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『共病ダイアリー』試し読み 「はじめに」──全文公開 【文学フリマ東京40】

【最新更新日:2026年5月5日】

こんばんは。のしりこです。2025年5月11日(日)に東京ビッグサイトで開催された文学フリマ東京40にて、『共病ダイアリー』を販売しました。

今回は、『共病ダイアリー』の冒頭に収録した「はじめに」を、試し読みとして全文公開します。ぜひ、試し読みから、『共病ダイアリー』の物語に触れてみてください。

▼『共病ダイアリー』は紙版・電子版で好評発売中!

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【試し読み】 冒頭の「はじめに」全文公開!



【試し読みはじまり】


「闘病記か。なぜ、病気って闘わないといけないのだろう。」

二〇二二年八月。夏の終わりのある日。SNSでたまたま見かけた闘病記という文字に、そんなことをぼんやりと思いながらも、私はいつものようにエッセイを書き始めた。季節の変わり目で、いつもよりも症状が強い。発熱したかのように頭が妙にぼーっとして、文章が思うように書けない。言葉がまとまらず、指が止まる。

私は毎年、この時期になると、いつも調子が崩れる。私の病気は二つある。ひとつめは、全身の激痛などの症状がある線維筋痛症。もうひとつは、極度の疲労感や頭が霧がかかったようになるブレインフォグなどの症状がある慢性疲労症候群(筋痛性脳脊髄炎)。私はそれらの病気のせいで、ほとんど寝たきり生活だ。とくに、季節の変わり目はいつもより症状がひどくなる。

この日は、noteというウェブサービスで公開する予定のエッセイを書いていた。だが、脳が上手く働いてくれない。気分転換に、ツイッターに投稿しようとしたが、文章を書くのに一時間かかった。このまま、書けなくなってしまったらどうしよう。なんとかして書き続けられるようにしなくては。
そんなとき、ふと思いついた。ツイッターに投稿したものを日記にしてみよう、と。そこで、ツイッターに投稿していた短い文章やお家で暮らす猫のことなどを編集し、noteに載せた。名前はつぶやき日記。

当時の私は、初回のつぶやき日記の記事でこのように書いていた。「私は生きる証拠をインターネット上に残したい。ここに私がいるよ、生きているよ、と。」

書き始めた当初は、こんなに続くと思っていなかった。二年半後の二〇二五年、現在。noteでのつぶやき日記の記事の数は三十一となり、私はこの日記をもとに本を作ることにした。この日記がなければ、私は書き手としてやめていたかもしれない。この二年半、何度も書くのをやめようと思った。病状の悪化により、どうすればいいのかわからなくて、何度も泣いたこともある。だが、それでも書き続けられたのは、「ここで終わらせたくない」という強い想いがあったからだ。

この二年半の日記は、書き手として諦めずに言葉を書き続けた記録だ。そして、病気と共に生きながら、自分の人生を生きてきた日記でもある。けれども、これも闘病記なのだろうか。いや、私はこの日記を闘病記とは呼びたくない。病気と闘うなんて、思っていないからだ。もっと別の言葉で表現したい。闘病記ではなく、病気と共に生きる物語。私はこれを「共病記(きょうびょうき)」と名付けることにした。


共病記という言葉について

共病記とは、病気と共に生きることについて書いたものだ。患者として一〇〇パーセント受け入れるのではなく、役割を固定せず、病気を抱えながらも自分の人生を主体的に生きる物語。

病気の当事者が病気について書くと、それはたいてい闘病記と呼ばれてしまう。けれど、私は病気と闘う気はない。だから、私はこれまで、病気と闘わず、病気と共に生きることについて、エッセイで書いてきた。だが、それを表す言葉が、存在しない。いくら調べてみても、それらしい言葉は見つからないのだ。病気との共生や共存という概念は広まっていても、闘病記に並ぶ言葉がない。ならば、私が名付けるしかない。そこで、私は共病記という言葉を使うことにした。自分の書いたものを説明するのには、共病記がもっともしっくりとくる言葉だったからだ。

線維筋痛症と慢性疲労症候群(筋痛性脳脊髄炎)について

さて、ここで私の病気を説明しよう。先ほども少し触れたが、私は線維筋痛症と慢性疲労症候群(筋痛性脳脊髄炎)という二つの病気を抱えている。
まずは、線維筋痛症から。公益財団法人日本リウマチ財団 リウマチ情報センターの説明によると、こう書かれている。

