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空席の王 ──奴隷だった俺が最強の仲間を召喚して世界を支配するまで㉟

第三十五章

“王と終末”

世界が、
静まり返っていた。

崩壊寸前だった空間。

裂け続けていた空。

暴れていた終末本体。

その全てが。

新たな王の前で、
停止している。

レインは、
静かに空を見上げていた。

紫の瞳。

そこに宿る光は、
以前とは違う。

弱さを知っている。

孤独を知っている。

絶望も知っている。

その上で。

なお。

“守りたい”と願う光だった。

終末の神が、
怯えたように震える。

──ギ……ギギ……

巨大な瞳。

巨大な肉塊。

無数の口。

無数の悲鳴。

それら全てが、
レインを恐れていた。

かつて。

虚王によって、
消されかけた恐怖。

それを。

終末は忘れていない。

レインは、
ゆっくり右手を掲げる。

瞬間。

黒き玉座が、
世界の裏側から浮かび上がった。

──ゴゴゴゴゴ……

巨大。

神々ですら跪く、
漆黒の王座。

その背後には。

無数の空席。

空席の軍勢達が、
静かに立っていた。

フェルグラード。

ゼルヴァ。

ノクス。

エルシア。

ルミア。

ラグナ。

星喰いの魔女。

アーク・ゼノン。

皆。

新たな王を見ている。

その瞳にあるのは、
絶対的な忠誠。

だが。

以前と少し違った。

今は。

“安心”があった。

もう。

この王は、
独りにならない。

そう確信している目だった。

その時。

終末本体が、
狂ったように咆哮した。

──ギャァァァァァァァァァ!!!!

空間爆裂。

巨大な黒腕が、
世界ごとレインを潰そうと落下する。

星々すら砕く、
終末の一撃。

だが。

レインは、
避けない。

ただ。

静かに呟く。

「……遅い」


瞬間。

──ピタッ

黒腕が止まる。

終末本体が、
絶望したように震えた。

レインの周囲へ、
紫黒の王権が広がる。

その空間だけ。

世界法則そのものが、
書き換わっていた。

重力。

時間。

存在。

全部。

王の意思へ従っている。

ルミアが、
震える声で呟く。

「……世界改変」


神代禁術。

いや。

その更に上。

“世界そのものを書き換える力”。

それが今。

レインの中で、
完全に目覚めていた。

終末本体が、
必死に暴れる。

だが。

動けない。

王権が。

世界ごと、
終末を縛っている。

その時。

レインの脳内へ、
虚王の最後の言葉が響く。

《独りになるな》


その一言。

それだけで。

レインは、
静かに笑った。

小さく。

でも。

確かに。

後ろを振り返る。

仲間達がいる。

怪物達。

世界から拒絶された最強達。

でも。

今は違う。

ここが、
居場所だ。

レインは、
再び終末を見る。

そして。

王として、
静かに告げた。

「お前は」


紫雷が走る。

「ここで終わりだ」


その瞬間。

黒き玉座の全空席が、
一斉に紫光を放った。

世界が、
王へ呼応する。

そして。

空席の軍勢が。

終末へ向けて、
最後の進軍を開始した。

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