【社会保障を考える#2】「病人を増やすことで儲ける」医療構造
前回の記事
① 最初に言っておきたいこと
この記事は、
医者を責める話ではありません。
むしろ、医者も看護師も、
現場の人は本当に大変。
過労で倒れそうになりながら、
私たちの健康を支えてくれている。
今回のテーマは
「人ではなく、構造が歪んでいる」
という話です。
誰も悪意はないのに、
結果だけが“変な方向”に転がっていく。
その仕組みを、
いったん可視化してみる回です。
② “逆インセンティブ構造”とは何か?
まず、今日の核心から。
病気が減れば減るほど、
医療機関も製薬会社も収入が減る。
これが「逆インセンティブ構造」です。
本来なら逆ですよね。
病気が減る
→ 医者は喜ぶ
→ 社会は豊かになる
これが正しい姿のはず。
でも現実は、
病気が減る
→ 売上が下がる
→ 経営が不安定になる
という、
おかしな真逆の世界になっている。

この違和感は、
単なる感情ではなく
制度そのものに理由があります。
③ 病院の収入は「患者数 × 診療点数」で決まる
日本の医療制度は
行った医療行為に“点数”がつき、
それが収入になる
という仕組みです。
たとえば
・薬を出す → 点数がつく
・検査をする → 点数がつく
・処置をする → 点数がつく
そして、
この点数の合計が病院の収入になる。
つまり構造的に
「患者が多いほど経営が安定する」
ように作られている。
逆に言えば、
患者が減る=経営リスク。
実際に
「病院の7割は経営が赤字」
というデータもあります。
医者を多く雇ったり、設備を更新するためには、
“患者数の維持”がどうしても必要になる、
という構造です。
④ 製薬会社は「薬が売れて初めて利益が出る」ビジネス
次に製薬メーカー。
製薬業界は完全に
薬が売れて利益が出るビジネスモデルです。
そして特に大きいのが、
糖尿病・高血圧・高脂血症などの慢性疾患。
“長く飲む薬”ほど収益が安定する。
つまり、
「完治」よりも「長期安定」が重視されやすい。
患者が健康になり、薬が必要なくなると、
製薬会社にとっては売上が下がる。
ここでも、医者と同じ
病気が減るほど困る構造
が生まれる。
繰り返しますが、
これは“企業の悪意”ではなく、
制度・市場設計がそうなっているだけです。
⑤ ワクチンが“巨大マーケット”になる理由
さらに言えば、ワクチンは
「健康な人すべて」が対象になる
数少ない医療行為です。
通常の医療は“病気になった人”に限られる。
しかしワクチンは
健康な1億人に市場が生まれる。
だからワクチン事業は
国家政策としても巨大になるし、
一度仕組みが回り始めると止まらない。
⑥ なぜ医者は“薬を出すほど評価される”のか?
診療報酬制度は
“治ったかどうか”ではなく、“どんな対応を何件したか”
で評価されます。
だから、
・患者が多いほど
・薬を出すほど
・検査をするほど
医師の仕事量は増え、病院の収入も増える。
一方で、
患者が少なく、薬を減らし、検査を減らすほど、
医者も病院も経営が苦しくなる。
つまりシステム全体が
“患者が多くて忙しいほど評価される”
世界になっている。
⑦ いつの間にか完成した「病人が減ると困る国」
ここで整理します。
病院 → 患者が減ると赤字リスク
製薬 → 病気が長引くほど安定収益
医者 → 行為の数で評価、忙しいほうが収入が高い
産業 → 雇用も確保しないといけない
国 → 医療が巨大産業なので急に縮小できない
これらが積み重なるとどうなるか。
“病人が減ると困る”医療産業構造の完成。
本来は逆。
病人が減り、健康な人が増えると
国は豊かになる。
だけど今は
健康な人が増える → 医療産業が苦しくなる
病人が増える → 医療産業が安定する
という矛盾が起きてしまっている。
⑧ この構造は国民生活にも跳ね返ってくる
医療費が膨らむと、
社会保険料が上がり、
税金が増え、
手取りが減り、
生活は苦しくなる。

そして生活が苦しくなると、
ストレスが増え、
不調が増え、
医療費がまた増える。
このループは、誰が悪いわけでもなく、
ただ静かに、でも確実に進行してしまう。
「なんか最近、生活が苦しい…」
と感じる理由のひとつは、
この構造にあるのかもしれません。
⑨ 次回月曜日更新:四毒抜きは“逆インセンティブ”を突破する個人の武器
ではどうすればいいのか?
国全体の制度はすぐには変わりません。
でも、個人でできることはある。
次回月曜日更新
「四毒抜きは“究極の社会保障費削減政策”」
※今回の記事で参考にした本を紹介しておきます。
藤井聡著:「過剰医療の構造」
Amazonアソシエイトリンクを使用しています。
いいなと思ったら応援しよう!
読んでいただき、ありがとうございます。
チップは任意ですが、いただけた場合は、静かにガッツポーズしています。この記事が参加している募集
この記事は noteマネー にピックアップされました

