〜第77夜〜「赤く写った夜」
🕯️ はじめに
えぇ……
これはね……
あとになってから、
「見なきゃよかった」
じゃなくて……
「見ていたのに、分からなかった」
そういう話なんですよ……。
若い頃。
何も怖いものがなくて……
勢いだけで夜を越していた頃の、
実話です……。
📖 本編
大学生の頃の話です。
友人たちとお酒を飲んで、
そのままカラオケに行って……
まぁ、よくある流れですね。
男ばかりで、
歌って、笑って、
写真も何枚か撮りながら……
気づいたら、夜が明けていた。
数日後。
撮った写真を現像しに、
写真屋へ取りに行ったんです。
すると……
写真屋のおじさんが、
少し首をかしげながら、
妙なことを言いました。
「……何枚か、
ちょっとおかしな写真があるかな」
「帰ってから、
見てみなさい」
……その言い方が、
妙に引っかかりました。
帰宅して、
写真を確認し始めます。
一枚ずつ、
何気なく、
めくっていく。
その時はまだ、
ただの酔った夜の写真。
でも……
ある一枚で、
手が止まりました。
何かがおかしい。
ただ、
すぐには分からない。
もう一枚、
めくる。
すると……
自分の 左上半身。
特に、
肩のあたりだけが、
異様に赤い 写真が出てきた。
照明のせいか?
酒のせいか?
……怪我の警告?
よく分からないまま、
さらに、
写真をめくった瞬間――
ぞわっ
と、
背筋が凍った。
理由は分からない。
でも、
この一枚だけは……
他と“違いすぎる”。
思わず、
写真を落としました。
見たくない。
でも……
確認しなきゃいけない
そんな気がして……
ゆっくり、
拾い上げて、
もう一度見る。
写真全体が、
赤い。
カラオケボックスの窓。
外には、
街路樹と街灯。
……雨の夜。
「街灯の灯りが、
赤いのか?」
そう思った、
次の瞬間……
街灯の上。
いや……
違う。
窓ガラスに、
女の顔が写っている。
はっきりと。
こちらを見て……
不気味に、笑っている。
その場には、
男しかいなかった。
知らない女。
確実に、
写るはずのない顔。
その時、
ふと……
先ほどの写真を思い出した。
赤く写った、自分の肩。
関係が、
あるのか……?
分からないまま、
時間が過ぎて……
一週間後。
私は、
病院のベッドの上にいました。
同じように……
雨の降る夜。
サッカーの試合中の事故で、
左鎖骨粉砕骨折。
後に……
事情を説明して、
写真はお寺へ持って行きました。
結局……
あの女が誰なのかは、
分からないままです。
ただ……
もし、
あの場に
“最初から居た”のだとしたら……
なぜ、
分からなかったのか。
嫌な場所だという感覚すら、
なかったのか。
それが……
一番、
気味が悪いんです……。
📝 あとがき
写真ってね……
その瞬間だけじゃなく、
“これから起きること”を
一緒に写すことがある
そう言われています。
信じるかどうかは、
人それぞれ。
でも……
あの赤い色は、
偶然にしては、
出来すぎていました。
ここから先は

この記事が参加している募集
🌟ぜひ応援お願いします🌟 もっとがんばります(ง •̀_•́)ง
