酒まんじゅう 山本五十六の冷水まんじゅう 川西屋本店 新潟長岡 和菓子なスクチャイ124 2025.09.28
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※くまの身長は7.5cm。大きさの参考に。
酒まんじゅう 山本五十六の冷水まんじゅう 川西屋本店 新潟長岡


1.山本五十六の冷水まんじゅう

(現在の住所として)長岡市出身の山本五十六は軍人として有名だが、海軍でのしかるべき地位が確約された31歳の時、地元で元の高野姓から山本姓を相続した。
そこのおばあちゃんが山本五十六をたいへん可愛がり、軍の仕事の合間に長岡の山本家に帰ると真夏にもかかわらずおばあちゃんが冷たい水を用意して川西屋の塩小豆酒まんじゅうを冷水に浸して砂糖をかけて山本五十六に出していたのだそうだ。
それが山本五十六の大好物だったそうな。
考えてみればその時代には冷蔵庫に氷などはなく、どこかの氷室から取り寄せた氷で作った冷水だった。
真夏にはその冷水だけでもたいそう貴重なものだったが、川西屋の酒まんじゅうにその冷水をかけて浸して砂糖をかけて山本五十六は食べていたのだ。
山本家のおばあちゃんの寵愛ぶりがわかる話だし、物の本によると山本五十六はコーヒーに砂糖をかなり入れて飲むのが好きだったようで、もしかしたら氏は甘党ではないかとの推測がある。
2.山本五十六冷水まんじゅうを食べたい
吾輩も山本五十六のマネをして、その「酒まんじゅう冷水浸し砂糖がけ」っちゅうもんを実際にやってみて食べてみたくなった。
幸い長岡の川西屋には今も酒まんじゅうがあるそうで、行けば当時とほぼ同じ酒まんじゅうが買えるとの情報を得た。
行くべし!
ということで行ってきた!
3.冷水まんじゅうを冷静に考える
しかし冷静に考えてまんじゅうを冷水に浸すとは・・・!?
想像するに生地がふやけてぐちゃぐちゃになって水臭くなっていかに砂糖をふりかけても見た目も惨めで美味しくないのでは?
・・・というのが吾輩の最初の想像であった。
4.川西屋本店

ある日曜日の午後、吾輩は川西屋本店に到着した。
ショウケースの中には、2種類の丸い酒まんじゅうがあって、中身が甘いこし餡あんともうひとつは塩小豆の餡だった。
他に、皮というか生地のみの丸いまんじゅうと伸ばした楕円形みたいな形の大きなまんじゅうがあった。
価格は丸い塩小豆、こし餡がそれぞれ一個あたり税込120円、生地のみの丸いのが税込100円、楕円を伸ばしたのが税込400円だった。
吾輩は塩小豆、こし餡、楕円の3種類を購入した。
5.塩小豆まんじゅうが冷水まんじゅう用
塩小豆、こし餡、楕円の3種類を手に入れてきたが、水まんじゅう用は「塩小豆」のまんじゅうなのだ。
塩小豆とはつぶ餡の砂糖の代わりに塩を入れたあんこではなく、小豆を煮ただけの状態に塩を混ぜただけのものだ。
濾すのはもちろん潰したりもしていないので見た感じ粒感ありまくりのぽろぽろの餡なのだ。
なお、山本五十六の時代は塩分がもっとしっかり効いていたらしいが、現代はさすがに塩分控えめの風潮があるので加減しているとのことだ。
その塩分の目的は、もともと品質維持のため、つまり雑菌を繁殖させずに保存するためだったのだ。
砂糖でも同じ役目をするが、当時砂糖は高価な希少品だったので砂糖よりも安い塩で賄っていたようだ。
しかし考えてみれば砂糖が使えなくて塩辛くしたあんこのまんじゅうを浸す冷水に山本五十六は砂糖をかけて食べている。
結局山本家では砂糖も冷水も手に入ったということで、そこだけでも恵まれた家だったことが窺い知れる。
6.塩小豆まんじゅうの餡

実際その塩小豆まんじゅうを割ってみたらわかるが、中身は小豆の崩れたようなもので、ポロポロとこぼれ落ちてくる。
それを拾って食べたら塩っ辛い。
7.いよいよ塩小豆まんじゅうで冷水まんじゅうを作る






