってオーブントースターで表面をカリッと1〜2分炙ってみるのもおすすめなのだそうだ。
炙ることで中の黒糖と炒り粉の香ばしさが一気に開花し、出来立てのような熱々とろりとした食感が楽しめそうだ。
このように吾輩は先日仙台駅で偶然南国鹿児島の素朴で美味しい「黒いこもち」に偶然出合い、人生上の記憶に残る強烈なお菓子になった。
またどこかで見つけたら買って食べるに決まっているのだった。
(おわり)
