ディマンドプル・インフレってなに?──“健全な物価上昇”のしくみ |やさしい“お金の話”13
◆ 第13回|ディマンドプル・インフレとは?
前回は、「インフレとは何か?」そして「インフレ率とは?」について、基礎からやさしく解説しました。
今回は、その“インフレが起きる理由”を、もう一歩深掘りしてみましょう。
物価が上がる理由はいくつかありますが──
まずは代表的なパターン、「ディマンドプル・インフレ(需要による物価上昇)」について見ていきます。
「どうして需要が増えると物価が上がるの?」
「“景気がいい”って、どういう状態?」
身近なやりとりや例を使って、できるだけわかりやすく解説していきます。
たくさん買われると、値段は上がる
たとえば、こんな流れを想像してみてください。
👩「お金に余裕があるから、ちょっと贅沢してもいいかな」
↓
👨「あれ?どんどん商品が売れるぞ。じゃあちょっと値上げしてみよう」
↓
👩「上がってる?じゃあ今のうちに買っとこう」
↓
👨「注文が多すぎる!原材料も人手も足りない!」
↓
👩「でも、さらに上がる前に買っておかないと」
こんなふうに、買いたい人(=需要)がたくさんいて、モノの量(=供給)が足りなくなると、価格は自然に上がっていきます。
これが、「ディマンドプル(=需要が引っ張る)」インフレです。
民間が苦しいとき、誰が需要を生み出す?
たとえば、2022年にロシア・ウクライナ戦争が起きる前までの日本では、物価がなかなか上がらない状況が続いていました。
なぜなら──
企業は「先行きが不安」だから投資を控える
家計も「将来が不安」だから消費を控える
つまり、需要が全体的に足りない状態が続いていたのです。
そんなとき、誰かが“お金を出す”必要がありました。
でも、民間(企業や家庭)は無理できません。
だって、
「お金が足りなくて倒産するけど、たくさん投資しよう!」なんて、
ふつうはできませんよね。
そんな“馬鹿なこと”をできるのは──
自国通貨を発行できる(=倒産しない)「政府」だけなんです。
政府が「需要をつくる」とは?
政府が道路を作ったり、学校を建てたり、給付金を出したりする。
それは、民間のかわりに「お金を出す」行動です。
すると、
工事を受けた会社にお金が入る
材料をつくる工場が動き出す
雇用が生まれる
給料が支払われる
こうして、社会全体にお金がまわりはじめ、新たな需要が生まれます。
これが、政府による「有効需要の創出」です。
ディマンドプル・インフレは「景気がいい」状態?
インフレと聞くと、「悪いこと」「怖いこと」と思う人もいるかもしれません。
でも、ディマンドプル・インフレは、
お金がちゃんと流れて、モノが売れて、経済が元気になっている状態。
つまり、
ある程度のディマンドプル・インフレは、むしろ“健全”な経済成長の証拠。
もちろん、加熱しすぎれば調整が必要ですが、
逆に「物価が全然上がらない」「むしろ下がっていく」ような状態の方が、よほど深刻なのです。
次回は「コストプッシュ・インフレ」へ
今回は、「お金がたくさん流れて、モノが足りなくなる」ことで物価が上がる──
ディマンドプル型のインフレを見てきました。
次回は、ちょっと複雑な「コストプッシュ型インフレ」。
つまり、
お金の流れではなく、「作る側の事情」でモノが高くなるとどうなるのか?
という話です。
インフレにもいろんな顔があります。ぜひ次回もご覧ください。
📚 このシリーズでは、「お金の仕組み」をできるだけわかりやすく伝えています。
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