もっともらしい正論
たとえば一般的に、菜食者やベジタリアンは温厚で、肉食は狂暴である、というイメージがなんとなくではあるがある。
これは単にイメージだけではなく、じっさい採食者というのは食をコントロールできているという点で意志が強いという解釈が可能なわけで、一概に嘘とも言えないわけである。
じっさい菜食者というのは概ね、環境問題や動物保護への意識は高い。
しかし、採食が穏やかな性格になるというエビデンスは医学的にも栄養学的にもない。
ひと昔前にキレる子供というのが話題になって、そのとき食育というのがさかんに言われた。食生活の偏り、あるいは栄養バランスの悪さがキレる原因なのでは、と。
食育そのものは別の形で今も生きているが、残念ながらこれもキレるということに関して両者を結びつけるエビデンスはない。
それは何となくというイメージに過ぎない。
野生動物を見た場合、やはり肉食獣は狂暴で、草食動物は穏やか、というイメージから来ているものに過ぎない。
ジュラシックパークに登場する恐竜だって、そういうイメージで描かれている。
近年、全国各地で大暴れしている熊についていえば、
北海道のヒグマは確かに肉食もする雑食性だが、
本州にいるツキノワグマは8~9割が植物性だ。
それでも人を襲う。
野生動物を例に挙げなくても、江戸時代まで日本人はあまり肉を食べていない。主なたんぱく源は大豆と魚である。
それでも武士は腰に刀を差して歩き、戦国あるいは倒幕と殺傷沙汰をずいぶんと起こしてきていて、時代によるとはいえ、とても狂暴なことを歴史上してきている。
私はべつに採食主義を否定しているわけではない。
私もかつて健康に気をつけて、野菜をたくさん摂ってきた。
しかしある年、一年に二回も尿管結石を患い、調べてみると、健康によいとされ、積極的に摂ってきた野菜が原因とわかり、野菜のとくに葉物野菜の摂取を控えるようになった。
だから、肉ばかりか、といえば、それもそうではない。
ビタミンと食物繊維摂取のため野菜も食べる。ただまんべんなく、どちらも摂るようにしているだけだ。
ベジタリアンの人は尿管結石にならないのかしらん?
何事もほどほどがよいと私はおもうのだが…。
ほかにも人類の悩みの種、ハゲがある。
ハゲ治療といえば、よく言われるのが頭皮の清潔さ。
頭皮診断なんてなものもあるくらいだが、この頭皮を清潔にと言われれば、もっともらしく聞こえるが、この理論が正しいのなら、昔の人や途上国の人々はみんなハゲていなければおかしい。しかしじっさいはそうではない。
最近では、女性でも薄毛に悩む人は多い。
むかしの写真などをみると、女性はみんな黒々とした多毛な人ばかりだ。
いまと昔を比べて決定的に違うのは清潔さだ。現代のほうが、昔に比べて圧倒的に頭皮は清潔なはずなのだ。
このように何となく正論と思われているものも、よくよく調べてみれば間違っていることがしばしばあるということである。
それをもっともらしい、という。
もっともらしい話は他にも以下のようなものがある。
血液型と性格の関係
A型は几帳面、B型はマイペース、O型はおおらか、AB型は二重人格——といった分類。科学的根拠はほぼ皆無。
右脳派・左脳派
右脳が感性、左脳が論理という分け方も根拠が薄い。実際の脳機能はもっと複雑で、両半球が連携して働いている。
笑うと免疫力が上がる
一部に免疫指標の変化を報告する研究はあるが、一般に言われるほど強固なエビデンスはない。
健康・栄養に関する俗説
1日3食が健康的
実は「1日3食」が定着したのは近代以降。科学的に3食が最適とは言えない。
朝食を抜くと太る
観察研究ではそう見えることがあるが、因果関係は曖昧。
牛乳を飲むと背が伸びる
カルシウム摂取は大事だが、遺伝や睡眠、全体的な栄養バランスの影響がはるかに大きい。
にんにくや唐辛子で免疫力アップ
一部成分に抗酸化作用はあるが、「病気にかかりにくくなる」というほどの証拠はない。
教育・学習に関する俗説
小さいうちに英語を習わせるとペラペラになる
発音習得の臨界期はあるが、母語力とのバランスや環境次第で効果は大きく変わる。
褒めて伸ばす子育てが絶対に良い
褒め方によっては逆効果(外的動機づけに偏る)になることもある。
勉強中にモーツァルトを聴くと頭が良くなる(モーツァルト効果)
短期的な覚醒・気分改善効果はあるが、知能向上は再現されていない。
動物は地震を予知できる
一部の事例報告はあるが、統計的には確認されていない。
水に言葉をかけると性質が変わる
科学的な再現実験では裏付けなし。
「引き寄せの法則」:強く願えば現実になる
心理的な自己暗示効果はあるかもしれないが、超自然的な法則ではない。
chatGPTに訊いたら、もっといろいろ面白いものがあるとのことで追記しておくと。
🌟 世界のもっともらしい俗説・都市伝説 TOP10
🥇 第1位:「人は脳の10%しか使っていない」(アメリカ発)
SF映画や自己啓発書で定番のフレーズ。
→ 実際には、脳のほとんどの部分が日常的に使われている。
もっともらしさポイント:★★★★★
「10%」という数字が人間の“可能性の余地”を象徴していて、夢がある。
