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天使の苦言

「あれはいったい何なのかね。みんな回ってるだけで!」
と呆れたようにいうのは、大・大ダンサー、ほとんど神様のミゲル・アンヘル・ソット(Miguel Ángel Zotto)。

彼は、1980年代のタンゴリバイバル初期、モダンダンスなど様々なダンスもプロフェッショナルに踊れる新世代タンゴ・パフォーマーの筆頭として世界に躍りだし、当時のダンスパートナー Milena Plebs とともに Tango x 2 Company を設立、ダンサーとして舞台に立つだけでなく、振り付けや演出もし、また様々なタンゴイベントのプロデュースなどにもアルゼンチン内外でかかわって、後続のタンゴ・パフォーマーが世界で働ける流れをつくってきました。その長年にわたる功績をたたえて、今年2025年の TangoBA では大々的なセレモニーがあったけれど、そんなキャリアの長さを感じさせない、今もバリバリの現役パフォーマー。

いわば、その一挙手一投足が注目されるアルゼンチンタンゴ界の大スター様ですが、おやおや、最近のブエノスアイレスのダンスシーンについては遺憾に思うところがおありのようすですね。

「……音楽がそれを求めてるとき、そんときゃ回りますよ。でもそうでもないのにグルグル、グールグルって、そんなのは踊り以前の問題。まずちゃんと歩かなきゃ!」

このショート動画はブエノスアイレスのラジオ局 La 2x4 / FM 92.7 のインタビューの一部ですが、ある筋によると、御大は TangoBA 滞在中も(彼は現在イタリアのミラノ在住)いろんな人に、ブエノスアイレスのタンゴ文化のコアであるミロンガダンスパーティでのダンスの質の劣化を嘆いて(憤慨して)おられたそうです。そりゃあ、あなたのような人から見たら、どいつもこいつも、なんでしょうけれど😅。

でも、ミゲル大天使Angel様、ワタシのような塵あくたが大変おこがましいですが、クルクル頻発はブエノスアイレスだけのことじゃないような気がします。最近みたいくつかのヨーロッパのミロンガでも、ロンダはあまり動かずみんな同じ場所でクルクル。どこでもヒーロ回転を習うから? リーダーが格好よく回るラピスやエンロスケをやりたい人が多いから? モリネッテで動く方向を思うようにコントロールするのが難しいから? 他にもいろんな原因が考えられますが、このクルクル頻発は、ひょっとしたら世界的現象なのかしらん?🤔

タンゴが世界中で踊られるようになって、また、インターネットで様々な情報が瞬時に共有されるようになって、ブエノスアイレスとその他の地域のタンゴ情報格差は縮まりました。結果、明らかに誤解に基づくダンスは少なくなった一方、踊り方の均一化が進み、タンゴの醍醐味であるタンゲーロごとに違うダンスの味わいなどは薄くなった、という話もよく聞きます。

難しいところですよね、天使アンヘルさま。40年前にあなたが予言したようにタンゴは世界中に広がって根付きました。でもその結果、世界のタンゲーロスの踊り方や好み(それに全体的な練習不足感)がアルゼンチンのタンゴに影響するのも避けられなくなったわけじゃないですか……。

これはタンゴの危機なのか、それとも某タンゲーロが予言したように「タンゴが世界を受け入れる過程でのフラット化」が進んでいるだけなのか、私のようなものにはわかりません。せいぜい、フォロワーが気分悪くならないように回り過ぎには気をつけて、とリーダーの皆さんにお願いするくらいしかできそうにないですねぇ。(リニアな動きで飛ぶような、大天使と女神様Dianaのダンスはコチラ💕)

©Rico Unno 2025, CC BY-ND


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