来年の漢字は「磨」|くる年、わたしは静かに研ぐ
来年のわたしは、きっと今より上手に書きたい。
でも、派手に変わりたいわけじゃない。
ただ、言葉の輪郭を、もう少しだけ澄ませたい。
今年は「灯」だった。
暗い夜に、消えない火を守るだけで精一杯な日もあった。
それでも灯ったのは、書くことが「わたしの帰る場所」だったから。
だからこそ、くる年は「磨」。
燃え上がるより、整える。
増やすより、研ぐ。
“がんばる”じゃなくて、“手入れする”に近い言葉を選びたかった。
磨くって、たぶん静かな行為だ。
一気にきらきらさせる魔法じゃなくて、
今日の曇りを、今日の分だけぬぐうこと。
たとえば、文章。
書いたまま出すんじゃなくて、いったん置いて、読み返して、余分な言葉を削る。
「これ、ほんとうに必要?」と問い直す。
それだけで、伝えたい核が見えてくることを、今年何度も知った。
たとえば、読書。
ただ積むんじゃなくて、ちゃんと味わう。
一冊の中で心が動いた場所に、しおりを挟んでおく。
「わたしは今、どこで立ち止まった?」と自分に聞く。
司書としての目も、書き手としての手も、きっとそこで育つ。
たとえば、暮らし。
時間は増えない。だから磨くのは、時間そのものじゃなくて、使い方。
娘が眠ったあと、ほんの十分でも机に戻れるように、先に道具を整えておく。
やることを減らす。迷う回数を減らす。
その小さな工夫が、続ける力になるのだと思う。
そして、いちばん磨きたいのは、わたしの「やさしさ」かもしれない。
できない日に自分を責めないこと。
誰かの言葉を急いで裁かないこと。
焦りで大切なものを曇らせないこと。
磨く、という字には、きっと“光るため”だけじゃなく、
“曇りを落とす”という意味もある。
来年のわたしは、上へ上へと伸びるよりも、
曇りをぬぐって、ちゃんと見えるようにしていきたい。
灯した火を、手入れして、育てていく一年へ。
くる年、わたしの漢字は「磨」。
喜木 拝
凛花さんの素敵な企画に参加させていただきます。
ギリギリですが両方書けて嬉しいです💖
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