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殿中おこし 藤谷菓子舗 山形県酒田市 和菓子なスクチャイ190 2025.11.25

和菓子なスクチャイ190 山形県 > 酒田市 

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※くまの身長は7.5cm。大きさの参考に。


殿中おこし 藤谷菓子舗 山形県酒田市

藤谷菓子舗の「殿中おこし」
藤谷菓子舗の「殿中おこし」

1.鶴岡のスーパーで買う

実はこの「殿中おこし」は11月下旬(2025年)に鶴岡市内のスーパーで買ったもので、既に記事で紹介にした「切山椒」と一緒に並んで売っていたのである。

税込で583円だった。

「殿中おこし」は「大黒様のお歳夜」のお供え物として、非常に深い関わりがある。

2.「大黒様のお歳夜」に欠かせない「米炒り」

「大黒様のお歳夜」は「切山椒」の記事でも説明したように、大黒様が妻を迎える夜、あるいは年を越す夜とされ、一年の収穫に感謝し商売繁盛や子孫繁栄を願う庄内地方の大切な行事だ。

このときの必須のお供えの一つに「米炒り」と呼ばれるお菓子がある。

「米炒り」とはお米を膨らませて作ったいわゆる「ポン菓子」や「おこし」のことで、米俵に乗った大黒様にちなみお米の収穫を感謝してお供えするのだ。

藤谷菓子舗の「殿中おこし」はまさにこの「お供え用の米炒り」としての役割を担っていて、11月下旬という時期に店頭で大きく扱われていたのは12月9日の行事に向けて準備を始める地元民の需要に応えるためでもあったのだ。

3.藤谷菓子舗の「殿中おこし」が選ばれる理由

単なるバラのポン菓子ではなく、藤谷菓子舗の「殿中おこし」のようにしっかりとした「おこし」の形をしているものには理由がある。

「おこし」は、「家を興(おこ)す」「名を興す」という言葉にかけて縁起を担いでいるのだ。

棒状や塊になっている「殿中おこし」は大黒様の前にお供えする「お膳(大黒様ごっつぉ)」に添えるのに非常に収まりが良くもあるのだ。

酒田や松山の地域では、かつて行商人が俵型の飴やおこしを「縁起物」として売りに来た歴史もある。

藤谷菓子舗が今も「殿中おこし」を作り続けているのは、こうした「お殿様への献上菓子」という格式と「大黒様への感謝」という庶民の信仰の両方を守り続けているからだと言えるだろう。

4.食べた

藤谷菓子舗の「殿中おこし」
藤谷菓子舗の「殿中おこし」
藤谷菓子舗の「殿中おこし」
藤谷菓子舗の「殿中おこし」

お供えものらしき食べ物だったので買ってすぐには食べず12月に入ってから食べたのだが、もともと賞味期限は来年(2026年)2月までと長かったので急いで食べる必要もなかった。

いわゆる米のポン菓子でそれを水飴で固めてきな粉をかけたものなのだ。

軽いポン菓子もきな粉も好きなのでこのお菓子はひと目で気に入ったのだが、いざ食べるとなると齧るのか割るのか迷った。

幸い切り込みがあって小切れを持って食べられるようになっていたが、それでもひと口で食べるには大きく齧るしかなかった。

するとあたりにきな粉とポン菓子の破片が飛び散り、見事な「散らかり系お菓子」となった。

散らかっても気にならない「外で食べる系」で、その場合足元に「蟻が群がって来る系」だ。

「散らかり系」は苦手なのだが味は美味しく、ポン菓子ときな粉の香ばしさがとてもいいのでお菓子自体は気に入った。

しかしもし可能ならひと口で食べられる小さいサイズにしてくれたらもっといいのだが、と思った。

ちなみにもし水飴が固く感じられたらほんの数秒だけレンジで温めると水飴が柔らかくなりつきたてのような食感が復活するとのことだ。

お店によってはオブラートで包まれていることもあるらしいが、もちろんそのまま食べても大丈夫な昔ながらの工夫である。

5.藤谷菓子舗の「殿中おこし」

見た目は「ポン菓子の固まり」のようだが、これは茨城県水戸市の銘菓「吉原殿中」や埼玉県の「五家宝(ごかぼう)」と同じルーツを持つ非常に伝統的なお菓子なのだ。

もち米を膨らませた「あられ(ポン菓子状のもの)」を水飴で固め棒状にしたものだ。

表面には香ばしいきな粉がたっぷりまぶされている。

一口食べると表面のきな粉の香りと水飴の優しい甘さが広がり、サクッとしているのに噛みしめると水飴の「しっとり・もちもち」とした独特の粘り気が楽しめた。

6.藤谷菓子舗の歴史と名物

水戸藩の吉原殿中が北前船の交易や大名間の交流を通じて酒田を含む東北各地に伝わったという説がある。

藤谷菓子舗ではこれを独自の「おこし」として守り続けているのだ。

酒田市荒町(旧松山町地区)にある藤谷菓子舗は、明治期創業の非常に歴史ある老舗だ。

酒田市松山地区はかつての松山藩の城下町であり、藤谷菓子舗はその中心部に位置している。

もともと菓子店を営んでいた本家から分家し現在の地で100年以上にわたり暖簾を守っている。

旧松山町の城下町としての文化を今に伝える、地域になくてはならないお菓子屋さんなのだ。

藤谷菓子舗の近くには松山城の城門である「大手門」などの史跡もあり歴史散策のお供にも最高のお菓子だ。

外のベンチに座って食べれば多少散らかっても気にしなくていいという利点もあるかもしれない。

7.(参考)藤谷菓子舗の看板名物

「松山茶まんじゅう」

40年以上愛され続けている定番商品で、素朴ながらもふわふわの生地にほどよい甘さのあんこが詰まっており、地元では「松山のお饅頭といえば藤谷」と言われるほど親しまれている。

もう一つの人気商品「梅バターもなか」

伝統的なお菓子だけでなくバターのコクと梅の酸味を合わせたモダンな最中など、新しい感性を取り入れたお菓子も評判だ。

8.酒田・松山の「冬の楽しみ」

11月下旬頃は庄内地方特有の冷たい風(地吹雪の予兆)を感じられる頃で。そんな寒い日に保存のきく「殿中おこし」を少しずつ切り分け熱いお茶と一緒にいただくのはこの地域に住む人々の冬のささやかな楽しみでもあるようだ。

(おわり)

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