熊谷五家宝訪問記(その1) 堀内製菓 熊谷市 和菓子なスクチャイ211 2026.01.23
和菓子なスクチャイ211 埼玉県 > 熊谷市
※くまの身長は7.5cm。大きさの参考に。
五家宝(その1) 堀内製菓 熊谷市

1.熊谷市の五家宝店を巡る
埼玉県熊谷市が誇る銘菓「五家宝(ごかぼう)」は、草加せんべい、川越の芋菓子と並び「埼玉三大銘菓」の一つに数えられる歴史ある和菓子だ。
文化庁の「100年フード」にも認定されていて、シンプルながらも職人の技術が光る魅力の多い和菓子だ。
熊谷駅から徒歩圏内にあるいくつかの五家宝店を訪問し、それぞれの五家宝を食べ比べた。
以下に吾輩が訪問した順番に記すが、吾輩自身の見聞と記憶に基づく情報なので多少の誤解や記憶違いがあるかもしれないことを前提に参考にされたし。
なお、五家宝が買える場所としては駅構内の土産屋コーナーがあるのでその場所が駅から最も近いことになる。
しかし駅構内で手に入るのは紅葉屋のみで、かつては製造して駅でも販売していたらしい梅林堂は今は五家宝は製造していないことを当の店員さんに確認済みだ。すなわち駅で買える五家宝は紅葉屋のみである。(2026/01/23現在)
2.五家宝訪問の順番

以下のような順番で店舗を徒歩で巡った。
1.堀内製菓(このページ)
2.たねに
3.ニシダ飴
4.中島五家宝店
5.花堤(はなづつみ)
3.堀内製菓
吾輩の知る限り駅から最も駅から近い五家宝製造元だ。
ここは事前に電話して、当日(2026/01/23)朝早めの時間に行けば製造風景を見ることができそうだと聞いていた。
それで当日吾輩は熊谷駅に朝9時頃に着いてから真っ先に堀内製菓に向かった。
4.2026/01/23の朝9時過ぎ
9時から営業開始のはずの堀内製菓ではまだ暖簾が出ておらず開店前かと思ったが、店舗内には1人の男性客がいたので吾輩も中に入った。
暖簾は中のショウケースに置かれてあった。
忙しそうに作業場と帳場を行ったり来たりしていた女将さんに訊くと、発送分の大量注文が入っていてその準備で暖簾を出すのを見合わせているというような意味のことを言った。
先に入っていた男性客も購入を購入を待たされていたのだ。
5.作業場が見えた
ショウケースの手前側から作業場の一部を見ることが出来たので、そこから見える範囲で作業を見させてもらった。
恐る恐るそこから写真を撮ってもいいかと女将さんに問うと、作業中のご主人に訊いてくれて撮影Okの返事をいただいた。

