空席の王 ──奴隷だった俺が最強の仲間を召喚して世界を支配するまで㉘
第二十八章
“終末を斬る者”
ラグナ・アークヴェイン。
神殺しの聖騎士。
その黒き大剣が、
空を裂いた瞬間。
世界が、
“止まった”。
──ズバァァァァァン!!!!
斬撃。
だが。
それは剣技なんて次元じゃない。
概念切断。
空間。
時間。
存在。
全てをまとめて、
一刀の下へ断ち切る。
終末の神の顔面へ、
巨大な裂傷が走る。
──ギャァァァァァァァァ!!!!
初めて。
“向こう側の神”が、
絶叫した。
空が揺れる。
星が崩れる。
白い“手”達が、
悲鳴みたいに暴れ狂う。
兵士達は、
ただ呆然としていた。
神を。
斬った。
それも。
真正面から。
フェルグラードが、
獰猛に笑う。
「ハハッ!!」
「やっぱ気持ち悪ぃ強さしてんなァ!!」
ラグナは無言。
白銀の長髪を揺らしながら、
静かに剣を構え直す。
その瞳には、
何も映っていない。
ただ。
王だけを見ている。
終末の神が、
怒り狂う。
巨大な口が裂ける。
──グガァァァァァァ!!!!
空間そのものが、
黒く染まる。
次の瞬間。
終末の神の背後から、
“腕”が現れた。
違う。
白い“手”じゃない。
もっと巨大。
もっと異質。
星を掴めるほど巨大な、
黒い腕。
その腕には、
無数の顔が埋め込まれていた。
泣いている。
笑っている。
叫んでいる。
狂っている。
兵士達が、
見ただけで崩れ落ちる。
「う、うわぁぁぁ……」
「頭が……ッ!!」
ルミアが、
震える声で叫ぶ。
「ダメ!!」
「アレ、“喰われた世界”よ!!」
空気が凍る。
ノクスの黄金の瞳が細くなる。
「……終末核」
星喰いの魔女ですら、
笑みを消した。
「最悪♡」
「アレ、まだ残ってたのねぇ」
レインの脳内へ、
記憶が流れ込む。
かつて。
終末の神は、
無数の世界を喰らった。
文明。
命。
神々。
全部。
そして。
喰われた世界達は、
苦しみ続けている。
終末の中で。
永遠に。
レインの胸が、
静かに軋む。
怒り。
深い怒り。
王の感情が、
溢れ始めていた。
その時。
終末核が、
ゆっくり口を開く。
──アァァァァ……
声。
無数の悲鳴。
無数の命。
それが混ざり合い、
世界へ響き渡る。
そして。
巨大な黒腕が、
レインへ向けて落ちた。
──ズゥゥゥゥン!!!!
世界崩壊級の一撃。
大陸すら砕く、
絶対破壊。
だが。
レインは動かない。
その前へ。
一人の男が立った。
ラグナ。
神殺しの聖騎士。
白銀騎士は、
静かに剣を構える。
そして。
初めて。
感情を見せた。
怒り。
静かな怒り。
「……貴様」
低い声。
だが。
その一言だけで、
空間が震えた。
ラグナの黒剣が、
紫黒へ染まっていく。
──ゴゴゴゴゴ……
神代文字。
封印術式。
王権共鳴。
剣そのものが、
咆哮していた。
ゼルヴァが目を細める。
「おいおい」
「アレ使う気かよ」
フェルグラードも、
笑みを消していた。
「マジで世界割れんぞ……」
エルシアだけは、
静かに目を閉じる。
知っている。
この技を。
かつて。
神代を終わらせた、
“神殺し”。
ラグナは、
終末核を見上げる。
そして。
王へ背を向けたまま、
静かに告げる。
「王」
「どうか」
白銀の騎士が、
黒き大剣を振り上げる。
瞬間。
空が真っ二つに裂けた。
「今度こそ」
「幸せになってください」
そして。
神殺しが、
放たれる。

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