線維筋痛症とは、三ヶ月以上の長期にわたって、身体のあちこちの広い範囲に痛みが持続したり、再発したりします。痛み以外に、身体の強いこわばりとともに、激しい疲労感、不眠、頭痛やうつ気分、物忘れなど多彩な症状を伴います(☆1)。 

☆1:公益財団法人日本リウマチ財団 リウマチ情報センター、「線維筋痛症|リウマチに関連する病気 | 公益財団法人日本リウマチ財団 リウマチ情報センター 一般・患者様向け情報」、二〇二二年八月、URL=https://www.rheuma-net.or.jp/rheuma/illness/fm/ 

では、慢性疲労症候群(筋痛性脳脊髄炎)はどうだろうか。MSDマニュアル家庭版の説明によると、こう書かれている。

慢性疲労症候群とは、筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)とも呼ばれ、身体診察や臨床検査で客観的な異常が認められない状況で日常生活を送れないほどの重度の疲労感が長期間続く状態をいい、その原因は、身体的なもの、精神的なものを含め分かっていません(☆2)。

☆2:MSDマニュアル、慢性疲労症候群  26. その他の話題  MSDマニュアル家庭版、二〇二三年七月、URL=https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/26

私の場合、主に極度の疲労感、全身のあらゆる箇所に激痛がつねに症状としてある。他には、頭痛、めまい、立ちくらみ、吐き気、音・光・匂いなどの感覚過敏、筋肉痛、関節痛、認知機能障害(ブレインフォグ)などがある。

とはいえ、私の症状を羅列しても、いまいち想像しにくいと思う。なので、もう少しわかりやすく説明してみよう。たとえば、インフルエンザで高熱を出したときを想像してほしい。そのときは、とにかく身体が怠くて、横になっていないとつらい。でも、トイレに行こうと思えば、なんとか歩ける。しかし、歩くとフラフラして、ずっと立っているのはキツい。私の症状には、高熱や咳などはないものの、身体の感覚的には、インフルエンザで高熱を出したときにすごく似ている。そこに加えて、全身にわたる激痛がつねにある。それが、いまの私の状況なのだ。

そのため、外出先では身体の角度を下げられる特殊な車いすに乗り、家ではほとんど寝たきり生活で暮らしている。寝ていないとつらいからだ。ただし、一般的によくイメージされている寝たきり生活と違い、歩くことが全くできない訳ではない。だから、私は「ほとんど寝たきり」と、表すようにしている。

いままで説明してきた線維筋痛症と慢性疲労症候群(筋痛性脳脊髄炎)は、症状が似ており、共に原因不明だ。また、二つとも、これといった治療法がない。そして、相互に併発することが多く、私も併発している。これらの病気は初期のころに見つかっていれば、良くなる可能性が高い。しかし、私が診断された頃には、初期の症状からすでに二十年以上も経っていた。今後、良くなることはあっても微々たるもので、劇的に良くなることはない。おそらく、これらの病気の研究が進み、根本的に治す方法が見つからない限り、人生の最期までこの病気と付き合うことになる。

ここまで、病気のことを詳しく説明したが、要するに、「病気でつねに全身の激痛と極度の疲労感などの症状があって、ほとんど寝たきり生活」なのが、インフルエンザで高熱出たときみたいな感じなのかなと思えば、大丈夫だ。

さあ、これから、二年半の『共病ダイアリー』という物語をゆっくり語っていこうではないか。


【試し読み終わり】





『共病ダイアリー』目次

本の目次は以下の通りです。

はじめに

第一章 共病ダイアリー:二〇二二年八月〜二〇二五年二月の日記
二〇二二年八月~十二月の日記
二〇二三年一月~十二月の日記
二〇二四年一月~十二月の日記
二〇二五年一月~二月の日記

第二章 共病ダイアリー、その後:エッセイ編
あの日から日記を書き続けて
病気と共に生きるための共病記

あとがき
参考文献


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電子版はこちら






『共病ダイアリー』の詳細について

「これは、闘病記じゃない。共病記(きょうびょうき)だ。」
病気と闘うのではなく、病気と共に生きることを書いた物語、記録──私はそれを共病記と名付けた。

『共病ダイアリー』は、線維筋痛症と慢性疲労症候群(筋痛性脳脊髄炎)という2つの病気と共に生きる私が、ほとんど寝たきりの生活の中で書き続けた、二年半の日記とエッセイをまとめた一冊。

noteで連載している「つぶやき日記」をもとに、2022年8月〜2025年2月までのテキストを大幅に編集し、日記本として読みやすく書き直しました。


タイトル:共病ダイアリー
仕様:B6 / 112ページ
発売日:2025年5月11日
紙版 初回版特典:購入者限定おまけカード(名刺サイズ)つき


そして、紙版の日記本文の下には、現在の私からのコメントも添えています。

後半の書き下ろしのエッセイでは、闘病記の歴史や健康主義などに触れながら、共病記について考察したエッセイを収録しています。

表紙イラストは妹、デザインは私が担当しました。少女漫画っぽい雰囲気のある表紙と裏表紙になっています。



紙版『恋愛だけがすべてじゃない』は、通販(BOOTH)で販売中です!