作業台は吾輩には一部しか見えないが約3mの長さがあり、そこに最初はずんぐりした五家宝の固まりを置いて、時間をかけて伸してゆき、最終的には長さが作業台の3m程の長さにまで細長くするのだそうだ。
その工程を、今ご主人が1人で続けているのだった。
ご主人は長さ1mで幅20cmかと思われる(近くで見ていないから目測だ)平たい板を持っていて、右に左に行ったり来たりしながらその板で五家宝の固まりを何度も何度も繰り返し伸し、細長くしている最中なのだった。
見るからに根気のいる重労働だった。
すでに完成している五家宝が作業台の上に並んでいて、ショウケースのこちらからはもちろん全部は見えないのだが、その完成された切断する前の五家宝が、左手に見えない部分も含めると、3m程もの長さがあるのかもしれなかった。
作業台の手前側に完成品と思われる五家宝が8本ほど並んでいて、そこから目測20cmほど奥側の作業台中央付近には8本ほどの完成五家宝が並んでいた。
そのさらに向こう側の作業台の半分弱の領域がご主人が伸す作業を行う加工場所のようだった。
その作業台の奥側の加工場所には、ご主人の行ったり来たりする作業によってだんだん細くなりつつある五家宝が見えていた。
6.青いきな粉と黄色いきな粉の五家宝
手前の8本程の完成五家宝の集団は、よく見ると奥側の集団と色が異なっていて青っぽかった。
そして、奥側は黄色いきな粉だった。
女将さんに確認すると確かにその通りで、手前が青きな粉で奥側が黄色きな粉とのことだった。
ご主人の作業は作業場と店舗側を繋ぐ通路の開口部から見るだけだったので、五家宝を細くするための力加減や五家宝の重さは想像するしかなかったが、見る限り力のいる仕事には違いなかった。
7.全国から注文が殺到している
注文が殺到した時はかなりの早朝から作業を始めて当日中には発送してしまうとのことなのだが、現在注文から発送まで待ちが発生していて10日間ほどかかっているようだ。
注文は増える一方で、発送までの待ち日数は日に日に長くなりつつあるとのことだ。
なぜ最近急に注文が殺到しているかと言うと、その理由のひとつとして、人気インフルエンサーが動画を撮影に来たことが考えられるとのことだ。
吾輩を含めてショウケースの手前側からでも動画の撮影は許可していないのだが、フォローワー数が数万以上などの有名インフルエンサーに限っては女将さんが許可するのだそうだ。
吾輩は普段からソーシャルメディアの動画はほとんど見ないので堀内製菓の動画があることも知らず見てもいないが、どこかのソーシャルメディアに上がっているのだろう。
8.地元の小学校に作業を公開
地元の小学校などには子供たちに地元の伝統食文化に触れさせる意味で作業を公開しているらしい。
店舗の作業場に大人数は入れないのでおそらく別の場所で行うと思われるが、そんな作業を見た子供達が描いた絵が手作りの絵本となって店舗内で手に取って見れるように何冊も置いてあった。
吾輩も手に取って見たが、作業風景の場面場面がクレヨンやクレパスで描かれ、簡単な文章も添えられていた。
そもそも吾輩は幼少時から大のきな粉好きなので、昨年きな粉まみれの五家宝を知ってから熊谷の五家宝にハマって今に至り、今回のように作業風景を見たいと思い、今日は今日で、異なる製造元の五家宝を食べ比べてみたいとまた熊谷にやって来たのだ。
今の小学生の子供達の中からも五家宝の大ファンが何人も出てくることだろう。
ファンが一人でも増えることにより五家宝は食べられ続け、これからも地元の伝統を引き継いで行く原動力になるはずだ。
吾輩も大好きな五家宝が現地の子供達にも食べられ続けてくれさえすれば、これからも廃れることなく五家宝文化はずっと続くであろうとちょっと安心した。
しかしながらこの堀内製菓を見学した限りではあるが、五家宝を作る職人さんはご主人1人だけだった。
女将さんである奥さんは製造作業自体はまったく手を触れないらしいのだった。
ご主人ひとりが万が一作業が出来なくなってしまうと、この堀内製菓の五家宝の製造は止まってしまうことになる。
堀内製菓の五家宝がご主人の体ひとつにかかっていて、それがたとえ数十年後であってもいつ何時作業が出来なくなるかもしれないという一抹の不安が拭い切れないのであった。
吾輩は青きな粉の1袋税込780円と黄色きな粉の1袋税込650円を買った。
9.見送ってくれた優しそうなご主人
吾輩が退店する時、お忙しい作業中にもかかわらずご主人は一瞬店舗を出る吾輩の方に笑顔を向けて明るく挨拶してくれたのが嬉しかった。
ご主人に堀内製菓の運命のすべてがかかっているのだぞ!というような圧力をかけるつもりは毛頭なく、ご主人の元気発剌そうなお姿と表情を一瞬拝見して安心はした。
しかし、吾輩としてはご主人に対して「永久に作り続けて欲しい!」などと言う無責任な願いがあったのだった。
堀内製菓のご主人はファンのために五家宝を作り続けているのだ。
吾輩が見送られた瞬間、ご主人がご本尊様に見えて、ご主人に向かって手を合わせたくなる瞬間だったのだ。
10.食べた

左:黄色いきな粉 右:青いきな粉






居ても立ってもおられず、吾輩は帰りの熊谷駅の新幹線のベンチで真っ先に堀内製菓の「青」と「黄」の2種類の袋入り五家宝を開けて食べた。
製造したての長い五家宝を吾輩が見える場所で切断してくれたそのものを、追加のきな粉と共に袋に入れてくれたものだ。
まずそのきな粉の量に驚いた。
きな粉好きにとって、狂喜の瞬間だった。
白い袋に2種類の袋入り五家宝を入れてくれていたのだが、中身の袋は出したその時初めて見たのだった。
ここまで気前よくたくさんのきな粉と共に五家宝を封入してくれたご主人に改めて感謝の念が湧き出した。
五家宝を食べた後もきな粉餅など別の用途に使えそうなきな粉の量だ。
但し肝心の五家宝の本数がわからない。
ラベル表示にも重さや個数など量的な記載がないのだ。




