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空席の王 ──奴隷だった俺が最強の仲間を召喚して世界を支配するまで㉗

第二十七章

“神殺し”

空席の軍勢が、
空を駆ける。

紫雷。

黄金炎。

深淵。

星屑。

神代魔法。

全てが、
終末の空を塗り潰していた。

──ドゴォォォォォン!!!!

アーク・ゼノンの主砲が、
白い“手”をまとめて消し飛ばす。

空間ごと抉り取る、
神代殲滅砲。

だが。

終末側も止まらない。

空の裂け目から、
次々と“異形”が現れる。

翼だらけの巨人。

顔の無い神官。

逆さに笑う天使。

見るだけで精神が壊れる怪物達。

まるで。

悪夢そのものが、
世界へ流れ込んできているみたいだった。

ルミアが、
震える声で叫ぶ。

「数が多すぎる!!」


星喰いの魔女が、
楽しそうに笑う。

銀河のような瞳。

その指先で、
星々が回転していた。

「なら♡」

「まとめて消しちゃいましょ♪」


次の瞬間。

彼女の周囲へ、
無数の惑星が出現する。

小さな星。

だが。

その一つ一つが、
国家規模の魔力を持っていた。

兵士達が絶句する。

「ほ、星……?」

魔女が、
にっこり笑う。

「《流星葬送》♡」


──ドゴォォォォォォォン!!!!

惑星群落下。

終末の軍勢が、
空ごと吹き飛ぶ。

だが。

その爆炎の中から。

“それ”は現れた。

──ズルッ

空間を裂きながら、
巨大な剣が現れる。

黒い。

いや。

“光を拒絶する黒”。

その刃だけで、
世界が軋んでいた。

そして。

剣を持つ男が、
ゆっくり歩いてくる。

長身。

白銀の長髪。

全身を覆う、
神代騎士鎧。

だが。

その鎧は、
ボロボロだった。

まるで。

永遠に戦い続けてきたみたいに。

男の瞳は、
静かだった。

何も映していない。

ただ。

レインだけを見ている。

ゼルヴァが、
顔をしかめた。

「……来やがった」

フェルグラードが舌打ちする。

「一番面倒なのがな」


ルミアが混乱する。

「ま、まだ増えるの!?」

エルシアだけは、
静かに目を伏せた。

悲しそうに。

ノクスが低く呟く。

「神殺しの聖騎士」


空気が変わる。

兵士達が、
本能的に後退する。

その男は。

ただ立っているだけで、
“死”を感じさせた。

男は、
レインの前まで来る。

そして。

静かに膝をついた。

──ゴン……

巨大な剣を地面へ突き立てる。

その瞬間。

周囲数キロの空間が、
真っ二つに裂けた。

兵士達が悲鳴を上げる。

「空間がァァァ!!」

だが。

男は気にしない。

ただ。

静かに頭を垂れる。

「……久しいですね」


低い声。

感情の薄い声。

だが。

そこには、
確かな忠誠があった。

レインは、
その男を見つめる。

すると。

胸が痛んだ。

まただ。

知らないはずなのに。

懐かしい。

男は続ける。

「今度こそ」

「貴方を死なせません」


その瞬間。

黒き玉座の空席が、
砕け散る。

──バキィィィィン!!!!

紫雷。

そして。

空席へ名前が刻まれる。

《神殺しの聖騎士》

《ラグナ・アークヴェイン》

終末の神が、
初めて怒声を上げた。

──ギャァァァァァァ!!!!

巨大な口が裂ける。

世界が揺れる。

まるで。

この男の存在を、
本能的に嫌っているみたいだった。

ラグナは、
ゆっくり立ち上がる。

そして。

黒い大剣を構えた。

瞬間。

空そのものが、
両断された。

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