🥈 第2位:「満月の夜は人が狂う」(ヨーロッパ各地)
“ルナティック(lunatic)”の語源も「月(luna)」から。
→ 精神科の統計では満月と犯罪・発作の増加には関連なし。
もっともらしさポイント:★★★★☆
夜が明るくなる=不安・興奮が高まる、という心理的イメージが根強い。
🥉 第3位:「砂糖を食べると子どもがハイテンションになる」(アメリカ・日本)
お菓子=元気!という印象だが、研究では有意な関連なし。
→ 実際は“楽しさ”や“イベント効果”によるもの。
もっともらしさポイント:★★★★☆
体感的には「確かにテンション上がる!」と思ってしまうのが面白い。
第4位:「飛行機の中では携帯を使うと墜落する」
初期の航空機では干渉の可能性があったが、現代機では問題なし。
もっともらしさポイント:★★★☆☆
技術の発展前の“名残”が、安全神話として今も残る。
第5位:「毛を剃ると濃くなる」(世界共通)
世界中で信じられているが、毛の断面が太く見える錯覚。
もっともらしさポイント:★★★★★
体感的にも「濃くなった気がする」ので信じやすい。
第6位:「ピラミッドの中には神秘のエネルギーがある」(エジプトブーム)
昭和期の日本でも「カミソリを研ぐ」「花が枯れない」と話題に。
→ 科学的検証では効果なし。
もっともらしさポイント:★★★★☆
“古代 × 幾何学 × 神秘”の三拍子で魅力満点。
第7位:「人が死ぬ前に人生が走馬灯のように見える」
医学的説明はないが、脳内の急激な電気活動変化説あり。
もっともらしさポイント:★★★★★
生死の境の“物語性”が強く、人類普遍のテーマ。
第8位:「猫は人の病気を吸い取ってくれる」(ロシア・日本など)
猫が具合の悪い人の上に乗ることがある=癒やし効果?
→ 科学的根拠はないが、心理的安定効果は本物かも。
もっともらしさポイント:★★★★☆
“猫=癒やしの守護者”という神話的イメージが美しい。
第9位:「氷を食べるとお腹の脂肪が燃える」(ダイエット系)
“体が冷える=カロリー消費”という理屈は一部正しいが、微々たるもの。
もっともらしさポイント:★★★☆☆
理屈が通っていそうで、つい信じたくなる。
第10位:「金魚は3秒しか記憶を保てない」
実際の金魚は数週間〜数か月の記憶力を持つ。
もっともらしさポイント:★★★★☆
「かわいいけどおバカ」という人間の擬人化イメージの産物。
🧩 番外編
「電気をつけたまま寝ると成長ホルモンが出ない」
「睡眠中にクモを8匹食べる」
「コーラに歯を入れると溶ける」
どれも半分本当・半分ウワサの絶妙ライン。
さらに日本版
日本のもっともらしい俗説・通説TOP10 🌸
🥇 第1位:「冷たいものを食べるとお腹を壊す」
夏になると特に注意される。
→ 実際には急激な温度変化や量の問題で、お腹を壊すことはあるが、冷たいもの自体が悪いわけではない。
もっともらしさポイント:★★★★★
子どもから大人まで共通で信じられていて、生活習慣の一部になっている。
🥈 第2位:「正座は礼儀・美しい姿勢」
学校や冠婚葬祭で重視される。
→ 健康には注意が必要(膝や足のしびれ)。
もっともらしさポイント:★★★★☆
文化的権威が強く、姿勢=性格の善し悪しと結びつけられる。
🥉 第3位:「夜に月を見ながらご飯を食べると虫歯になる」
特に田舎の昔話でよく聞く。
→ 根拠なし。
もっともらしさポイント:★★★☆☆
子どもを叱る便利な“理屈”として普及。
第4位:「霊柩車を見たら親指を隠す」
不吉を避けるため。
→ 科学的根拠はなし。
もっともらしさポイント:★★★★☆
「目に見えないものを怖れる文化」が背景にある。
第5位:「寒いと風邪をひく」
実際にはウイルス感染が原因。
もっともらしさポイント:★★★★★
寒さ=病気という経験則から自然に信じられる。
第6位:「梅雨時にクモが低い所を飛ぶと雨が降る」
天気予報の昔の目安。
→ 実際には湿度変化でクモの行動が変わる説もあるが、因果関係は不明。
もっともらしさポイント:★★★☆☆
自然観察と生活知識がミックスした民間知識。
第7位:「神社で鈴を鳴らすと運気が上がる」
実際の効果は心理的満足程度。
もっともらしさポイント:★★★★☆
儀式としての説得力が強く、文化的信憑性抜群。
第8位:「食べ過ぎると親知らずが生える」
食生活と歯の発育の因果関係はない。
もっともらしさポイント:★★★☆☆
大人が子どもを戒めるための伝承。
第9位:「お腹に赤ちゃんがいると顔色が悪くなる」
栄養不足やホルモン変化が関係する場合もあるが、全てではない。
もっともらしさポイント:★★★☆☆
昔からの妊婦観察と経験則が混ざった表現。
第10位:「七五三に晴れ着を着せると子どもが健康に育つ」
祝い儀式として定着。
→ 科学的根拠はなし。
もっともらしさポイント:★★★★☆
文化・祈願・心理効果が一体化した典型例。
だそうです。
この世は不条理に満ちていて、
人類はその不条理に対して物語をつくって対処してきた。
正論かならずしも正解を導かず。
それはひょっとするともっともらしいだけかもしれない。
