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『エミリー パリへ行く』を社会学で読み解く(最終話):アムール(愛)の国で、清く正しく生きられるか?

はじめに:パリで「#MeToo」を叫ぶ

全3回にわたる本連載も、今回が最終話です。 第一話ではSNSによる「虚構の自分」第二話では「休まない勤勉さ」を通して、主人公エミリーが抱える現代的な病理と、フランス文化との衝突を分析してきました。

しかし、パリといえば、なんといっても「アムール(愛)」と「モード(ファッション)」の街です。 このドラマの最大の魅力(そして最大の炎上ポイント)は、エミリーが持ち込むアメリカ的なジェンダー観が、フランスの伝統的な恋愛観と正面衝突する点にあります。

エミリーは、仕事だけでなく恋愛においても「正しさ」を求めます。 彼女の目には、フランスの男たちは「セクハラまがい」に見え、フランスの女たちは「不倫を容認する共犯者」に見えます。

最終回となる今回は、エミリーが直面する「愛のカルチャーショック」を社会学的に解剖し、最後にジンメルの「見知らぬ人」を用いて、この物語が私たちに投げかけるメッセージの核心に迫ります。


1. 「言い寄る自由」と、ピューリタンなエミリー

シーズン1で、エミリーはクライアントである既婚男性アントワーヌから、高級なランジェリーをプレゼントされます。 エミリーはパニックになります。「セクハラだ」「上司に報告すべきか」。彼女の反応は、現代のアメリカ(そして日本)の企業のコンプライアンス基準からすれば、100点満点の「正しい」対応です。

しかし、上司のシルヴィーは鼻で笑います。「ただのプレゼントよ。楽しめばいいじゃない」

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