見出し画像

なんとなく「キモい」「気持ち悪い」と平気でひとは言うけれど───女子校と同調圧力

※こちらは2022年に書かれた記事です。


なんとなく「キモい」「気持ち悪い」などと簡単にひとは言うけれど、いくら何でも言い過ぎではないだろうか。

そもそも、誰かが面白そうに語っている何かに対して、簡単に「キモい」と言っていいのだろうか。いや、ダメに決まっている。「あなた、気持ち悪いですよ。」って相手に平気で言うなんて、よくよく考えたらおかしいはずだ。

でも、この場合どうだろう。たとえば、アニメに出てくる美少女を熱く語るひとに対して別のひとが「キモい」という光景。もう散々いろんなところでよくあるネタとして消費され過ぎているので、ある人たちにとっては見慣れた光景になっているのではないだろうか。

だが、これもまたよくよく考えるとおかしいなことだ。ひとに向けて「あなた、気持ち悪いです。」と言っている光景をネタとして消費されるほど、気軽に「キモい。」言っても大丈夫な空気がある。これはいったい何だろうか。私たち人間は「キモい」という言葉に慣れすぎているのではないだろうか。


「キモい」について考える

そうして、私は「キモい」について考えてみることにした。私もついついその場の空気でなんとなく「キモい」と言ってしまっている。なんとなく相手に対して「キモい」と言うことがたまに起きる。

でもなぜ、私はなんとなく「キモい」とつい言ってしまうのだろうか。いつ、そんな癖を身に付けたのだろうか。そうしてモヤモヤしながら考え続けたら、ある答えにたどり着いた。

私が「キモい」とつい言ってしまう理由。それはきっとおそらく、女子校に通っていた頃の私が女社会で生き残るために身に付けた悪い癖が原因だろう。女子校時代の私は、さほど「キモい」と思っていなくても、その場で周りと同じように「キモい」と言わなきゃ女社会で生き残れないと感じた。女として生き抜くために必要な手段。それが、なんとなく「キモい」と同調することだった。しかしながら、時が過ぎても未だに私の脳内で女社会で生き抜くための汚い手段だけが残ってしまい、なんとなく周りに求められている気がしたら、とりあえず「キモい」と言っておく癖が身についてしまった。


女の世界で生き残るために

むかし、女性として生きていく際にある程度の年齢に達すると、趣味で美少女アニメや女性アイドルが好きだったりするのが高確率で変わり者扱いされる時代があった。いまは女性アイドルなど女性が好きな女性、俗に言う「推しが女性で自分自身も女性」の人口があまりにも増えたため、それだけで変わり者扱いされる時代が想像しにくいかもしれない。だが、私が女子校で学生だった頃はそういう時代だったのだ。

また、私は生まれつき声が高いせいか、ぶりっ子認定されやすい存在だった。いちど、女子からぶりっ子認定されるといつの間にか嫌われたり馬鹿にされたり腫れ物扱いされやすく、色々と面倒なこととなる。実際に何度かぶりっ子だと言われた事があった。

そんな時代でぶりっ子扱いされやすいヤツが女子校で女だらけの世界で生き抜くためには、ぶりっ子認定されないようにして、出来る限り努力して女性達から排除されないように気を付けなきゃいけない。

人間は群れる生き物だ。しかし、同時に群れの中で異なる者を排除する習慣がある。もちろん、それは女の世界にも存在する。


「キモい」と言わなきゃいけない空気

私がいた女の世界には、群れで気持ち悪いと思われているも存在に対して周りと同じように「キモい」と言わないといけない空気があった。少なくとも、私が居た女子校にはそういう空気がどこにも存在していた。本当はあまりキモいと思っていなくても、皆と揃えて同じように言わないと自分が「キモい」の対象にされる空気がそこにはあった。

だから、同じように「キモい」と言うことで、なんとか私も女として生き残ろうとした。最初は「他人にキモいなんて言いたくない!」と反発していた。しかし、同級生たちは「キモいって思うことはないの?」「キモいと思わないなんて、変わっているね。」などと言われ続けた。そして、ついに私も心が折れ、空気の圧力に負けた。見知らぬ相手なら大丈夫かなと妥協して「キモい」と言うようになった。心の中でごめんなさいと思いながら、「キモい」と口にする。すると、同級生たちは安心したかのような表情をして「やっぱり、同じだね!」と笑顔になる。異物だと疑われていた者の疑いが消えた瞬間、再び同じ仲間として受け入れられる。お互いに同じ空気に惑わされている者として。

しかし、そのようなことが何度も繰り返すようになると慣れてしまい、「キモい」という言葉が自動的に出てくるようになる。見知らぬ相手になら「キモい」と言ってもおそらく大丈夫だろうと、心の中で何度も言い訳しながら。

どうやら、この世界で女として生き抜くためには「キモい」と言わなきゃいけないみたいだ。そう必死に思い込んで、見知らぬ相手に対して同じように「キモい」と言うようになっていく。こうして、ひとは群れのルールに従い、空気を読んで行動するようになってしまう。

だがしかし、「キモい」という言葉は、簡単に言っていいものではない。見知らぬ相手でも「キモい」と言われたら傷つく。見知らぬ相手にならいいなんて言われた相手からしてみたら、それは単なる言い訳にすぎないのだ。



「キモい」から解放されるために

時は経ち、私はぶりっ子認定されようが何だろうがもうどうでもいいと考えるようになった。その際に、自分が女子校時代で身につけてしまった同調圧力的な「キモい」という癖に蓋をした。

そうして私は、同調圧力的な「キモい」からやっと抜け出せたと勝手に思い込んでいた。だが、今もたまに、なんとなく癖で「キモい」と言ってしまうことに気づく。こうして改めて「キモい」について考えることで、やはり未だに心のどこかで女として生き抜く醜い自分自身がいたことを知る。


きっと心のどこかで、未だに生き抜くための同調圧力的な「キモい」という癖が悪い方向で働き、自然と相手に対して「キモい」って簡単に言ってしまうのではないか。それに気づいた瞬間、加害的で卑怯な自分自身に気づく。そんな自分が嫌で仕方がないけど、醜い自分自身がいる現実を受け入れるしかない。そして、生き抜くための「キモい」をやめなくてはならないと反省しなければならないと強く思った。

でもまた、長年染み込んだ癖のせいで「キモい」と言ってしまうだろう。だけど、やめなくてはいけない。女性のなかで変わり者やぶりっ子扱いされやすい要素を持っていた私が「キモい」という言葉に鈍感になってはいけない。そして、それをなんとなく自然に言ってしまうような空気について違和感を持たなくてはならない。


もう卑怯な手段を使いたくない。だからこそ、「キモい」から卒業する。本当に女性から解放されるためにも、私は「キモい」という悪い癖を捨てて明日へ向かう。




===以下、お知らせ===

▷▷公式LINEの通知を使ってnote記事などの更新のお知らせを受け取れます。友だち追加はこちら

▷のしりこ 公式サイト
https://ricrck.com

▷Twitter(X)
https://twitter.com/ricrck

▷これまでの著作一覧など(のしりこのSNSなどのリンクまとめサイト)
https://lit.link/ricrckricrck





いいなと思ったら応援しよう!

のしりこ 【チップ(サポート)募集中!】 普段は難病のせいで全く働けず、殆ど寝たきり状態のなかで活動しております。もしよかったら、チップしてくださると心がウキウキでキュンキュンです。SNSなどでチップをいただいたことは触れますが、名前などは出しません。よろしくお願いします!