峠の力餅 峠の茶屋 奥羽本線峠駅 山形米沢 和菓子なスクチャイ120 2025.09.30
和菓子なスクチャイ120 山形 > 米沢
※くまの身長は7.5cm。大きさの参考に。
峠の力餅 峠の茶屋 奥羽本線峠駅



1.鉄道敷設前からあった「峠の力餅」
奥羽本線峠駅の「峠の茶屋」は鉄道が敷設される前の明治時代初期から板谷峠を行き来する旅人のために営業していたが、その後1899年(明治32年)5月15日に奥羽北線(現在の奥羽本線)の開通で峠駅が開業してからはホーム上でも名物「峠の力餅」の販売を始めた。
2.吾輩も何度も通った板谷峠
学校の休み毎に山形の親戚宅に居候して東北を鉄道旅行していた吾輩は、何度も福島ー米沢間の板谷峠を鈍行列車で通過した。
蝉がうるさい夏も、雪深い冬もだ。
3.東北ワイド周遊券
当日使用していた大阪発の20日間有効東北ワイド周遊券は新潟ー郡山ー平(今のいわき)を結ぶ磐越西/東線以北の本州の国鉄(JR)全線の急行列車以下の等級の自由席に乗り放題だった。
夜行急行列車の自由席で一夜を明かすために深夜の郡山で乗車して奥羽本線経由で秋田や青森に移動したこともあり、その列車では深夜に板谷峠を通過したことになる。
4.旧型客車のデッキで板谷峠を楽しんだ
板谷峠を直通する列車はスイッチバック駅の脇を真っ直ぐ通過するので特に景色の見えない夜中だと若干速度が落ちるくらいで峠を越えている実感は伴わなかった。
そこでわざわざ昼間に福島ー米沢間の鈍行列車に乗って福島側からだと順に赤岩駅、板谷駅、峠駅、大沢駅の4連続スイッチバック駅を何度も堪能しに行ったのだ。
特に鈍行列車は旧型客車で、扉も最後尾連結部も手動式で解放されていたのでデッキに立つと右も左も後方もパノラマ的に峠の景色とスイッチバック線路群が楽しめるのだった。
屋外からの風が吹き荒ぶデッキは、真夏はトンネルと森林と渓流の風で涼しく、その反対に冬は寒風が吹き荒れ時には床や階段が着氷で凍りついていた。
その真冬でも吾輩は寒風に煽られつつデッキに立って1時間を超える4つのスイッチバック駅と自然の厳しさを肌で感じて楽しんでいた。
5.当時は「峠の力餅」を買わなかった
何度も峠を行き来し峠駅では「峠の力餅」の売り子がいて目の前で見ていたにも関わらず当時の吾輩は決して買うことはなかった。
たとえ数百円でも予算の限られた旅人であって駅で餅を買うなどとてつもない贅沢に思えていたのだ。
食事ならともかく餅はおやつの贅沢品で食べなくても生きていける食べ物だ。
それに買いたくなればいつでも買えるもの、と、なんとなく思っていた。
「峠の力餅」はなくなることはないだろうという根拠のない見通しも感じていた。
6.「峠の力餅」は今もある
そういうことで「峠の力餅」の中身がどのようなものかも知らずに月日が流れ、先日高崎駅で「碓氷峠の力餅」を見つけて買って食べてから、はて「板谷峠の力餅」は新幹線が通過するようになった今もあるのか?と気になりだしたのだ。
インターネットで「板谷峠の力餅」を検索してみると、今も峠駅近くに「峠の茶屋」があって駅のホームでも売り子が販売しているとの情報が見つかりひとまず安心した。
とりあえず行けば買えるのだ。
それでは「大人の休日倶楽部パス」を利用してちょっくら行って買って食べてみようと思った。
7.新幹線では買えない「峠の力餅」
しかしよく考えると峠駅など小さな駅に新幹線は停まらない。
すると新幹線では車内販売?
・・・車内販売では「峠の力餅」は売ってない。
もしかして事前予約で車内に届けてくれるとか?
・・・そんなサービスはない。
8.峠駅に行くしかない
「峠の力餅」が食べたければ峠駅で買うしかないということがわかった。
それならば吾輩が昔やったみたいに、福島か米沢かのどちらかから鈍行列車に乗って峠駅に行けばいいのだ。
峠駅で途中下車して次の鈍行列車で先に行くかまたは反対列車で戻ればいいのだ。
そういうことで計画してみた。
9.途中下車できるような鈍行列車はない!
時刻表によるとまずは福島ー米沢間の鈍行列車は朝の7-8時台に2往復、昼の12-13時台に1往復、そして17-18時台、18-19時台、20-21時台に各1往復の合計6往復がある。
Google Mapでは「峠の茶屋」の営業時間は7時から19時なので7-8時台の2往復から18時台の2往復までの合計5往復10列車のどれかの列車に乗れば営業時間には間に合う。
ただし18時台に米沢を発車する列車は峠駅が19:00なので営業時間に間に合うかどうかは「峠の茶屋」に確認しておかないといけない。
10.東京から新幹線で行く場合
ここで東京発を基準にした場合、福島発7時台には間に合わないので候補10列車から1本減って9列車となる。
10.1.福島発8時台
次の福島発8時台には東京からの新幹線で間に合うが、それで峠駅に行ったとしてそこから先米沢方面に向かうにも福島に戻るにも次の列車が13時台までない。
その間の5時間を峠駅付近でどう過ごすかが課題となる。
場合によってはそこでクマと闘う300分1本勝負となる可能性もある。
10.2.米沢発7-8時台の2本
一方、米沢から福島行きの7-8時台の2本の列車に乗るとどちらも峠駅で5-10分の下車時間があり、その後米沢に戻る反対列車に乗って米沢に戻って来れる。
