見出し画像

壜詰めの秘密 │ ショートショート #噂話製粉所

ぷか、ぷかり。
母の薬を買った帰り道。水路を流れてきたのは小壜だった。


掬い上げて日にかざす。中にはきらきらした銀色の。

「粉……?」

ピートは蓋を開けた。
ふわり。中身が飛び散る。風に溶けていく。

『満月の夜、森でシェリーの花が咲くらしい』

耳元で囁くような声。振り返っても、誰も居ない。


銀の月が、清かにシェリーの木を照らしていた。

りりり、り。
白い花が鈴のような音を鳴らしながら咲き、そして散った。

ぼとぼとと銀の実が散らばる。
100年に1度しか咲かぬシェリーの花。希少な実を売り、母は健康になった。


ぷか、ぷかり。ふわり。
ぷか、ぷかり。ふわり。



物知りピートの前に、今日も行列ができる。

「その病にはギロリの蜜がいいらしい」

窶れた女は涙を流して銀貨を渡した。
本当はチロリの蜜なのだ。ピートは嗤う。



ぷか、ぷかり。ふわり。

『フモル山に紅玉が埋まっているらしい。目印は赤い星模様のきのこ』

森の奥でピートは足をすべらせた。そして。




「消えたらしい」






(410字)

▼たらはかにさんの毎週ショートショートnoteに参加します。

▼今回は短いなかにいろんな謎を仕込んでいます。答え合わせとメイキングをつくりました。

答え合わせ(3000文字くらい)は無料です。
後半のメイキングは、わたしなりに培った技術でありつつ、再現性もあると思うので有料になっています。

▼漫画だけ読みたい方はここから。

▼もうひとつのテーマはこちら。


↑の記事では、この物語の白雪姫サイドも載せています。

いいなと思ったら応援しよう!

三條 凛花 最後までお読みいただき、ありがとうございます♡

この記事が参加している募集