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〜第45夜〜「笑う者の背後にて」




🕯はじめに

あぁ……皆さん……夏が過ぎても、夜はなんだか静かで……妙に……背中が寒いとき、ありませんか?
あれ、きっと気のせいじゃないんですよ……えぇ……。

今回はですねぇ、ある若い女性から聞いた話でしてね……。
これがねぇ……怖いんですよ……あぁ、えぇ……本当にね……。




この話ねぇ、Aさんという20代後半の女性の方でして……
仕事が忙しくて、遅くまで残業することが多かったそうなんですよ……えぇ……。

ある晩も……夜の11時過ぎに、ようやく職場を出てですね、
自宅のアパートに戻ってきたんですって……。

そのアパートっていうのが、古くて……エレベーターもない……
階段の電気もところどころ切れてる……そんな建物だったそうで……。

でねぇ……彼女が階段を上って、自分の部屋の前に立ったとき……
何か……聞こえたんですって……。

……クスクス……っていう、笑い声。

それがねぇ、部屋の中からじゃないんですよ……
彼女のすぐ背後、つまり……玄関ドアのすぐ後ろから……
“誰かが自分の背中の真後ろで笑っているような”感覚があったって言うんです……。

ゾクッとしますよねぇ……。

でも、振り向いても……そこには……誰もいない。

それで……おかしいなぁ、気のせいか……って、鍵を開けようとしたらね……
ドアノブが……ヌルッとしてたっていうんですよ……。

あぁ、えぇ……。
まるで誰かの“手の汗”がべったりとついたような……そんな、異様なぬめり。

「おかしい……さっきまで誰かが触ってたのかな……?」

そう思いながら、急いで部屋の中へ入って、電気をつけた……。

でもねぇ……部屋の中は、いつもと変わらない。
何もおかしなところはない……はずだったんですがね……。

彼女が、ふとリビングのソファを見たら……
そこにねぇ……誰かが座っていた跡が、くっきり残ってたっていうんですよ……。

しかもねぇ……それが濡れてるんですよ……。
えぇ……まるで、ずぶ濡れの誰かがそこに座っていたような……そんな感じで……。

「……誰?」

って思った瞬間……
部屋の中からまた、あの声が聞こえたんですって……。

……クスクス……

あぁ、怖いですねぇ……。
それからというもの、Aさんの部屋では、夜な夜な笑い声が聞こえるようになったそうで……
最初は遠くから……そして、だんだんと近く……近くに……。

ある日、友人が遊びに来たとき、部屋の中で写真を撮ったらしいんですがね……
その写真を見たとき……背筋が凍ったそうです……。

Aさんの背後に……
“誰かの顔”が写っていた……。

笑っていたそうです……えぇ……口元だけが、ニィィ……っと……。



🔚あとがき

この話、Aさんは今でも語ろうとしないんです。
それがねぇ……何よりの“本物の証拠”なんですよ……。

それからというもの、Aさんは引っ越して……
もう、誰も住んでいないはずのその部屋からは、夜になると……
いまだに……笑い声が聞こえるっていうんですよ……。

……クスクス……

あぁ……笑ってるのは……誰なんでしょうね……えぇ……。



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