知らない人に全力で手を振った日
ある日の放課後。駅のホームで、反対側のホームに友達っぽい人影を見つけた。
「えっ、あれ絶対○○じゃん!」
テンション上がった私は、バッグを落とす勢いで全力の手ふりをかました。
しかもなぜか、ジャンプ付き。笑顔も100点。周りの目?知らん!
反対ホームのその人が気づいて、こっちを見た。
知らない人だった。
一瞬、世界がスローになった。
目が合う。
向こうの人も「あれ…誰?」って顔になる。
私の手は、空中で宙ぶらりん。
ジャンプの着地もなんかぎこちない。
しかも最悪なことに、その人が軽くペコッと頭を下げてくれたのが、めちゃくちゃ申し訳なくて、逆に死にたくなった。
電車が来るまでの時間が、史上最長だった。
目線の置き場もわからず、スマホのロック画面を50回くらい開いた。
心の中で「誰か今の記憶を全員から消してくれ」と祈った。
……でもその日から、
私は絶対に全力で手を振る前に“確認”するようになった。
あと、知らない人でも手を振り返してくれたら「この世界まだ捨てたもんじゃないな」と思えるようになった。

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