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感情は変えなくていい「仕事で使える感情というデータ」①|会議前に不安が消えないとき、性格を疑わなくていい理由

この記事の概要

不安=自信不足ではありません。

不安は、「まだ見通しが立っていないところがあるよ」と知らせてくれる信号です。

この記事では、自己肯定感を高める代わりに、不確実性の所在を見ていきます。


はじめに


こんにちは、野村りなです。

新年が明けて2日目。みなさまいかがお過ごしでしょうか。

今日からまた少しずつ、働き方や仕事、人生に関する記事を書き始めていきたいと思います。

さて、会議の前になると、こんなことありませんか?

  • 資料も準備した

  • 言うことも頭の中では整理できている

  • それでも、不安が消えない

理由ははっきりしないのに、胸のあたりがそわそわする。

そんなとき、私たちはついこう考えてしまいます。

  • 自信が足りないのかな

  • 気にしすぎなんだろうか

  • もっとポジティブにならなきゃ

でも、まずお伝えしたいのはこれです。

その不安は、性格や能力の問題ではない、ということです。

感情は「原因」ではなく「信号」


このマガジンで大切にしている前提があります。

感情は、行動の原因ではありません。

神経科学や心理学では、感情は「行動の原因」ではなく、

私たちの期待や見通しが更新されたときに立ち上がる身体的な内部信号

として理解されてきました。

たとえば、神経科学者アントニオ・ダマシオは「ソーマティック・マーカー仮説」において、感情を 意思決定に影響を与える身体的信号 として位置づけています(Damasio, 1994)。

また近年の「予測処理モデル(Predictive Processing)」では、脳は常に世界を予測し、その予測と現実のズレを更新し続けていると考えられています。

感情は、そのズレ、つまり「見通しがどれだけ確かか、不確かか」を知らせる内部のフィードバック信号だと説明されます(Friston, 2010; Barrett, 2017)。

会議前の不安が教えていること


会議前に感じる不安は、多くの場合、次のような状態を示しています。

  • 相手が何を重視しているか、完全には読めていない

  • 話がどこへ展開するか、予測が定まっていない

  • 判断基準が一つに揃っていない

つまり不安は、

「あなたはダメだ」「準備が足りない」

と責めているのではありません。

ただ、静かにこう知らせているだけです。

「まだ見通しが立っていないところがあるよ」

不安は弱さではなく、状況を丁寧に把握しようとする過程で生じる情報不足のサインなのです。

不安を消そうとすると、逆に見えなくなる


不安を感じると、私たちはつい、

  • 深呼吸して落ち着こうとする

  • 自分を励まして押し切ろうとする

といった対応を取りがちです。

もちろん、それが助けになる場面もあります。

ただし、不安を「消す対象」として扱うと、不安が知らせていたはずの情報まで一緒に消えてしまうことがあります。

結果として、

  • 何が不確かだったのか分からないまま

  • なんとなく落ち着かない状態で会議に臨む

ということが起こりやすくなります。

不安があるときに、考えてほしい問い


不安の理由を深く掘り下げる必要はありません。

代わりに、こんな問いを投げてみてください。

「私は、何について見通しが立っていないんだろう?」

  • 相手の反応

  • 判断の基準

  • 話のゴール

どこか一つでも言葉にできれば、不安はすでに役割を果たしています。

感情は、変えるものではなく、読むものだからです。

感情を変えないから、仕事の精度が上がる


感情を変えなくていい。

感情を抑えなくていい。

ただ、何を知らせているかを見る。

それだけで、

  • 準備の質が変わり

  • 判断が静かになり

  • 自分を責める思考から距離が取れる

ようになっていくのを感じるでしょう。

不安は敵ではありません。

あなたの仕事を邪魔しているのではなく、仕事の精度を上げるために働いているセンサーなのです。

次に会議前に不安を感じたら、その不安を消そうとする前に、一度だけ立ち止まってみてください。

「私は今、どんな見通しを必要としているんだろう?」

それが、このマガジンで提案したい、最初の仕事術です。

マガジン「感情は変えなくていい|仕事で使える感情というデータ」のご紹介


感情は、何かの原因ではありません。

それは、私たちの期待や見通しが更新されたときに立ち上がる身体的な内部信号です。

このマガジンでは、感情を変えたり分析したりするのではなく、判断や行動の前提を読み取るためのデータとして扱います。

感情を操作しないことが、かえって仕事の精度を高める。

感情マネジメントに疲れた人のための、実践的な読み物です。

参考文献

Barrett, L. F. (2017). How emotions are made: The secret life of the brain. Boston, MA: Houghton Mifflin Harcourt.

Damasio, A. R. (1994). Descartes’ error: Emotion, reason, and the human brain. New York, NY: Putnam.

Friston, K. (2010). The free-energy principle: A unified brain theory? Nature Reviews Neuroscience, 11(2), 127–138. https://doi.org/10.1038/nrn2787

Seth, A. K., & Friston, K. J. (2016). Active interoceptive inference and the emotional brain. Philosophical Transactions of the Royal Society B: Biological Sciences, 371(1708), 20160007. https://doi.org/10.1098/rstb.2016.0007

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