塩小豆の酒まんじゅうをお椀に入れて冷水を入れ、そこに砂糖をかけるのが山本五十六流の食べ方だ。
ここで、冷水と言っても氷は含まない。
これを川西屋ご主人に聞いていたから、吾輩の場合、氷を入れたボウルに浄水器を通した水道水(うまい浄水については別記事参照)を入れてまずは冷水を作り、氷を入れないようにして冷水を塩小豆の酒まんじゅうに浸るようにかけ入れた。
砂糖は自分の判断でジャリ感があった方がいいだろうと思い、グラニュー糖を使った。
この時点でまだ吾輩は半信半疑だ。
恐る恐るさじで生地を切断すると・・・
黒っぽい塩小豆が飛び出し水と混ざった。
あらら・・・今のところ、お世辞にもあまり美味そうには見えない。
8.いよいよ冷水まんじゅうを食べる
恐る恐るさじで一切れを口にした。
冷水と一緒にだ。
すると・・・うまい!
目覚めた!
ひと口で目覚めたのだ!
ありだ! 有りだ! アリだ!
塩小豆のほんのりした塩っ気と、冷たい砂糖水の甘さが生地と融合して、とてつもない美味しさだ!
夏にこれをしたのもよくわかる。
身体に水分と塩気を補うのだ。
これで身体が自然に喜ぶのだった。
ちなみに酒まんじゅうの生地は水に漬けてもすぐにブヨブヨにならない。
生地は水の中でも案外しっかりしているのだ。
ともかくこれが山本五十六の冷水まんじゅうだ!
これは完璧にいい!
古くて新しいスイーツだ!
山本五十六氏が気に入っていたのが痛いほどよくわかった。
9.甘いこし餡入りまんじゅうに牛乳がけ

さて他の酒まんじゅうだが、甘いこし餡入りはそのまま食べると当たり前のように美味しかった。
塩小豆と甘いこし餡入りを2個ずつ買っていたので、甘いこし餡の残り一個をお椀に入れてみた。
これは山本五十六レシピにはない。
吾輩の挑戦だ。
山本五十六はあくまで塩小豆まんじゅうを冷水に浸して食べただけで、甘いこし餡入りまんじゅうは冷水に浸けて食べたりはしなかった。
そこを、吾輩の好奇心で、こし餡入りまんじゅうを冷水に浸けてみようと思ったのだ。
そこで、冷蔵庫に牛乳が残っているのを思い出した。
翌日から何日か留守なので、牛乳はその日中に飲んでおかねばならなかった。
そこで、こし餡入りまんじゅうには、水ではなく牛乳をかけてみたのだ。
中身は甘いあんこなので水よりも牛乳がいいとも思った。
むしろ、塩辛いあんこのまんじゅうだったら牛乳は合わないかもしれないとも思った。
砂糖はかけなかったがもちろんかけてもいいと思う。
・・・結果、これまた美味しかった。
牛乳かけまんじゅうも大いに気に入った。
この「牛乳かけまんじゅう」の件は後で川西屋のご主人に電話で報告した。
吾輩は初めての客だったのに、店舗に伺った時、ご主人は懇切丁寧に山本五十六の水まんじゅうについて説明してくれたのだ。
そのお礼を兼ねて、食べた感想と牛乳で試してみた結果を報告したのだ。
10.生地だけの酒まんじゅう

上記のように吾輩は塩小豆まんじゅうを冷水に浸けて食べる山本五十六式食べ方と、オマケとして甘いこし餡入り酒まんじゅうを牛乳に浸けて食べる方法を試してみた。
酒まんじゅうを液体に浸して食べる話は以上だが、先に書いたように、今回は他に楕円を伸ばしたような生地だけの酒まんじゅうも買っていた。
その大きなまんじゅうを買う時、ご主人は「もちろんそのまま包んでもいいのだが、切って醤油を塗ることもできる」と言ってくれた。もちろん無料サービスだ。
「そうして」と頼む客が少なからずいるとのこと。
または醤油を塗らずに切るだけをお願いする客もいるとのこと。
結局食べる時に切るのだから先に切っておいてもらった方が手間が省けるという寸法だ。
吾輩は初めてなので、細長いそのまんじゅうの半分だけを切ってもらい、残りの半分はそのままにしておいてもらうことにした。
醤油は、塗ったらどうなるかわからない不安が少しあったものの、ご主人のおすすめで全面に塗ってもらうことにした。
11.醤油を塗った酒まんじゅう




