空席の王 ──奴隷だった俺が最強の仲間を召喚して世界を支配するまで⑥
第六章
“神喰らい”
黄金の炎が、
世界を呑み込んでいた。
熱い。
……いや。
“熱い”なんて言葉では足りない。
存在そのものが焼かれる感覚。
兵士達は地面へ伏し、
呼吸すらまともにできない。
聖王国騎士団。
精鋭。
その全員が。
ただ“立っているだけ”で限界だった。
ガルドが歯を食いしばる。
「ふざ……けるな……」
「こんなもの……勝てるか……!」
フェルグラードは笑っていた。
黄金の瞳。
灼熱の角。
その背後では、
巨大な太陽紋章が回転している。
神話級。
いや。
“災害”そのもの。
ゼルヴァが剣を肩へ担ぐ。
「おい王様」
「どうする?」
「逃げるなら今だぞ」
だが。
レインは、
フェルグラードを見ていた。
不思議だった。
怖い。
本能は逃げろと言っている。
なのに。
心の奥では、
別の感情が燃えていた。
……惹かれている。
力へ。
孤独へ。
世界から恐れられる存在という部分へ。
フェルグラードが口を開く。
「貴様」
「なぜ我を恐れぬ」
声だけで、
空気が揺れる。
レインは静かに答えた。
「恐れてる」
「めちゃくちゃ怖い」
兵士達が固まる。
ゼルヴァが吹き出す。
「ぶはっ」
「素直かよ」
だが。
レインは続けた。
「でも」
「お前も、ずっと一人だったんだろ」
その瞬間。
世界が静止した。
フェルグラードの瞳が細くなる。
黄金の炎が揺れた。
ルミアが息を呑む。
ゼルヴァですら、
目を見開いていた。
誰も。
そんな言葉を、
“神喰らい”へ向けたことがない。
フェルグラードは、
静かにレインを見る。
まるで。
遥か昔を思い出すように。
「……面白い人間だ」
その時だった。
空が裂ける。
──バキィィィン!!!
巨大魔法陣。
純白。
神聖術式。
天から、
無数の槍が降り注ぐ。
ルミアが叫ぶ。
「上!!」
聖王国軍ではない。
別格。
空中に浮かぶ白銀船団。
神聖騎士団。
その中央。
純白のローブを纏った女がいた。
金髪。
青い瞳。
背中には六枚の光翼。
その存在感に、
兵士達がざわめく。
「し、神聖院……!」
「まさか……!」
女は冷たい目で告げる。
「災厄存在を確認」
「神代兵器フェルグラード」
「及び、“空席の王”」
空気が凍る。
レインは眉をひそめた。
「誰だ、あれ」
ガルドの顔が青ざめる。
「終わった……」
「神聖院第零席……」
“断罪の聖女”
アルティナ・ルクセリア
ルミアの身体が震える。
「最悪……」
「なんでこんな早く……!」
アルティナは、
感情のない瞳で告げた。
「対象を粛清します」
次の瞬間。
空から、
神罰が降った。

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