迷いを活かす意思決定⑦|「迷い」と「対話」のプロセスが、組織の意思決定の質を左右する
こんにちは、野村里奈です。
ここまで、個人の意思決定について見てきました。
では、組織での意思決定はどのように考えることができるでしょうか。
組織では、多くの場合、個人よりも複雑な条件のもとで判断が行われます。
関係者も多く、影響範囲も広くなるため、より慎重さが求められる場面も少なくありません。
組織は「正解」を求めやすい
組織では、判断に対して説明責任が伴います。
そのため、「正しい判断であること」を示そうとする傾向が強くなることがあります。
その結果、
・できるだけ多くの情報を集める。
・できるだけ合理的に説明できる選択をする。
といった方向に進みやすくなります。
しかしその過程で、判断が遅れたり、本来の目的が見えにくくなることもあります。
複雑な状況におけるシンプルさ
意思決定の研究では、環境が複雑で不確実であるほど、シンプルな判断ルールが有効に働く場合があるとされています。
すべてを分析し尽くすことが難しい状況では、限られた情報をもとに判断する方が、結果として適応的であることもあります。
これは、環境に応じてシンプルな判断が合理的に機能するという「エコロジカル・ラショナリティ」と呼ばれる考え方にもつながります。
組織における「迷い」の扱い方
個人と同様に、組織においても迷いは避けるべきものと捉えられがちです。
しかし実際には、迷いがあるということは、まだ十分に検討されていない視点や可能性が残っていることを意味しているとも言えます。
そのため、迷いを早く解消することよりも、どのように扱うか、が重要になるのではないでしょうか。
対話によって広がる視点
組織における意思決定では、複数の視点を持ち寄ることができます。
異なる立場や経験を持つ人同士が対話することで、一人では見えにくかった観点が浮かび上がることがあります。
そのようなプロセスを通じて、判断の幅が広がることもあります。
マインドフルネスが支える場づくり
マインドフルネスは、個人だけでなく、組織の意思決定にも影響を与える可能性があります。
自分の意見や立場に固執するのではなく、それに気づき、少し距離をとること。
そのような姿勢が、対話の質を高め、より柔軟な意思決定につながることも考えられます。
組織はどのように迷うべきか
組織における意思決定は、単に速さや正確さだけで評価できるものではないのかもしれません。
どのように迷い、どのように対話し、どのように決めていくのか。
そのプロセス自体が、組織の意思決定の質を形づくっているのではないでしょうか。
よろしければ、あなたの組織での意思決定の経験についてもコメントで教えてくださいね。
マガジンのご紹介|あいまいに耐えられない私たちへ― 不確実な時代に、問いで育てるネガティブ・ケイパビリティ
本記事は、「あいまいに耐えられない私たちへ― 不確実な時代に、問いで育てるネガティブ・ケイパビリティ」の一篇です。
迷いを終わらせるのではなく、問いを深めていくシリーズです。
一覧はこちらから。
参考文献
Gigerenzer, G., Reb, J., & Luan, S. (2022). Smart heuristics for individuals, teams, and organizations. Annual Review of Organizational Psychology and Organizational Behavior, 9, 5.1–5.28. https://doi.org/10.1146/annurev-orgpsych-012420-090506
Gigerenzer, G., & Gaissmaier, W. (2011). Heuristic decision making. Annual Review of Psychology, 62, 451–482. https://doi.org/10.1146/annurev-psych-120709-145346
Surowiecki, J. (2004). The wisdom of crowds. Doubleday.
Karelaia, N., & Reb, J. (2015). Improving decision making through mindfulness. In J. Reb & P. W. B. Atkins (Eds.), Mindfulness in organizations: Foundations, research, and applications (pp. 163–189). Cambridge University Press.