きな粉には砂糖は入っていないようで、五家宝の控えめな甘さと一緒にいただくとちょうど良い甘さになるのだ。
食べる瞬間のコツとしては息を止めることだ。
息を吐いても吸っても悲惨なことになる。
いや、吾輩は周辺がきな粉まみれになると逆に嬉しいのでいいのだが、息を吐いてあたりをきな粉だらけにしてしまうと後で駅のベンチを掃除する人が大変なので気をつけないといけないということだ
また、息を吸ってしまうのは咽せるので絶対に気をつけた方がいい。
これもまた自分が苦しいだけでなく、周囲の人に迷惑をかけたり心配させたりしてしまう。
このように食べるコツが必要な五家宝だが、一口か二口で食べられる長さに切断してくれている大きさは食べやすいのだった。
齧るとサクッと軽く景気のいい音がする。
出来立ての証だ。
うまい!
やっぱり五家宝は吾輩にとって日本一の和菓子だ。
五家宝を知ったのはほんの昨年(2025年)で、この世にこんなうまいお菓子があったのかと激しく喜んだのだった。
ご主人はさっき作業場から吾輩に向かって青きな粉の方が本来の五家宝の姿だと説明してくれた。
また青きな粉はすぐに色が褪せる性質があるので、見栄えも含めて早めに食べた方がいいということだった。
とても香ばしいきな粉に包まれてサクサクの五家宝はやっぱり天国か極楽のお菓子に吾輩には思えるのだった。
新幹線がしばらく来ないのをいいことに、吾輩はひとつまたひとつと「青」と「黄」の両方の五家宝を摘んで食べ続けていたのだった。
便利な流通の世の中なので全国から取り寄せても製造から数日後に食べられる五家宝だが、やっぱり製造元に来てそこで出来たてを切断してもらった刹那の五家宝を食べるのが最高だ。
五家宝ファンなら取り寄せもいいけど、熊谷の製造元に来て出来立てを食べることを強くお勧めする。
11.堀内製菓
熊谷の五家宝メーカーの中でも「堀内製菓」はひときわ「職人の手仕事」と「食感」にこだわるファンが多い名店なのだそうだ。
11.1.堀内製菓の歴史
創業は明治20年(1887年)ですでに130年以上の歴史を刻んでいる。
多くのメーカーが効率化のために機械を導入する中、堀内製菓は「職人による手作り」の工程を今も大切にしている。
その日の気温や湿度によって変わる水飴の煮詰め具合を見極めるのは熟練の職人にしかできない技だ。
11.2.堀内製菓の3つの大きな特徴
「軽やかさ」と食感
堀内製菓の五家宝を語る上で欠かせないのが、そのサクッとした軽さだ。
芯(あられ部分)の密度が絶妙で、口に入れた瞬間に心地よい弾力がありつつも、すぐにホロホロと溶けていくような食感がある。
多くの人が「堀内製菓のものは他より柔らかい」と評するほど、出来立ての鮮度を感じさせる作りだ。
名物「末長く」

堀内製菓を有名にしているのが巨大な五家宝「末長く」だ。
長さは約60cmもあり切る前の「長いまま」の状態で販売されている。
「末長く幸せに」という願いが込められており、結婚式のお祝いや長寿を祝う贈り物として非常に人気がある。
また、自分で好きな厚さに切って食べる楽しさもある。
「青きな粉(うぐいす)」へのこだわり
一般的なきな粉(黄大豆)だけでなく、希少な青大豆を使用した「青きな粉」の五家宝にも定評がある。
黄色いきな粉よりも香りが新鮮で、ほんのりと豆本来の甘みが強く、見た目にも美しい薄緑色をしている。
この青きな粉ファンが非常に多いのも特徴なのだ。
11.3.アクセス
JR熊谷駅北口より徒歩約7〜8分。星川通りのせせらぎ沿いを歩いていくと、趣のある建物が見えてくる。
対面販売の小さなお店で店内に漂うきな粉の香ばしい香りが食欲をそそる。
12.通の楽しみ方
堀内製菓の五家宝は添加物を一切使わず手作りのため賞味期限が他店よりやや短めに設定されていることがある。
そのため、購入したら「その日のうちにまずは1本」食べてみることだ。
水飴がまだ馴染みきっていない状態の驚くほど軽い食感は、本店まで足を運んだ人だけが味わえる特権だ。
(熊谷五家宝続く)