『共病ダイアリー』紙版の初回版のみの特典

初回版は、購入者限定おまけカードと文学フリマ東京40の会場で無料配布として配ったものがついてきます!

・本『共病ダイアリー』
・初回版特典:購入者限定おまけカード(名刺サイズ)つき
・『のしりこだより 文学フリマ東京40特別号』(無料配布)
・のしりこ文学フリマ東京40 新作名刺(無料配布)

以上、合計4点が、通販での『共病ダイアリー』初回版です。 数に限りがありますのでお早めに!

某少女漫画に出てくるようなカードにしてみました。少し印刷がずれていますが、多めに見ていただけると助かります。それ以外はとてもいい感じに仕上がりました。

初回版の購入者限定おまけカードはこんな感じです。

紙版はricrck工房オンラインストア(BOOTH)で発売中です。
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電子版『共病ダイアリー』は、Amazon Kindleで配信中です!

『共病ダイアリー』紙版と電子(Amazon Kindle)版での変更点

『共病ダイアリー』Kindle版では、紙書籍版から誤字脱字を修正し、レイアウトとデザインも電子書籍向けに調整しました。

紙書籍では、日記ページ下部に置いていた「のしりこからのコメント」を「脚注:現在の私による日記へのコメント」とし、脚注として出てくるように変更しました。そのため、Kindle版の目次に脚注を追加しました。

『共病ダイアリー』電子版目次

はじめに

第一章 共病ダイアリー:二〇二二年八月〜二〇二五年二月の日記
二〇二二年八月~十二月の日記
二〇二三年一月~十二月の日記
二〇二四年一月~十二月の日記
二〇二五年一月~二月の日記
脚注:現在の私による日記へのコメント

第二章 共病ダイアリー、その後:エッセイ編
あの日から日記を書き続けて
病気と共に生きるための共病記

あとがき
参考文献

電子書籍は、Amazon Kindleストアにて販売中。紙の書籍よりも、気軽に購入しやすい価格にしましたので、ぜひ、チェックしてみてください。

▶︎『共病ダイアリー』電子版はこちら







以下は、終了した文学フリマ東京40の販売情報です。 



文学フリマ東京40での販売情報

日時:2025年5月11日(日)12:00〜17:00
会場:東京ビッグサイト 南1-4ホール
入場料:1000円

ブース番号:【と-03】(南3・4ホール)
サークル名:ricrck工房
のしりこ在席時間:14:00〜16:00(予定)

・持病の線維筋痛症などがあり、イベントの最初から最後まで在席することが難しい状況のため、当日は在席時間を決めて行います。
・それ以外の時間帯は、私をサポートしてくれるお手伝いの方が売り子となり、ブースで本の販売をします。
・当日の状況次第で、在席時間が多少変わる可能性もあります。その際は、のしりこのTwitter(X)に投稿しますので、よろしくお願いします。

のしりこのTwitter(X)はこちら

当日、ブースで販売予定のもの:
・新刊『共病ダイアリー』
・既刊『なんだか痛くて仕方がない』

当日の無料配布:
・『のしりこだより 文学フリマ東京40特別号』
・のしりこ新作名刺 など

ギリギリになりましたが、文学フリマ東京40に向けて作ったのしりこの新たな名刺が完成しました。のしりこの名刺は無料配布として、ブースに置く予定です。今回は、お家で一緒に暮らす猫様が魔法使いになった名刺デザインとなっています。

もし、ブースに置いていなかったら、のしりこに声をかけてみてください。直接、お渡しします。

以下の記事には、文学フリマ東京40の全て情報をまとめております。その他、販売物に関しては、詳しくはこちらの記事をご覧ください。



本の取り置きができます(取り置きフォーム)

確実に手に入れたいひとのために、文学フリマ東京40当日専用の取り置きフォームをご用意しました。
当日、ricrck工房のブースにて、取り置きの際にご入力いただいたお名前をお伝えいただければ、お渡しします。

受付締切:文学フリマ前日の5月10日(土)23:59まで
※当日の15:50までにブースへ来られなかった場合は、自動的にキャンセル扱いとなります。

当日、体調などの理由で行けそうにない場合は、当日キャンセルでも大丈夫です。(もしキャンセルの可能性がある方は、備考欄に一言書いてくださると助かりますが、書かなくても平気です。)

取り置きフォーム、ぜひ利用してみてください!


