ラジオ体操第2はいつ死んだのかーー消え方の法則
以前、こう書いた。
「デジタルは紙より先に消える」。
FC2ブログが終わり、
Flashが終わり、
スマホゲームのサーバーが
閉じていった。
便利なものほど、
止まったときの消え方が速い。
あの記事では
そういう話を書いた。
で、今月また
ひとつ消えるものがある。
NHKラジオ第2。
まだやってたんや。
95年の放送局
1931年に始まった。
昭和6年。
教育専門の放送局として
ラジオ第1と分かれた。
語学番組、学校向け放送、
教養講座。
戦前から続いていた放送が、
2026年3月29日に終わる。
95年。
ほぼ1世紀。
前の記事で書いたのは、
デジタルの話だった。
でもラジオ第2は
デジタルですらない。
AM放送だ。
アナログの電波だ。
デジタルが紙より
先に消えるとしたら、
アナログはもっと
長持ちするはずだった。
していない。
「廃止」は死亡届
NHKの発表では、
これは「経営改善の一環」
とされている。
2025年9月に廃止を決定し、
11月に総務省が認可した。
約37億円のコスト削減。
教養番組は新AMへ、
語学番組はFMへ移る。
合理的な判断だと思う。
ただ「廃止」という言葉が
少し気になった。
「廃止」には、
今ここで終わらせる、
という響きがある。
でも実際は違う。
人が亡くなったとき、
死亡届を出す日と、
実際に亡くなった日は違う。
「廃止」は死亡届だ。
日付は2026年3月29日。
でも、この放送が
本当に死んだのは、
もっと前のことだろう。
いつ死んだのか
聴取率の調査で
数字が出てこなくなった日。
語学番組を聴こうとして、
アプリのほうが便利だと
気づいた日。
あるいは、
「NHK第2」と言われて
一瞬考え込むようになった日。
制度が消えるのは、
廃止が決まった日ではない。
誰にも気づかれなくなった日だ。
FC2もFlashも、
「消えた」のは
サービスが終了した日じゃない。
誰もログインしなくなった日、
誰もプレイしなくなった日だ。
ラジオ第2も同じだった。
デジタルもアナログも、
消え方は変わらない。
「まだあったんだ」の正体
こういうものは、
ラジオ第2だけではない。
公衆電話は、
まだ街にある。
でも最後に使ったのは
いつだったか。
FAXは、
まだオフィスにある。
でも「FAX送ってください」
と言われると、
一瞬固まる。
新聞の折込チラシは、
まだ届いている。
でも、スーパーの特売を
チラシで確認する人は
どれくらいいるのか。
どれもまだ「ある」。
でも、もう「使われていない」。
「あったんだ」と気づくのは、
なくなるというニュースを
見たときだけだ。
「便利だから脆い」と
前は書いた。
でもそれだけじゃなかった。
アナログだろうが
デジタルだろうが、
使われなくなったものは
同じように消えていく。
便利かどうかではなく、
「使われなくなったら、
全部脆い」のだと思う。
消えても誰も困らない
たぶん来月以降、
ラジオ第2がなくなったことに
気づかない人のほうが多い。
当たり前のものが消えても、
困る人がいないなら、
それはもう
当たり前ではなかった。
消え方が速いか遅いか。
実はそこじゃない。
デジタルは数年で消えた。
ラジオ第2は95年かかった。
でも結局、
「誰にも気づかれずに消える」
という消え方は同じだった。
消え方が速いか遅いかよりも、
消えたことに
誰が気づくかのほうが、
たぶん大事な話だ。
そして気づいたときには、
もう手遅れだということも。
まあ、そういうもんやろな。
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