第十話 結婚する運命の人|10年越しの答え合わせ

そして私は社会人になった。
学生の頃とは違って、
毎日があっという間に過ぎていった。
仕事をして、
友達と遊んで、
恋愛もした。
それなりに充実した毎日だったと思う。
でも恋愛だけは、
思い通りにはいかなかった。
幸せだった恋もあったし、
すれ違ってしまった恋もあった。
恋をするたびに、
私は少しずつ大人になっていった。
そんな20代の頃、
友達の結婚式で今の夫と出会った。
第一印象は、
正直あまり覚えていない。
でも、話しやすかったし、
一緒にいて楽だった。
変に気を遣わなくていい。
それが私には心地よかった。
気づけば連絡を取るようになり、
自然と会う回数も増えていった。
ナオ君との関係とは、
まるで違っていた。
夫との恋は、
不思議なくらい自然だった。
タイミングも合ったし、
無理に追いかける必要もない。
ちゃんと向き合ってくれて、
ちゃんと言葉で気持ちを伝えてくれた。
だから私も、
安心して好きになることができた。
付き合って三年ぐらい経った頃。
花火大会の時にプロポーズを受けた。
この人と結婚したい。そう思えた。
迷いはなかった。
結婚式場は、
ずっと憧れていた場所に決めた。
大きな階段のある式場。
前を通るたび、
「いつかここで結婚式を挙げたい」
そう思っていた場所だった。

新生活の準備も順調に進み、
私は未来だけを見ていた。
「人生はちゃんと前へ進んでいる」
そう信じていた。
結婚式まで、あと三ヶ月。
その日の夜、
残業中の机の上でスマホが震えた。
何気なく画面を見る。
その瞬間、
心臓が止まりそうになった。
表示されていた名前は、
十年以上見ていなかった名前。
「ナオキ」
高校生の頃、
毎日メールをしていた人。
何度も偶然すれ違った人。
好きだったのに、
最後まで何も始まらなかった人。
私はしばらく画面を見つめた。
そして恐る恐る、
メッセージを開く。
そこには、
たった一言だけ。
『覚えてるー?』
ナオ君からの、
十年ぶりの連絡だった。
【第十一話へ続く】
「また、動き出した時間」