が、そもそも東京発の新幹線では米沢7-8時台の列車には間に合わないので、東京発を基準にすると乗れない。
結局米沢発7-8時台の2往復4列車は却下となり、検討対象として残るは3往復6列車となる。
10.3.福島発12:51に乗る
昼間12-13時台の1往復を見てみると、福島発12:51に乗ると峠13:20、そこから次の米沢行きは18:12なのでその間にクマと遭遇せず生きていたら約5時間後のその米沢行きに乗ればいい。
しかしクマと出会わなくても現地で約5時間過ごすのはあまり現実的ではなさそうだ。
現実的に一番有効そうなのが、同じ福島発12:51に乗って峠駅13:20で、約6分後の反対列車福島行き13:26発に乗って福島に戻って来る方法がある。
この方法では東京発着の新幹線で福島に行けばいいので、行程は余裕で可能なのだ。
10.4.米沢発17:44
他の方法としては夕方17:44米沢発に乗り峠18:01。
その11分後に反対列車の米沢行き18:12に乗り米沢に戻って来る。
これだと米沢発18:38の新幹線定期列車に乗って東京まで帰って来れる。
または峠駅で約1時間過ごし、クマさんと60分1本勝負の後に生きていたら峠19:00発の福島行きに乗る。
福島から東京行きは幹線の東北新幹線なので本数が多く心配はない。
峠駅で時間をとれる列車の組み合わせは以上だが、東京発着ではなく福島か米沢に宿泊するなら両駅早朝発の列車も利用できることになるので峠駅で下車時間を取れる選択肢は少し増える。
11.峠駅で何分必要か?
あと気になるのは峠駅での滞在時間が短くて合理的そうなものの、果たして6分や11分だけで現地で「峠の力餅」を手に入れることができるか?という心配がある。
というのは、Google Mapで見る限り「峠の茶屋」は峠駅ホームから150mほど離れているのだ。
ホームで立ち売りが出ているとの情報はあるものの、もし立ち売りが休日や週末のみの話だったら、平日に行くつもりの乗客は「峠の茶屋」に出向く必要があるかもしれないのだ。
150mだと足元の状況にもよるが2分程度みておいた方がいいだろう。
すると往復で4分。
店のおばちゃんがそこにいてくれてすぐに売ってくれたとして2分。
これですでに合計6分だ。
おばちゃんがいなかったら叫ぶか探すかする時間がさらに加算される。
もしその後に予定の列車に乗り遅れたりなどしたらクマに怯えながら何時間も待つハメになる。
そうなると、その後の予定はぐちゃぐちゃだ。
12.新幹線が出来てから不便になった
時刻表を見る限りで上記の通りあらゆるパターンを考えたが、そもそも「峠の力餅」を買うだけでこんなに綿密な調査が要るということなのだ。
原因はといえば、新幹線が出来てからは奥羽本線の福島ー米沢間の鈍行列車がかなり間引きされてしまったからだ。
新幹線が出来る前は行き帰りともそんなに心配しなくてもよかったのだ。吾輩の記憶では。
13.「峠の茶屋」に電話した
何度か「峠の茶屋」に電話したのだが、電話するたびに同じおばちゃんの声が出た。
何時の電車で駅に着くと電話で言っておいたらホームにいてくれる、と言ってくれていたのだが、吾輩の方が日程を変更することがあって何度か電話したのだ。
それでおばちゃんが言うには無理に途中下車して別の電車に乗るなどしなくてもドアのところまで来てくれるから電車に乗ったままでいいとのこと。
この言葉を聞いてどんなに肩の荷が下りたことか!
早くこのことを知っておきたかった。
しかし停車時間そんなにあるの?と訊いてみたら
「30秒あるのよ〜30秒!30秒あったら充分よ〜!」
と言うのだった。
かつてのスイッチバック時代は停車時間30秒なんてありえないことだったが、電車の性能が良くなった今はスイッチバックもなくなり直行する線路上の駅に停車して出発するようになったのだ。
所要時間が大幅に短縮されるのは良いことだが、その代わりに峠駅ではホームで力餅などの買い物をするのが非常に慌ただしくなった。
で、おばちゃんは・・・
「電車は2両編成だけど一番後ろのドアのところに居て!」
とも言うのだった。
このおばちゃんの言葉で、吾輩は峠駅で途中下車せずに福島発12:51発の米沢行きで米沢まで通して乗る計画を立てたのだ。
14.ドアのところにお兄ちゃんがいた
当日ドアの目の前に現れてくれたのは電話で喋ったおばちゃんではなくお兄ちゃんだった。
しかもホーム上の他の車両のドア付近にも売り子さんが何人かいるみたいで「力餅〜!」と声が上がっていた。
吾輩、こういう状態とは露知らず。
閑散期の平日で乗客もほとんどいない日だったが、こうしてホームで立ち売りしてるのだ。
これならばたとえ予約しなくても手に入るはずだと思った。
15.開けた


新幹線の中で開けたのだが、初めて見る「峠の力餅」は小型の大福餅だと思った。
「峠の力餅」と聞くと先日の高崎で買った伊勢の赤福餅のような「碓氷峠の力餅」を想像していたのだ。
しかし、このような大福餅タイプの方が食べやすくていいと思った。
特に列車の中ではね。
16.味


非常に柔らかい餅に包まれた口溶けのいいこし餡の餅だった。
全部食べきれなくて翌日に残りを食べたのだが、買ってから24時間程度ですでに表面の餅の部分が固くなり始めていた。
これは本物の餅で変な添加物を使っていない証ということで吾輩はこの「峠の力餅」がますます気に入ったのだった。
(おわり)
