〜第46夜〜「呼ばれて、そして……」
🕯はじめに
あぁ……皆さん……
夜道を歩いていて、ふと後ろから名前を呼ばれたことって、ありませんか……?
誰もいないのに……えぇ……。
それねぇ……絶対に返事、しちゃいけないんですよ……。
今日はですねぇ……
その“声に返事をしてしまった”ある女性の、ほんとにあったお話なんです……えぇ……。
大学生のBさん──
地方から都内の大学に通うため、ひとり暮らしを始めたんですよ……。
住んでいたのは、少し古びた木造アパート。
周囲は住宅街なんですけどね、なぜかそのアパートの周りだけ……妙に空気が重いんですって……。
湿っぽくて……静かで……でも、どこか“耳鳴り”がするような……そんな感覚。
ある晩──
夜中の2時頃にね、Bさんは急に目が覚めたんですって……。
喉が渇いて、水を飲もうと台所へ向かったら……
玄関のほうから……声がしたんですよ……えぇ……。
それがねぇ……こう言ったんですって。
「……Bちゃん……」
最初は、“あれ? 幻聴かな?”って思ったそうでね……
部屋に戻って布団に入ろうとした、そのとき……。
もう一度、はっきりと聞こえた。
「……Bちゃん……いるんでしょ……」
その声がねぇ……自分の母親の声だったんですって……。
ゾクッとしますよねぇ……。
でも、よく考えたら──
母親は実家の地方にいるはずなんです。
まさか、こんな夜中に東京の部屋に来るわけがない。
それでもねぇ……その声は、何度も何度も……。
「……ねぇ、開けて……寒いの……」
そう繰り返す。
Bさんは怖くなって……
玄関へ近づきながら、つい……こう言ってしまったんです……。
「お母さん……?」
……その瞬間。
「──開いた……」
カチッ……
玄関のドアのロックが、勝手に外れたんですって……あぁ、えぇ……。
Bさんは、慌ててドアを閉めようとしたけど、身体が動かない……。
金縛りのような感覚。
ゆっくりとドアが開いていく中……
“誰かの白い手”が、スッ……と隙間からのびてきたっていうんですよ……。
顔は見えなかったそうです。
でも……聞こえたそうなんですよ、その“母親の声”で。
「やっと呼んでくれたねぇ……Bちゃん……」
その声がねぇ……
笑ってるんですよ……でもね、母親の声で笑っているのに、どこか異常に低くて濁っている……。
Bさんは、そこで気を失ってしまったらしいんですが……
翌朝、目を覚ましたとき、玄関は……完全に閉まっていたそうです。
ただ、ドアの下の隙間にね、何か黒いものが残されていた。
それはねぇ……“女物の髪の毛”が、何本も……束になって……落ちてたっていうんですよ……。
🔚あとがき
この話をBさんがしてくれたのは、それから何年も経ってからでした……。
えぇ……今では実家に戻って、都内には一切足を踏み入れていないそうです。
「もう二度と、あの声には返事をしない」って……
彼女、そう言ってました……。
皆さん……
夜中に、名前を呼ばれても……絶対に返事しちゃいけませんよ……えぇ……。
それ……誰かが“あなたの声を知っている”ってことですからねぇ……。
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これがまた、ちょっとこう……ふふ、“表では言えない”ような……そんな話でして……えぇ。
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