その醤油を塗ってくれた大きな酒まんじゅうを持ち帰ったのだが、丁寧に包んでくれた紙の包装を開けるとラップに包まれ経木を巻かれた楕円の酒まんじゅうが顔を出し、そこからとてつもなく旨そうな醤油の香りが漂い始めた。
その時点で醤油を塗ってもらって正解だと合点した。
蒸したてなので買いたてをそのまま早めに食べるに限る・・・ということで、吾輩はかじりついた。
うまい!
酒まんじゅう独特の柔らかさと弾力があり、そこに酒種の香りと醤油の香ばしさが重なった。
とてつもなくうまい食べ物だ。
12.食べきれない分は冷凍庫へ
買って来たその日は塩小豆まんじゅう2個とこし餡まんじゅう2個を先に食べ、楕円形の大きな生地だけの酒まんじゅうは切ってもらった半分だけを食べ、残りの切ってない方の半分はそのまま冷凍庫で保管することにした。
その翌日から吾輩は出かけるので、数日食べられないことがわかっていたからだ。
13.冷凍の「生地だけ酒まんじゅう」を焼いて食べる

後日、冷凍の「生地だけ酒まんじゅう」を美味しく食べたので報告する。
凍ったままガスコンロの魚などを焼くグリルの鉄板に並べて焼いた。
ほんの少し焦げる頃に醤油が焦げた香ばしい香りが漂い始め、火を消して取り出すとふかふかふわふわアッチッチだった。
火傷しないようにそのままかじって食べると誠においしかった。
バターを付けて食べてみると、これまたとてもおいしく合うのだった。
これで酒まんじゅうは冷凍保存が可能で冷凍後にも美味しく食べられることが証明できた。
酒まんじゅうがなかなか買えない場所にいる場合、冷凍庫のスペースがありさえすれば買えるときに多めに買って冷凍保存しておくという手段がアリと言うことだ。
なぜ冷蔵ではなく冷凍かというと、ご飯やパンや餅などのデンプン系は冷蔵の温度ではデンプンが劣化しておいしさがなくなるからだ。
穀類系の食べ物は、調理後すぐに食べられなければ一気に氷点下に下げる冷凍保存に限るのだ。
このことは酒まんじゅうにも言えるのだ。
14.アイスキャンディー

川西屋本店で売っていたアイスキャンディーの話だ。
川西屋本店では酒まんじゅうだけでなく、アイスキャンディーも季節販売する。
このアイスキャンディーは実は川西本店から暖簾分けした長岡市内の別の川西屋さんで作っているアイスキャンディーなのだ。
それを仕入れて川西屋本店でも売っているのだ。
暖簾分けした別の川西屋さんは川西屋本店の遠い親戚とのことだ。
訪問した当日は9月の最終週の日曜日で季節の終わりだったが、幸いなことに川西屋本店で在庫最終と思われるイチゴアイスキャンディーを食べることができた。
夏場は他にあと3種類(ミルク、抹茶、小豆)があるのだが、さすがにその日はその3種は在庫がなかった。
イチゴアイスキャンディーはあっさりしていて、昔風の素朴なおいしさのキャンディーだった。
大手氷菓メーカーが作る量産品アイスキャンディーとは一線を画した、誰もが大好きになる美味しいアイスキャンディーで、時節には引く手あまたで保冷ボックス持参で大量買いしていく人もいるとか。
このアイスキャンディーを作っている川西屋本店から暖簾分けした別の川西屋さんは、長岡駅から徒歩で訪問可能な距離(10分ほど)で、そこでも酒まんじゅうを販売しているとのことだ。
そもそも川西屋本店も長岡駅から徒歩5分程度の場所だ。
今度来たときには川西屋本店だけでなく、暖簾分けした別の川西屋さんにも行ってみようと思った。
その別の川西屋さんについてはまた記事にしようと考えているのでご期待を。
15.川西屋本店

川西屋になる前の本家は明治時代まで信濃川の西側で農家を営んでいたが、当時の主人が戦争(どの戦争か不明)で足に傷害を受け農業を続けられなくなったので奥さんの提案で川の東側である長岡城本丸跡地(現在の長岡駅)近くの商業地域に引っ越し、そこでまんじゅう屋を始めたのが最初だとご主人が話してくれた。
川の西側に住んでいたので屋号が「川西」になった。
川西はご主人の苗字ではないのだ。
現在のご主人は4代目か5代目だ。(要確認)
ご主人は吾輩に、おじいさんのまたおじいさんは・・・と、遠い昔の祖先を辿るような興味深いお話を多々してくれたのだった。
(おわり)
