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空席の王 ──奴隷だった俺が最強の仲間を召喚して世界を支配するまで⑤

第五章

“太陽を喰らう者”


黄金の光柱が、
夜空を焼いていた。

まるで。

空そのものへ穴を開けるように。

誰も言葉を失う。

聖王国軍ですら、
その光景に恐怖していた。

兵士の一人が震える。

「な、なんだよ……あれ……」

「神罰か……?」

ゼルヴァが舌打ちした。

「違ぇな」

「……アレは“生物”だ」

空気が凍る。

生物?

あの規模が?

レインは黄金の柱を見る。

見ているだけで、
身体の奥が軋む。

魂が警鐘を鳴らしていた。

危険だ、と。

その時。

ルミアの《叡智の書グノーシス》が、
勝手にページを捲り始める。

バサッ──

紫の文字列。

高速演算。

古代語。

ルミアの顔色が変わった。

「……嘘」

「こんなの……」

レインが振り返る。

「知ってるのか?」

ルミアは唇を震わせる。

「神代災害指定」

“太陽喰らい”

《フェルグラード》


ゼルヴァの目が細くなる。

「やっぱりか」

レインは眉をひそめた。

「何なんだ、それ」

ゼルヴァは珍しく真面目だった。

「簡単に言えば」

「昔、神を喰った怪物だ」

……沈黙。

兵士達が青ざめる。

「は……?」

「神を……?」

ルミアが続ける。

「神代戦争末期」

「太陽神殿を壊滅させた存在……」

「封印指定最上位……」

その瞬間。

──ゴォォォォォ……

遠方の山脈が、
吹き飛んだ。

遅れて衝撃波。

森林が薙ぎ倒される。

空気が震える。

ガルドが絶叫した。

「総員撤退ィィ!!」

もう戦争どころじゃない。

国家存亡級。

兵士達が逃げ始める。

だが。

レインの脳内には、
別の声が響いていた。

《空席No.3》

《適合率測定中》

《神代因子を確認》

《契約可能》

レインの顔が変わる。

「……契約?」

ルミアが振り向いた。

「待って!!」

「ダメ!!」

「フェルグラードは人類敵対指定!!」

「召喚なんてしたら世界が……!」

だが。

その時だった。

空から“何か”が落ちてくる。

隕石のように。

黄金の炎を纏いながら。

──ドゴォォォォォン!!!!

着弾。

大地爆発。

衝撃波で全員吹き飛ぶ。

土煙。

轟音。

そして。

そこにいた。

巨大だった。

三メートルを超える異形。

黒金の外殻。

背中から噴き出す黄金炎。

頭部には王冠のような角。

そして。

瞳。

太陽そのものみたいな金色。

兵士が絶叫する。

「ば、化け物ォォォ!!」

フェルグラードは、
ゆっくり周囲を見た。

その視線だけで、
兵士達が膝をつく。

格が違う。

存在次元が違う。

ゼルヴァですら、
剣へ手をかける。

「……おいおい」

「冗談だろ」

フェルグラードが口を開いた。

声は低く、
世界そのものが震えるようだった。

「久しいな」

「人間」

兵士達が逃げ出す。

だが。

フェルグラードは興味を示さない。

黄金の瞳は、
真っ直ぐレインを見ていた。

そして。

笑った。

獣みたいに。

「なるほど」

「“王”か」

空気が変わる。

レインの脳内。

黒き玉座。

三つ目の席が、
ゆっくり光を放つ。

フェルグラードは言う。

「面白い」

「ならば試してやろう」

次の瞬間。

黄金の炎が世界を覆った。

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