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第六話 返事|10年越しの答え合わせ

第二章 ナオ君編
第六話 「返事」

次の日の朝。

目が覚めると、真っ先に携帯を開く。

……まだ来ていない。

画面を閉じる。

でも、数秒後にはまた開いていた。


すぐに返事が来るなんて、

思っていたわけじゃない。

返ってこない可能性だってもちろんある。

それでも、

どこかで期待している自分がいた。


学校へ向かう途中も、

授業中も、

休み時間も。

通知が鳴るたび、

反射的に携帯へ手が伸びる。

違う。

また違う。

そんなことを何度も繰り返して、

思わず一人で苦笑いした。


家へ帰る。

部屋に入り、

鞄を下ろそうとした手が止まる。

携帯の通知ランプが光っていた。

鼓動が少しだけ速くなる。

携帯を素早く手に取り、

ゆっくり画面を開く。

送り主は、

リオ。

気づけば、一度深呼吸していた。


『久しぶり😊』

たった一言。

それだけだった。

画面を閉じる。

……もう一度開く。

また閉じる。


返事をくれた。

それだけで十分だった。

気づけば、

肩の力が抜けていた。


そこからは、不思議なくらい自然だった。

『元気だった?』

『元気だよ😊』

『学校どう?』

『毎日眠い😂』


昨日見たテレビのこと。

授業中の出来事。

バイトの話。

休みの日の予定。

今思えば、

本当に何でもない話ばかりだった。

それでも、

止まっていた時間が、

少しずつ動き始めていた。


リオは、

あの日のことを何も聞かなかった。

「どうしてメールを終わらせたの?」

とも、

「好きだった人とはどうなったの?」

とも聞かない。

聞こうと思えば、

いくらでも聞けたはずなのに。

何事もなかったように、

いつも通り返事をくれる。

そのことが、

一番苦しかった。


あの日、

一番傷ついたのは、

きっと俺じゃない。

返事を書いていたリオの方だった。

それなのに、

俺は結局、

何も言えなかった。

謝った方がいいのか。

何も言わない方がいいのか。

メールを書くたび、

その迷いだけは消えなかった。


でも、

一つだけ決めたことがある。

今度こそ、

ちゃんと向き合おう。


そう思えたのは、

リオがもう一度、

俺に返事をくれたからだった。


それからまた、

毎日のようにメールをした。

携帯が鳴るたび、

自然と笑ってしまう。

学校で面白いことがあると、

真っ先に思う。

「これ、リオに話そう。」

そんな日が、

少しずつ増えていった。

メールを送ることが楽しみなんじゃない。

リオと話すことが、

楽しみになっていた。


そしていつしか、

メールだけでは足りない。

そう思うようになっていた。


第七話へ続く


リオ編も読んで、
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