⑨『最弱扱いされた俺のギフト《追加ボーナス》、実は仲間も武器も報酬も手に入る最強スキルでした』〜第10章〜
前回の振り返り
魔獣討伐の依頼でアスラは新たな仲間、言葉を操る戦術家レオンを得た。
彼の力は仲間の能力を引き出し、戦場をまるで盤上の戦略のように操るものだった。
パーティーはますます強さを増したが、その力は再び周囲の妬みを呼び寄せていく。
第10章 影を裂く刃
夜の街は、どこかよどんだ空気に包まれていた。
アスラたちはギルドからの依頼で、最近頻発している“暗殺未遂事件”の調査に乗り出していた。
依頼主は街の有力商人。護衛についた冒険者たちが次々と背後を取られ、負傷しているという。
「まるで影そのものが動いているようだった、って話よ」
ソフィアが小声で呟いた。
フードの奥からの視線は、どこか怯えを含んでいる。
カインは双剣を弄びながらにやりと笑った。
「つまり、腕の立つアサシンってわけだ。面白ぇじゃねえか」
リュカは耳を立て、夜の風を嗅ぎ取る。
フィルの炎が小さく揺らぎ、ミリアは静かに羽を震わせていた。
アスラは短剣を構え、仲間たちに告げた。
「気を抜くな。……もう、来ている」
その瞬間、影が地面から跳ね上がった。
全身黒装束の男が、無音でアスラの背後を狙う。
「!」
咄嗟にリュカが飛びかかり、鋭い牙でその腕を押さえた。
しかしアサシンは軽やかに身を翻し、壁を蹴って高く跳ぶ。
カインの剣が空を切り、ソフィアの光弾はかわされる。
「速い……!」
レオンが即座に言葉を放つ。
「“視えぬ刃を暴け”!」
その瞬間、アサシンの姿が淡く光り、影に溶けていた輪郭が露わになった。
だがそれでも彼は恐ろしく俊敏で、仲間の攻撃を最小限の動きで避け続ける。
「……お前が噂の“最弱”か」
初めて低い声を発したアサシンの目は、鋭くアスラを射抜いていた。
「最弱、かつてはそうだった。けど今は違う」
アスラは短剣を握りしめ、一歩踏み出す。
激しい斬撃の応酬。
アサシンの短刀がアスラの肩をかすめ、アスラの短剣が影の布を裂く。
息を詰める攻防の中、アスラの胸に再び熱が走った。

《追加ボーナス》
光のカードが宙に浮かび、そこには「影」と「刃」の紋章が刻まれていた。
「……これが、俺の運命か」
カードを読み上げると、アサシンの体が光に包まれた。
彼は驚きに目を見開き、やがてその表情を歪めながらも呟いた。
「……俺は裏切られ、ただ影を生きるしかなかった……。だが、あんたの力に導かれたなら……今度は、共に刃を振るおう」
名を告げるその声は低く響いた。
「俺は──ジーク。これからは、お前の影として戦う」
リュカが尻尾を振り、フィルが嬉しそうに火花を散らす。
ソフィアは小声で「……仲間……?」と驚き、カインは「兄貴、また増えたな!」と豪快に笑った。
レオンは小さく頷き、静かに言葉を添える。
「戦術に影が加わる……これで布陣はさらに強固になる」
アスラは短剣を収め、ジークに手を差し出した。
「……一緒に来い。俺たちはもう、“最弱”じゃない」
ジークは一瞬ためらったが、その手を握り返した。
影を裂く刃は、ついに仲間となったのだった。
あとがき(第10章)
第10章では、新たな仲間── アサシンのジーク が登場しました。
彼は影を操り、無音で敵を仕留める暗殺者ですが、過去に裏切られ孤独の中で生きてきた人物です。
アスラの《追加ボーナス》によって救われ、今度は仲間として影から支えることを誓いました。
これで前衛・後衛・戦術・隠密が揃い、パーティーはますます多彩に。
しかし、次なる冒険は“連続三部作”となる大きな試練──ダンジョン探索。
次回、第11章「古代遺跡の迷宮」。
新たな冒険の幕が上がります。
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