ワルツ? いいえ、バルス!
ズンチャッチャ、とくればワルツ。スペイン語ではバルス(vals)。でもアルゼンチンタンゴでバルス、といったら、シュトラウス父子とかじゃなくて、タンゴ楽団の演奏するバルス・クリオージョ!
(タイトルイメージ from Deezer)
ウィンナワルツより軽く早く、ラタタ、ラタタ、流れるというよりは飛ぶような……
……遠く、遠く去ってしまった幼い日の光景、それは天国のひとかけら……うきゃ~ん、フィオレンティーノ、涙出そう~🥹💕
タンゴのダンスパーティでかかる曲は大まかにいって3種類、タンゴ、ミロンガとバルスです。同じタイプの曲が3-4曲がひとまとまりでかかってそれをタンダというのですが、タンゴは1タンダ4曲、ミロンガとバルスは1タンダ3曲のことが多いです。さらに、タンダは、タンゴ、タンゴ、ミロンガ、タンゴ、タンゴ、バルス、のように規則的に並べられていることが多く、次に何がかかるのか見当がつくようになっています。もちろん、TDJによってはサプライズ・タンダを用意したり、全タンダ4曲でいく人もいるので、決まり、というわけではありませんが、こういうクラッシックな構成だと、次のタンダはミロンガだろうから誰ちゃんを誘おうとか、パスして休憩しようとか、予定がたてられて便利。
タンゴ音楽の歴史からいうと、バルスはタンゴとミロンガに少し遅れてダンスホール(この場所のことも「ミロンガ」というのでややこしいですが)に定着したそうです。今ではこの3種以外の音楽はほとんどかかりませんが、昔は、フォックストロットやポルカなどもかかったそう。
ダンスフロアの定番なので、アルゼンチンタンゴの競技会ではバルスはミロンガと共にタンゴ・デ・ピスタ部門の種目として扱われ、種目別で順位が競われることもあります(競技会についてはコチラの記事を)。
飛ぶようにバルスを
「バルスはね、こう、スイスイ~っと、飛ぶようじゃないとね」
といったのはバルスの名手として知られた "Tete" こと Pedro Rusconi。彼は2010年に亡くなるまで、世界中のタンゲーロスに大きな影響を与えつづけた大マエストロの一人です。
そのインパクトはタンゴ界にとどまらす、かのモダンダンスの巨匠、ピナ・バウシュが彼のために作品『Nur Du (あなただけ)』を作ったほど。
そんな大ダンサーだったテテですが、性格は気さくで洒脱、生粋のポルテーニョで尊大ぶったことは大嫌い。タンゴはまず音楽から、そしてなにより楽しんで踊らねばと、わざと眉間にしわを寄せた「タンゴ顔」をしてみせて、
「こんな、まずいもんでも食ったような顔で踊ってちゃあ(タンゴの)戯れ絵だぁ」
アハハ、ホントですね。さすがはピスタを飛ぶように踊り抜けた伝説のミロンゲーロ。やっぱり遊びは粋が命ですよね~🌹 トロイロ、デ・アンジェリス、ディ・サルリ、タントゥーリ……さて、今宵のワルツタンダはどれがかかるでしょうねえ?
©2025, Rico Unno, CC BY-ND
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