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コストプッシュ・インフレとは? 価格が上がる“苦しい理由” |やさしい“お金の話”14

◆ 第14回|コストプッシュ・インフレとは?

「インフレ(インフレーション)」とは、モノやサービスの価格が全体的に上がっていく状態のこと。

前々回は「インフレ率(どのくらい上がるのか)」、前回は「ディマンドプル・インフレ(買いたい人が多すぎて上がる型)」について見てきました。

今回はもう一つの代表的なパターン──
コストプッシュ・インフレ(つくる側の理由で値上がりする型)についてやさしく見ていきましょう。


材料や電気・ガスが高くなると…

たとえば、こんなことが起きたとします。

  • 原材料が高くなった

  • 電気代やガソリン代が上がった

  • 海外からの運送料が高くなった

こうした「モノをつくるときにかかるお金(=コスト)」が増えることで、商品の値段が上がる──
これを「コストプッシュ・インフレ」と呼びます。


お客さんは少ないのに、値上げが続く?

前回の「ディマンドプル・インフレ」は、
「買いたい人(=需要)が多すぎて値段が上がる」インフレでした。

それに対して「コストプッシュ・インフレ」は、
お店や会社が「つくるのにお金がかかるから、仕方なく値上げする」という状態。

つまり、買う人が増えたわけではなく、売る側の理由でモノの値段が上がってしまうのです。


では、いまの日本は?

たとえば──

  • ロシア・ウクライナ戦争などによるエネルギー価格の高騰

  • 円安による輸入品の値上がり

  • 世界的な運送の混乱

こうした要因が重なり、いまの日本ではコストプッシュ型のインフレが起きています。


でも実は、もう一つ“見えにくい”インフレがある

それが、
サプライロス型インフレ(モノをつくる力を失ったことで起きるインフレ)です。

この言葉は、経済評論家の三橋貴明氏が定義したものです。


そんな馬鹿なこと、ふつうはしない──でも現実に起きている

ふつう、インフレといえば「景気がよすぎてモノが足りない」というイメージがあるかもしれません。

でも、サプライロス型インフレは、
「景気が悪いのに、モノが足りなくなって、物価が上がる」という、まったく逆の現象です。


政策で「モノをつくる力」が失われている?

たとえば──

  • 海外から安く買えるモノを優先し、国内の会社には十分なお金を出さない

  • 材料費が上がっても、値上げできずに会社がつぶれる

  • 「国の借金を減らす」ことを優先して、必要な支援が出されない

こうした状況が続けば、
「モノをつくる人」や「会社」がいなくなっていきます。

つまり、「つくる力(供給力)」が奪われてしまうのです。


名前がなかったのは、想定されていなかったから

ふつう、こんな政策はとらない。
自分で自分を苦しめるようなことは、そもそも想定されていなかったのです。

だから、経済の教科書にも
「わざわざ供給力を壊してインフレになる」ようなケースは、ほとんど書かれてきませんでした。


どうすればいいの?

コストプッシュ・インフレやサプライロス型インフレは、放っておくと困るインフレです。

なぜなら──

景気はよくならないのに、生活だけが苦しくなるから。

こういうときに大切なのは:

  • 一時的に税金を下げて、負担を軽くする(=減税)

  • 大事なところには、ちゃんとお金を出す
     (たとえば公共事業、給付金、国内の産業支援など)

つまり──
「国民が苦しいときは、政府が支える」ことが基本です。

これによって、「暮らし」も「つくる力」も守ることができます。


インフレにもいろんな顔がある

「インフレ=全部悪い」と思ってしまうと、対応をまちがえてしまいます。

たとえば──

  • ディマンドプル・インフレ
     → 元気な経済のあらわれ(ただし、行きすぎ注意)

  • コストプッシュ・インフレ
     → つくる側の事情で起きる“苦しい”インフレ

  • サプライロス型インフレ
     → 政策の失敗で、モノをつくる力がなくなって起きるインフレ

原因を見間違えれば、対策もズレてしまう──
だからこそ、まずは正しい理解が大事です。


次回は「税金の役割」へ

ここまでで、「モノの値段が上がる仕組み」をいくつか見てきました。

次回は──

「インフレが行きすぎたら、どうやっておさえるのか?」

ただし、これはディマンドプル・インフレ(=買いたい人が多すぎて物価が上がる状態)の場合のお話です。

そうしたとき、景気をゆるやかにするために「社会に出回るお金を一時的に減らす」
──その役目を果たすのが、税金です。

つまり:

「政府はお金を出せるのに、なぜ税金が必要なのか?」
その理由のひとつが、「インフレの調整役」としての役割なのです。

次回は、このしくみをやさしく見ていきます。


📚 このシリーズでは、「お金の仕組み」をできるだけわかりやすく伝えています。
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