闘いに思いをはせて
今年2025年もタンゴワールドカップ(Mundial de Tango、通称、ムンディアル)が熱い。世界各地で進行中の地域予選も終盤になり、8月ブエノスアイレスでの本選に向けて、ダンサーもサポーターも野次馬もだんだん盛り上がってきましたね~。
(タイトル写真 from TangoBA )
ムンディアルと、同時進行のタンゴフェスティバルの両方をオーガナイズする TangoBA のホームページによりますと、2025年は日本も含め25の国・地域の競技会とブエノスアイレス市選手権(Campeonato de Baile de la Ciudad)が公式の地域予選となっています。例えばインドネシアのバリでは……。
おお~、みんな真剣✨
公式予選と認定されるには、部門ごとに最低参加ペア数を満たしていることなど、いろいろ条件があります。地域予選で上位入賞したペアは8月ブエノスアイレスの本選に準決勝もしくは決勝ラウンドからエントリーすることができます。
地域予選とは別に、ブエノスアイレス現地で予選から踊り抜く、いう参加方法もあって、プロだけでなくアマチュアも含めた多くの参加者が集まり、真冬のブエノスアイレスを熱くします。
ムンディアルでは大きく2部門、ステージ・タンゴ部門とダンスホールで踊られるタンゴの形式を踏襲するタンゴ・デ・ピスタ部門で栄冠が争われます(競技会の部門分け、ダンススタイルの違いに関してはコチラ)。
昨年2024年は、Sebastián Martinez と Ayelén Morando が鋭いコルテが印象的な『El Marne』を踊ってステージ・タンゴ部門を制しました。
『El Marne』は、早世した天才作曲家エドゥアルド・アローラス (Eduardo Arolas) の有名インストゥルメンタル・タンゴ。第一次世界大戦中に作曲され、曲名はフランスのマルヌ河畔でのフランス・イギリス連合軍とドイツ帝国軍の戦いにちなんでいるとか。当時、フランス、特にパリは裕福なアルゼンチン人の子弟の遊学先として人気があって、1914年の大戦勃発後も帰国せずフランス軍に加わった人もいたとか。アルゼンチン本国でも、ドイツ軍の侵攻をとめるべくマルヌ川沿いに防衛線をはったフランス軍の様子は詳細に報道されていたようです。
さておき、『El Marne』、多くの有名楽団が録音を残していますが、去年のチャンピオン・ペアが使ったのは、かの大ヒットタンゴショー、 Forever Tango のバージョン。暗雲が立ち込めるような第一・第二主題部と、雲間からさす光のような第三主題部の対比がドラマチックなバージョンです。
同じ音楽の次のビデオは Diogo de Carvalho & Laia Barrera の El Beso でのデモで、重なるように立つ二人が別れ、光と闇のような緊張関係を保ちながらダンスが展開します、様々なロー・リフト、オーバーヘッド・ボレオ、大きなセンターダにプラネオと華やかな技がちりばめられているけれど、無理なくクリーンな振付がエレガントで El Beso のお客も盛り上がってる~。
こちらも同じ音楽ですが荒れ狂う嵐のようなエネルギーの感じられる Yanina Quiñones と Neri Piliúの スーパーチャージ・バージョン。いつもながらこのペアはホントに音楽の隅々までうまく使って踊っていて感心。
他方コチラは、あまりかたまってないところがかえって初々しい魅力の Chuchi Pinello & Federico Cachero のダンス。
そして最後はちょっと意表をついてパイプオルガンバージョン。もともとバンドネオンは教会のパイプオルガンの代替楽器として発明されたんだし~、ということでオルガニストたちは結構いろんなタンゴ弾いてるんです。
フーム、オルガンで聴くと平和と希望が色合いがより強く感じられるような……。なんたって、平和あってのタンゴですしね。あちこちの戦争が一日も早く終わることを、そしてムンディアルのつつがない進行と世界から参加されるダンサーの皆さんのご健闘をタンゴの神様にお祈りしております🌹
©Rico Unno, 2025-2026, CC BY-ND