本の通販について

文学フリマ東京40が終わった数日後に、ricrck工房オンラインストア BOOTHにて新刊『共病ダイアリー』初回版(特典のおまけカードとのしりこだよりと名刺付き)を販売する予定です。

ricrck工房オンラインストア BOOTHはこちら

ただし、会場の売れ行き次第で、通販の販売開始が遅くなる可能性があります。その際はTwitter(X)などでお知らせしますので、よろしくお願いします。

また、『なんだか痛くて仕方がない』通販も、文学フリマ東京40での様子を見つつ、いつになるかは未定ですが、本のみの通常版の販売をする予定です。こちらも、後日お知らせします。

なお、以下の記事に文学フリマ東京40の全て情報をまとめております。






以下は、『共病ダイアリー』や文学フリマの出店について想いなどを語ったエッセイです。よければ、ぜひ!




【エッセイ】『共病ダイアリー』ができるまで───あとがきのようなもの

公開日:2025/05/06


今回、のしりことして初出店することになった。まさか、病気と共に生きながら、こうして自分のブースを出してイベントに参加できる日が来るとは、正直、思ってもいなかった。これまで、本の紹介などで書いたが、私には、線維筋痛症と慢性疲労症候群(筋痛性脳脊髄炎)という持病があり、ほとんど寝たきりなのだ。

前回、去年の12月1日に行われた文学フリマ東京39では、初めてのしりことして本『なんだか痛くて仕方がない』を作り、委託先のブースで販売した。そのときに少しの時間だけ、私は売り子をした。これまでに、6年間ほどインターネット上でのみ活動してきた私にとって、自分の本を直接販売するという体験はとても嬉しく、書き手として大変良い刺激となり、心に残る出来事だった。だからこそ、「これからも本作りを続けて、自分で出店したい!」と強く思ったのだ。

とはいえ、この病気と共に生きながら活動を続けていくためには、継続可能なやり方を模索する必要がある。どうしたら、いいのだろう。私のことを助けてくれるひとは確保できたとしても、病気がある状態での本作りによる身体への負担、制作・準備のスケジュールなどは、その季節や温度でまた変わるため、前回と同じようにやれるとは限らない。でも、結局のところ、どんなに考えてもやってみないとわからない。
そうして色々と考えた結果、「とりあえず、やってみよう。」と思い、文学フリマ東京40で出店することになった。

本の制作を始めたのは、前回の文学フリマ東京39を終えて少し経った真冬のころ。5月の文学フリマから逆算して、冬から本の制作をしたほうがいいとなった。だが、私の病気は、冬が一年の中で最も症状が強く出る季節。だから、ある程度は厳しくなると覚悟していたものの、想像以上に、それは過酷な道のりだった。まず、とにかく、体調を崩して原稿を書くのをやめて休む日が多かった。そのため、なかなか思う通りに原稿が進まなかった。そこに付け加えるかのように、パソコンの不調や既刊本の問題など、いくつもの壁が現れた。
しかし、それでも、私は諦めずになんとか壁を乗り越えて書き続けた。そうして、完成したのが、今回の新刊『共病ダイアリー』だった。

私は以前から、闘病という言葉に違和感があった。
「なぜ、すでに症状でつらいのに、病気と闘わないといけないのだろう。」
そんな疑問から、私は闘うのではなく、病気と共に生きることについて書いた「共病記」という言葉にたどり着いた。この本が誰かの心に響いてくれたら、嬉しい。

私はたとえ、どんな状況であろうと可能な限り、書き続ける。でも、今回は流石にキツかった。次はこの経験を活かしつつ、のしりことして、ricrck工房として、前に進みたい。そして、今後も続けていきたい。

なので、もしよければ、いいねやシェア(拡散)など、さまざまなかたちで応援していただけたら嬉しいです。また、可能であれば、会場や通販でぜひ本を買ってください。とても励みになります。今後も、のしりことして、ricrck工房として、活動を続けていきます。応援よろしくお願いします。

そして、文学フリマ東京40に来られる方は、ぜひ会場でお会いしましょう。ブース番号【と-03】ricrck工房(のしりこ個人サークル)でお待ちしています。

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